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過疎地域にも高速ネットワークを、通信最大手AT&Tが「AirGigプロジェクト」構想実現へ一歩

2016年9月27日(火)
ReadWrite Japan

技術の進歩により、無線によるWebアクセスは世界中で広まっている。そんななか、米最大手通信会社AT&Tは、送電線を使った「超高速無線ブロードバンドプロジェクト」を発表した。

AirGig(エアギグ)と呼ばれているそのプロジェクトは、AT&Tの米国研究開発部隊によって20日に明らかにされたものだ。プロジェクト自体はまだまだ実験段階であるものの、最初のフィールドテストは2017年に行われる予定だという。

このプロジェクトは世界中にブロードバンドサービスを提供することを目的としており、元からある電力網を利用することで、未だ数多く存在するネットワーク供給のないところにも高速ネットワークを提供しようという構想だ。

AT&Tによれば、「このアプローチであればライセンスフリーな帯域が利用できる」という。また、「電力網を利用する理由は、光回線を展開するよりもずっと容易だから」である。

「ネットワークが整っていない地域にも、ちょっとしたメッシュネットワークのようにブロードバンドサービスを提供できる」とAT&Tの最高戦略責任者 ジョン・ドノヴァン氏は言う。最初の提供は、2020年頃になるだろうとも彼は付け加えた。

関連記事:メッシュネットワークが可能にすること

さて、新しいブロードバンドを導入するためのコストに関しては、ムーアの法則にもあるように「ただ新しい設備を持ってくる」だけというわけにはいかず、既存のインフラを活用することが求められる。AT&TはプロジェクトAirGigにより、光回線の敷設追加なしでネットワーク接続のいわゆる“ラストワンマイル”を埋めるものになると言った。つまり、一切の電気的接触なしに超高速なネットワークを提供することを謳っているのだ。

ちなみに、FacebookやGoogleも同じような構想を明らかにしているが、もっとも実現に近いのはAT&Tではないかと私は考えている。

大量の特許を申請しているAT&T

開発の一環でAT&Tは出願中のものも含め、このプロジェクトにまつわる100以上の特許を申請している。

特許出願中の技術には、送電線に沿って信号を中継する低価格なプラスチックアンテナとデバイスも含まれる。これらは4G LTEと5G、固定回線に対応するものだ。この技術の“柔軟性”により、新たに電線を埋設したり電力棟を建てることなくネットワークを供給できる分散アンテナシステム、あるいは、小規模セルの構築が可能となる。

ネットワーク接続が整備されてないところに高速ネットワークを提供するほか、AirGigの技術は電力供給を販売するための抱き合わせとしても活用する予定とのことだ。

また、この技術により新たなスマートグリッドアプリケーションの展開も可能となり、電力網の正常性モニタリングに新たな選択肢が加わることにもなるだろう。

大きな転換期を迎えている世界を揺り動かすのは、決してスタートアップだけではない。Intelとのコラボレーションなど、最大手の底力をじわじわと見せつけるAT&Tの今後の動きにも注目だ。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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