Xbox OneのKinect v2がPCでも使える? Kinect v2最新動向

医療現場
既に2011年ごろから、Kinectは医療現場で利用されています。たとえば、カナダ・オンタリオ州の医療チームは、Kinectを外科手術の現場で利用しています。執刀医が、手術中に患者の診断画像を操作する際に活用しているようです。
癌などの外科手術の際には、手術中に患者のMRIやX線CTの診断画像を確認するケースがよくあります。しかし、画像を表示させるためのキーボードやマウスは非減菌領域にある場合が多く、減菌領域にいる執刀医が直接操作することはできませんでした。そのため執刀医は、非減菌領域にいる助手などに画像を調整するよう指示する必要がありましたが、Kinectを活用することで、執刀医のこうした作業負担が削減されたわけです。具体的には、手術室のコンピュータにゲーム機を接続し、執刀医が身振り手振りで患者の診断画像を直接操作できるようになりました。手術スタッフは、減菌領域を離れずに手術を続けることができるようになったわけです(図2)。

図2:医療現場でのKinectの活用例
下記の動画も参照してください。
参考URL:http://gigazine.net/news/20110407_xbox_kinect_hospital/
リハビリテーション
脳卒中患者のリハビリテーションや、発達障害や注意欠陥過活動性障害(ADHD)を持つ子供治療にも、Kinectが活用されています。毎日同じことの繰り返しであるリハビリテーションでは、子供だけでなく大人でも飽きてしまうことがあります。そういった場合に、Kinectを使った身体を動かすゲームを採用すると、リハビリテーションを受ける側の人間は、楽しくモチベーションを持ち続けたまま取り組み、良い結果をもたらすものと考えられます。
教育
身体のいろいろな動きをお手本と比較し、一致度を評価するという「振付採点」が、教育現場で活用されているらしいです。理由は、中学の授業でヒップホップダンスが必修科目になったためです。これを教えられる教員の数は極めて少ないため、教員達がこっそりとダンスを練習するツールとして、この「振付採点」が使用されているという噂です。
アパレル
モスクワのアパレルショップに導入されているAR(Augmented Reality、拡張現実)試着システムでは、Kinectで人を認識して、お店にある服をわざわざ着用しなくても着ている姿を表示してくれます。いわば「バーチャル試着室」のようなものです。画面上の右側にある矢印に手を添えることで、試着する服を色々と取り替えられ、実際に着替えることなく様々な衣服を「試着」できるようになっています(図3)。

図3:アパレルショップでのKinectの活用例
下記の動画参照も参照してください。
プロジェクションマッピング
プロジェクションマッピングとは、CGとプロジェクターのような映写機器を用いて、建物や物体、あるいは空間などに対して映像を映し出す技術のことを指します。この技術にKinectが使用されることが多いようです。下記の動画は、人間の顔にプロジェクションマッピングした動画です(図4)。すごいですね。

図4:人間の顔によるプロジェクションマッピング
OMOTE / REAL-TIME FACE TRACKING & PROJECTION MAPPING
http://vimeo.com/103425574
Kinect対応ゲームを自作する時代に?
以上のように、Kinectは今や各分野で大いに利用活用されています。とはいえ、特に市場が大きいのはやはりゲームの分野です。実際、Xbox One用の多種多様なゲームが発売されており、ゲームファンの心をとらえています(図5)。

図5:Xbox One用ゲーム
前述のように、このXbox One付属のKinectを「Xbox One Kinectセンサー用Windows PCアダプター」によってPCと接続することで、Kinect v2のプログラミングが可能になるのです。市販のゲームを楽しむだけでなく、自分でもKinectを使ってゲームを作り、自作ゲームを家族全員で楽しめる時代も、もうすぐです。いやXbox Oneの普及によって、家族が和気あいあいとゲームを楽しむことは、既に実現されています。そこにKinect v2で作ったゲームを取り入れると、ますます生活の幅が広がるのではないでしょうか。
この連載では、残り5回の連載でKinect v2を使ったプログラミングの開発技法を解説していきます。できるだけおもしろくて楽しいプログラミングの開発方法を伝えられればいいな、と思っております。お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
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