データ表示にアニメーションを使う

2011年10月14日(金)
PROJECT KySS

BackFrontStoryboard(裏から表に回転するストーリーボード)の作成

図4から以降の手順で、「オブジェクトとタイムライン(B)」の下にあるストーリーボードの「新規作成」アイコン(+)をクリックします。「Storyboardリソースの作成」ダイアログボックスが開きますので、「名前(キー)」にBackFrontStoryboardと入力して[OK]ボタンをクリックします。アートボード上の画面全体が赤の枠線で囲まれ、「●BackFrontStoryboard タイムライン記録オン」に変わります。この状態でタイムラインの記録が可能になります。裏面から表面(おもてめん)に回転するストーリーボードを作成します。

再生ヘッドが0の位置で、NameBorder(ListBoxの表示されている表(おもて))を選択します。VisibilityにCollapsedを指定し、[変換]パネルにあるProjectionの「Rotation」のYの値に-180と指定します。

DetailsBorder(詳細データの表示されている裏)を選択し、再生ヘッドが0の位置で、VisibilityにVisible、[変換]パネルにあるProjectionの「Rotation」のYの値に、0を指定します。この、BackFrontStoryboardは、裏から表に変化させますので、最初に表示されているのは、裏向きの面になる必要があります(図11)。

図11: 再生ヘッドが0の位置での、NameBorderとDetailsBorderの各プロパティの値を設定した。最初は、裏の面が表示されている(クリックで拡大)

次に再生ヘッドを0.5の位置に移動し、NameBorderを選択します。この0.5秒の位置で、裏と表が入れ替わります。VisibilityにVisibleを指定し、[変換]パネルにあるProjectionの「Rotation」のYの値に-90と指定します。

DetailsBorderを選択し、再生ヘッドを0.5の位置で、VisibilityにCollapsed、[変換]パネルにあるProjectionの「Rotation」のYの値に、90を指定します。

次に再生ヘッドを1の位置に移動し、NameBorderを選択します。VisibilityにVisibleを指定し、[変換]パネルにあるProjectionの「Rotation」のYの値に0と指定します。

DetailsBorderを選択し、再生ヘッドを1の位置で、VisibilityにCollapsed、[変換]パネルにあるProjectionの「Rotation」のYの値に、180を指定します。

ここまでの手順をまとめると表2のようになります。

表2 BackFrontStoryboard(裏から表に回転する場合の値)

オブジェクト名 プロパティ名 再生ヘッドの位置(秒)
NameBorder   0 0.5 1
Visibility Collapsed Visible Visible
Projection(RotationのY) -180 -90 0
DetailsBorder Visibility Visible Collapsed Collapsed
Projection(RotationのY) 0 90 180

「●BackFrontStortboard タイムライン記録オン」の●をクリックして記録オフにします。タイムラインのツールバーから「先頭のフレームに移動」アイコンをクリックして、「再生」を実行してみてください。裏面が反転して表(おもて)面が表示されます。

全て設定すると図12のようになります。

図12: BackFrontStoryboardの設定を全て完了した(クリックで拡大)

以上でストーリーボードの設定は完了です。VS2010に戻りロジックコードを記述します。

ソリューションエクスプローラー内のMainPage.xamlを展開してMainPage.xaml.vbをダブルクリックし、リスト3のコードを追加してください。

ロジックコードを記述する

リスト3 (MainPage.xaml.vb)

Option Strict On
Imports System.Xml.Linq
Partial Public Class MainPage
  Inherits PhoneApplicationPage
  
  ' Constructor
  Public Sub New()
    InitializeComponent()
  End Sub

XElementクラスのメンバ変数xmldocを宣言します。
  Dim xmldoc As XElement

ページが読み込まれた時の処理

XElement.LoadメソッドでXML文書ファイル(sampleData.xml)を読み込みます。
文字列型のリストであるnameListオブジェクトを作成します。
Descendants メソッドで、子孫要素である全ての <情報> 要素のコレクションに対して、各要素を変数 result に格納しながら、リストであるnameListオブジェクトにAddメソッドで、<氏名>要素の値を追加していきます。ListBox(NameListBox)のItemsSourceプロパティにnameListオブジェクトを指定します。これで、ListBoxに氏名の一覧が表示されます。
  Private Sub MainPage_Loaded(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles MyBase.Loaded
    xmldoc = XElement.Load("sampleData.xml")
    Dim nameList As New List(Of String)
 
    Dim query = From c In xmldoc.Descendants("情報") Select c
    For Each result In query
      nameList.Add(result.Element("氏名").Value)
    Next
    NameListBox.ItemsSource = nameList
  End Sub

ListBoxから氏名が選択された時の処理

各TextBlockのTextプロパティに、ListBoxより選択された項目のインデックス(SelectedIndex)に該当する、<情報>要素の子要素<氏名>、<年齢>、<住所>、<勤務先>の値を指定します。そして、裏面が表示されるFrontBackStoryboardをBeginメソッドで開始します。
  Private Sub NameListBox_SelectionChanged(sender As Object, e As System.Windows.Controls.SelectionChangedEventArgs) Handles NameListBox.SelectionChanged
    FrontBackStoryboard.Stop()
    NameTextBlock.Text = xmldoc.Descendants("情報")(NameListBox.SelectedIndex).<氏名>.Value
    AgeTextBlock.Text = xmldoc.Descendants("情報")(NameListBox.SelectedIndex).<年齢>.Value & "才"
  
    AddressTextBlock.Text = xmldoc.Descendants("情報")(NameListBox.SelectedIndex).<住所>.Value
    CompanyTextBlock.Text = xmldoc.Descendants("情報")(NameListBox.SelectedIndex).<勤務先>.Value
    FrontBackStoryboard.Begin()
  End Sub

[名前選択画面へ]ボタンがクリックされた時の処理

氏名一覧の表示された、表面(おもてめん)が表示される、BackFrontStoryboardをBeginメソッドで開始します。
  Private Sub Button1_Click(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles Button1.Click
    BackFrontStoryboard.Begin()
  End Sub
End Class

図13: 実機で動かした図(クリックで拡大)

今回でWindows Phoneの応用編は終了です。長い間のお付き合いありがとうございました。皆さんはWindows Phone IS12Tもう購入されましたか。実機での確認が必要なサンプルは、今回意識して避けていますが、既に実機も発売されていますので、機会があれば、実機で確認するサンプルの紹介もしたいと思います。ぜひ、皆さんでWindows Phoneを盛り上げていきましょう。

最後に、次ページでこれまでの連載をまとめて振り返ります。

  • 「データ表示にアニメーションを使う」サンプルプログラム

四国のSOHO。薬師寺国安(VBプログラマ)と、薬師寺聖(デザイナ、エンジニア)によるコラボレーション・ユニット。1997年6月、Dynamic HTMLとDirectAnimationの普及を目的として結成。共同開発やユニット名義での執筆活動を行う。XMLおよび.NETに関する著書や連載多数。最新刊は「Silverlight実践プログラミング」両名とも、Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。http://www.PROJECTKySS.NET/

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています