AWS、PostgreSQL互換で基幹業務に対応可能な「PostgreSQL for Aurora」発表、ほか

2016年12月2日(金)
吉田 行男
AWSによるマネージドデータベースサービスPostgreSQL for Auroraなど、この一週間のOSS関連のトピックを紹介する。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

12月に入って、街にはクリスマスツリーやイルミネーションが目につくようになってきました。今週はラスベガスでAWSのイベントである「AWS re:Invent 2016」が、開催されており、日本から多くの方が参加されているようです。早速、第一報も入ってきましたので、そのご紹介と合わせて今週のOSSに関する注目すべきトピックを取り上げます。ゆっくりとご覧下さい。

AWS、「PostgreSQL for Aurora」発表。PostgreSQL互換で基幹業務に対応する性能と信頼性を実現

米国Amazon Web Services社は、ラスベガスで開幕した同社のイベント「AWS re:Invent 2016」で、商用データベース並みの高い性能と信頼性を提供するマネージドなデータベースサービス「Amazon Aurora」の新サービス「PostgreSQL for Aurora」を発表しました。AWSは2014年に、MySQLをベースにしたデータベースサービス「Amazon Aurora」を発表していますが、「PostgreSQL for Aurora」はOracleのような商用DBとの互換性が高いPostgreSQLに対応してほしいという、ユーザからの要望に応えるために開発されました。

(参照記事:http://www.publickey1.jp/blog/16/awspostgresql_for_aurorapostgresqlaws_reinvent_2016.html

さくらインターネット、ビットスター、ミラクル・リナックスがOSS運用統合ソフト「Hatohol」共同開発へ

さくらインターネット(株)、ビットスター(株)、ミラクル・リナックス(株)の3社は11月29日、クラウド事業者が利用できる実用性を備えた運用統合ソフトの開発をめざし、「Hatohol」の共同検証を開始すると発表しました。「Hatohol」は、ミラクル・リナックスが支援する開発コミュニティ「Project Hatohol」で開発されているOSS運用統合ソフトウェアです。システム監視やジョブ管理、インシデント管理、ログ管理など、さまざまな運用管理ツールのハブとして機能します。2016年12月にリリース予定の「Hatohol」最新版(16.12)を利用して、大規模システムや大量ドメインなどのさまざまなテーマにおいて共同検証が実施されます。実際のユーザのニーズなどをもとに、クラウド事業者が求める実用性として、大規模システムや大量ドメインにおけるパフォーマンスを検証するほか、運用統合のあるべき姿について運用現場の意見を反映して提案していく予定です。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1032234.html

Yahoo! JAPAN、既存速度を大幅に超える検索技術をOSSで公開

ヤフー(株)は11月24日、高次元高速検索技術「NGT(Neighborhood Graph and Tree for Indexing)」を開発し、オープンソースとしてGitHubで公開すると発表しました。「NGT」はテキストや画像、商品やユーザーデータなど複数の特徴を持つ高次元データを、大量のデータベースから高速に検索できる技術で、同社では最先端の学術領域における既存の類似技術の主流と比較して12倍以上の高速検索が可能になるとしています。2015年9月から「Yahoo! JAPAN研究所」において、商用利用不可の研究用途限定で公開していましたが、社内外を問わず多くのデータサイエンティストとともに技術を発展させていくため、特許実施権を無償提供の上、オープンソースで公開することとなりました。高次元データの高速検索が可能になることにより、AIなどで近似したデータのマッチングの高速化を図れることで、スピード向上が精度向上につながることなどが見込まれています。

(参照記事:http://news.mynavi.jp/news/2016/11/25/184/

SUSEがHPEのOpenStackおよびCloud Foundry関連資産を買収

11月30日に独SUSE社は、米国HPE社(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStackおよびCloud Foundry関連資産と人材を買収する、と発表しました。SUSEのCEO Nils Brauckmann氏は、「この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア・デファインド・インフラストラクチャの提供へのSUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている」と語っています。

(参照記事:http://jp.techcrunch.com/2016/11/30/20161130suse-buys-hpes-openstack-and-cloud-foundry-assets/

日本テラデータ、Think Bigのビッグデータコンサルティングサービスを国内販売開始

日本テラデータ(株)は11月24日、米国Teradata子会社の米国Think Big社が提供する、オープンソースに特化したビッグデータのコンサルティングサービス「Think Big Velocity」の日本国内での販売を開始しました。Think Big社は、Coca-ColaやLEGO、HSBCなどの顧客を有し、ベンダーニュートラルでHadoop、Sparkなどのオープンソースに特化した独自のビッグデータフレームワーク「Think Big Velocity」を活用した、包括的なコンサルティングサービスを提供しています。日本テラデータでは、「Think Big」のビッグデータコンサルティングサービスの販売を開始することで、デジタル化の加速により複雑化する企業のビッグデータ戦略の取り組みを柔軟にサポートし、競争力強化に貢献していくとしています。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1031590.html

編集後記

そろそろ、年賀状が気になる時期になってきました。年賀状の発行枚数は、2003年の約44億6,000万枚をピークに減少傾向が続いているそうです。メールやSNSを利用するデジタルネイティブ世代が増えていくにつれて、この傾向は続くと予想されています。時代の成り行きとはいえ、少なからず、寂しさを覚える人もいることでしょう。

イベントのご案内
OSSウォッチ100回記念 イベントやります!

2014年11月7日から連載が始まった「週刊OSSウォッチ」ですが、次週12月9日公開分でついに100回め迎えます。
そこで、著者の吉田氏をはじめ、OSS関連のゲストをお呼びしてイベントを開催します。

【開催概要】
開催日:2016年12月22日(木)
時間や内容等は、追ってお知らせします。ドンミスイット!

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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