オープンソースERP「Adempiere」の概要
2. Adempiereは高機能
オープンソースのERPは、すでにたくさんのプロジェクト(ソフトウエア)がありあます。Adempiereはその中でも、知名度や機能の面で有力なオープンソースERPです。Adempiereは、15万件以上のプロジェクトが登録されているsourceforge.netの活発度ランキングで上位にいます。2010年12月12日の時点では2位でした。
図3: sourceforge.netの活発度ランキングで2位だった(クリックで拡大) |
機能面でも、すでに説明したとおり、ERPとしての基本的な機能を持っています。また、多言語対応や、複数の会計基準の仕訳を平行して行う機能など、中堅企業向けのERPパッケージではなかなか実装されていないことも多い機能も含まれています。日本の商習慣に関する部分は、まだ足りない機能がありますが、カスタマイズは可能です。
Compiereは、オープンソースERPの中では最も知名度が高いと思われます。Adempiereは、Compiereが分岐したあと、PostgreSQL対応をしました。Compiereの対応DBはOracleとEnterpriseDBだけですが、AdempiereはPostgreSQLでも動きます。
また、Webユーザー・インタフェースは、Compiereでは有償版にだけ付属しますが、AdempiereではZKフレームワークを使ったWebユーザー・インタフェースを無償で提供しています。
Adempiereは、発注書や納品書、請求書などの帳票やレポートをJasperReportsを使ってPDFやExcel形式などで出力できます。PentahoなどのオープンソースBI(Business Intelligence)と組み合わせれば、四半期ごとの売上や取引先ごとの売上、製品ごとの原価率や毎月の販売数量などさまざまなデータを分析できます。
3. カスタマイズが簡単
すでに説明した通り、AdempiereはApplication Dictionaryというデータ辞書を使って構築されています。Javaで書かれているので、EclipseなどのIDE(統合開発環境)を使い、ブレーク・ポイントを設定して実際に実行しながら動作を確認することができます。
Linux Apache PostgreSQLなど、すでに普及しているOSやミドルウエアの多くはC言語で書かれており、ソース・コードを読解する難易度が高いです。一方、Adempiereは、ソース・コードを理解して、修正したり機能追加したりすることが、比較的簡単です。
以上が、Adempiereを利用するメリットです。
次回は、Adempiereのインストール方法と、基本的な操作方法について説明します。