上手にストレスとつきあう秘訣
気晴らしだけじゃストレスは解消しない?
ここで最近経験した「重大なストレスを受けるような状況」を思い浮かべてください。
その状況を思い出して、その時あなたがどう対処したか、図1(上)のリストで該当するものがあれば、その番号の右空欄にチェックしてみてください。
チェックはいくつありましたか?また、自分のストレスに対する対処方法の傾向は、いかがでしたか?
ストレスの原因となるストレッサーに襲われても、それにどう対処するかによって心身に与える影響は異なります。上記のような対処をストレスコーピングと呼びます。
コーピング(Coping)とは、特定のストレスフルな問題や状況のもとで、苦痛を和らげたり、その苦痛のもとになっている問題を解決するために考えや行動を変化させることで、問題の性質や周囲の状況および選択肢の幅などによって変化するプロセスのことを言います。
ストレス別の対処法とは?
コーピングにはいくつかの方法がありますが、図3下のように対処するものによってもその方法や選択には違いがあります。
大事なことは、エフォート次元(頑張ることによって解決可能)のストレスを、ディストレス型次元のコーピング方法で対処しようとしても、問題の解決(ストレスの軽減)にはつながりにくく、そしてその逆もしかりということです。
そして、情動焦点型の対処方法の1つである気晴らしは、一時的なストレスの軽減にはなりますが、この対処ばかりでは原因自体はなくならないため、ストレスはいつまでも軽減しません。逆に問題焦点型の対処は非常に重要なコーピングですが、ストレスの原因に直面するため、一時的にストレスが高まることが多いものの、その後は大きく軽減します。
このほかにもコーピングの方法はいくつかありますが、いずれのコーピングも万能ではなく、一長一短です。「特定の方法に偏っていないか?」「コーピングの方法をたくさん持っているか?」「自分に足りないコーピングは何か?」といったことを把握しておくことが重要です。
その上で、現在自分が良く用いるコーピングだけではストレスに対処できなくなった時、普段あまり使わないコーピングを試してみたり、複数のコーピングを合わせて使ってみることで、うまく対処できるようになる場合があります。
そうすることで同じような状況に遭遇した時、豊富なコーピングレパートリーの中からその状況に合った対処方法をとり、ストレスを生じないようにコントロールすることが可能になってくるのです。
近年のIT業界は、新3K職場(きつい・厳しい・帰れない)などと言われ、時代・業界によって該当する意味は諸説ありますが、厳しい労働環境を指す代名詞であることに変わりはありません。ストレスフルな業界であることを自覚し、問題の解決に積極的に取り組むといった柔軟な姿勢でうまくストレスと付き合っていくことが、IT業界における重要なセルフマネジメントの1つであると言えるでしょう。