ハイパーバイザー選択の戦略
KVM管理ツール2:VIRT-Manager
libvirtライブラリを経由したGUI管理ツールの代表としてVirt-Managerがあります。
Virt-Managerは、Cent OS, Red Hadでは、yumコマンドを使ってKVMをインストールすると自動でインストールされます。 KVMインストールコマンドは、「yum install kvm kmod-kvm」です。 インストールが終わると、図6のように仮想マシンマネージャーという メニューが表示されます。
図6:仮想マシンマネージャー |
仮想マシンマネージャーのトップ画面では、ローカル・リモートサーバーの中の仮想マシンの 動作状態が一覧で確認できます(図7)。openQRMには、このような一覧画面が標準では ないので、仮想マシンマネージャーの方が直感的に管理しやすいという特徴があります。機能としては、仮想マシンの作成・削除から、管理業務まで可能になっています。
図7:Virt-Manager 0.6.1の画面(クリックで拡大) |
yumコマンドでインストールすると、このようなvirt-managerがインストールされますが、 ソースコードがコンパイルしてVirt-Managerをインストールすると、最新の管理画面を利用することができます(Virt-Managerダウンロードページ)。
2011年2月7日現在では、最新のVirt-Manager 0.8.6が入手可能です。
図8:Virt-Manager 0.8.5(クリックで拡大) |
最新のVirt-Managerでは、CPUの使用率、ディスクIO,ネットワークIOをグラフィカルに表示できるようになっています。そのため、負荷の高いサーバーを見つけやすくなっています(図8)。
また、複数のホストへ接続して、ホスト内の仮想マシンの状態を一元管理できるようになっていることも、Virt-Managerが非常に使いやすいツールだといえる要因でしょう。Virt-Managerは、頻繁にバージョンアップが繰り返されているので、 これからもさらに使いやすいものになっていくと予想されます。ただし、OpenQRMのように、cloudサービスとしての、仮想マシンのユーザー用画面は用意されていないので、すべての管理はホストの管理者が行う必要があります。
OpenQRMとVirt-Managerには一長一短があり、両方の良いところを 利用したいという要望もあるかと思います。しかしながら、 OpenQRMで管理している仮想マシンとVirt-Managerで管理している仮想マシンはお互いに独立しているため、OpenQRMで作成した仮想マシンをVirt-Managerで管理したり、逆に、Virt-Managerで作成したものをOpenQRMで管理することができません。
どちらの仮想マシンもLinuxから見ると同じプロセスとして見えるのですが、管理ツールが違うと、管理下にある仮想マシンが違ってくるのです。
KVM管理ツール3:libvirtによる仮想マシンの制御
最後に紹介するのは、GUIを使わずに、1ページ目で紹介したlibvirtのAPIを利用する方法です。下のソースコードは、仮想マシンの名前を取得する簡単なプログラムサンプルです(言語はPython)。
まず、「import libvirt」でlibvirtのモジュールをインポートします。open('qemu:///system')は、qemuへの接続ですが、ここでリモートホストを指定することも可能です。次にListDomainsID()を使って、仮想マシンの一覧を配列で取得し、lookupByID()で、仮想マシンの情報をオブジェクトで取得します。最後に、name()を使って、仮想マシンの名前を取得しています。
libvirt APIを利用すると、仮想マシンのリソースを動的に変更したり、 リモートマシンの操作をしたりできるようになりますので、柔軟なシステムが組めるようになります。
libvirtを実装している言語は、libvirt開発サイトによると、C,C++,C#,Java,OCaml,Perl,PHP,Python,Rubyなどです。開発中のものもありますので、詳細は、libvirt開発サイトからリンクされている開発サイトを確認していください。
紙面の都合で、細かな事はあまり書けませんでしたが、KVMを管理するツールや手法の概要は理解いただけたと思います。