RAD開発の応用 - RESTを使ってつながるシステムに拡張する

2011年6月2日(木)
藤井 等

RadPHPでRESTクライアントを作成する

実行したサーバーはそのままにして、今度はクライアントを作成してみましょう。RESTサーバーを作成したため、クライアントの作成には、さまざま言語を選択できるようになりました。ここでは、以前紹介したRadPHPを用いて、PHPによるWebクライアントを作成してみましょう。

[ファイル|新規作成]で「RPCLアプリケーション」を選択します。

次に、[ファイル|新規作成]で「その他」を選択し、「新規追加」ダイアログを表示します。[RadPHPプロジェクト|PHPファイル]カテゴリから、「DataSnap RESTクライアントモジュール」を選択し、[OK]ボタンをクリックすると、「DataSnap RESTクライアントモジュールの作成」ダイアログが表示されます。

図9:DataSnap RESTクライアントモジュールの作成

ウィザードでは、使用するプロトコル、呼び出しに用いる言語(PHPかJavaScriptか?)を選択できます。「ホスト」と「ポート」を指定し(必要に応じてその他のオプションも指定します)、[OK]ボタンをクリックすると、RESTサーバーに接続して、必要な情報を取得し、コードを生成します(このとき、RESTサーバーは起動していなければなりません)。

ウィザードは、2つのユニットを作成します。ClientModuleUnit1.phpは、Delphiで作成したWebモジュールと同じように、必要なコンポーネントが配置されたモジュールクラスです。ここには、サーバーとの接続を確立するためのメソッドがあります。

もうひとつは、ClientClassUnit1.phpです。こちらには、リモートメソッドを呼び出すための、クライアントスタブが定義されています。

/**
  * @param string $Value [in]
  * @return string
  */
function EchoString($Value) {
  $params[1]=@func_get_arg(1);
  $params[2]=@func_get_arg(2);
  $params[3]=@func_get_arg(3);
  $returnObject = $this->executor->executeMethod('EchoString',
    'GET', array($Value), $params[1], true, $params[2], $params[3]);
  if (@func_get_arg(1) === FALSE) {
    if (($returnObject != null) && ($returnObject->result != null)
      && (is_array($returnObject->result))) {
      $resultArray = $returnObject->result;
      $resultObject=new DSObject();
      $resultObject->Value = $Value;
      $resultObject->result = $resultArray[0];
      return $resultObject;
    }
    return $returnObject;
  }
}
/**
  * @param string $Value [in]
  * @return string
  */
function ReverseString($Value) {
  $params[1]=@func_get_arg(1);
  $params[2]=@func_get_arg(2);
  $params[3]=@func_get_arg(3);
  $returnObject = $this->executor->executeMethod('ReverseString',
    'GET', array($Value), $params[1], true, $params[2], $params[3]);
  if (@func_get_arg(1) === FALSE) {
    if (($returnObject != null) && ($returnObject->result != null)
      && (is_array($returnObject->result))) {
      $resultArray = $returnObject->result;
      $resultObject=new DSObject();
      $resultObject->Value = $Value;
      $resultObject->result = $resultArray[0];
      return $resultObject;
    }
    return $returnObject;
  }
}

RESTクライアントのGUI設計

これらのクライアントモジュールを使ってリモートメソッドを呼び出す処理を、先ほど作成したRPCLアプリケーションunit1.phpに記述します。まず、GUIを設計します。

図10:GUIの設計(クリックで拡大)

図のようにフォーム上に、ラベル、エディット、ボタンを配置します。ボタンをクリックすると、エディットに入力された文字列をサーバーに渡します。そして戻された値をラベルに表示します。うまくいけば、文字列は反転して表示されることでしょう。

フォームからリモートメソッドを呼び出すには、もうひとつ準備作業が必要です。[ファイル|ユニットを使う]メニューを実行して、ClientModuleUnit1.phpを選択します。これで、unit1には、以下のコードが追加されています。

require_once("ClientModuleUnit1.php");

実際のクライアントクラスは、ClientClassUnit1.phpにありますが、このユニットは、ClientModuleUnit1.phpから使うように定義されていますので、ここで選択するのは、ClientModuleUnit1.phpだけで十分です。

フォームに配置したボタンをダブルクリックして、OnClickイベントのイベントハンドラを記述します。

function Button1Click($sender, $params)
{
  global $ClientModuleUnit1;

  $this->Label1->Caption = 
    $ClientModuleUnit1->ServerMethods1Client->ReverseString(
    $this->Edit1->Text)->result;
}

以上でクライアントは完成です。[実行]ボタンを押して、アプリケーションを実行します。

図11:クライアントアプリケーションの実行(クリックで拡大)

文字列を入力してボタンをクリックすると、反転した文字列がラベルに表示されます。

以上の手順は、こちらのビデオでもご覧いただけます。

もちろんPHP以外でも…

ここではPHPを使ってDelphiのRESTサーバーにアクセスしましたが、JavaScriptなどさまざまな言語からも利用できます。また、RESTサーバーも他のWebサービスを利用することができるので、例えば、ソーシャルネットワークやクラウドサービスなどと通信する機能をサーバーに実装し、これをクライアントアプリケーションから利用するといった形態も考えられます。

さまざまなプラットフォームやデバイスが台頭してきている現在、ひとつの開発言語、ひとつのプラットフォームですべてを開発するという時代から、適材適所で使い分け、それらをつないでいくシステムの時代に変わろうとしています。このような中、RAD技術は、既存アプリケーション資産を新しいテクノロジーを結びつける方向へと進化を続けているのです。

エンバカデロ・テクノロジーズ 日本法人代表
千葉大学文学部行動科学科卒業。石油関連会社でGISなどの開発を経験したのち、1995年、ボーランドに入社。マーケティングとしてJava開発ツールJBuilderやVisiBrokerなどミドルウエア製品の立ち上げを行う。2008年7月、ボーランドの開発ツール部門を合併したエンバカデロ・テクノロジーズに移籍。2009年1月より日本法人代表を務める。

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