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広がるビジネス系フリーランス活用の現状【前編】

2018年4月17日(火)
田中 美和(たなか・みわ)

国内のフリーランス人口は1119万人を突破!

「フリーランス」と聞いて、みなさんの頭にはどんなイメージが思い浮かびますか?

「自由」「かっこいい」「楽しそう」――そんなポジティブなイメージでしょうか?

「不安定」「大変そう」――あるいは、そんなネガティブなイメージでしょうか?

――フリーランスに関しては、メディアでこんな見出しを見かける機会も増えてきました。

それもそのはず。国内のフリーランス人口は増加の一途をたどっており、広義のフリーランス人口は1119万人に達した(ランサーズ株式会社、フリーランス実態調査2018より)というデータもあるほどです。これは実に労働力人口の17%にも相当する数字です。フリーランスは決して「自分には関係ない話」ではなく、「新しい働き方」の一つとして確実に日本の社会に定着しつつあります。

では、なぜ今、これほどまでにフリーランス人口が増えているのでしょうか? 一つの要因は、クラウドソーシングやシェアリングエコノミーなど、テクノロジーを活用した新たな仕事と人とのマッチングの仕組みが生まれていることにあります。こうした新たなサービスの出現は、フリーランスの活躍領域も押し広げています。

フリーランスと聞くと、エンジニアやプログラマーなどのIT系職種か、ライター・デザイナーなどのクリエイティブ系職種のイメージを持ってはいませんか? もちろん、IT・クリエイティブ系職種は、フリーランスが多い職種ですし、それは今も変わっていません。しかし、それ以外の職種領域でもフリーランスとして活躍する人々は増えています(図1)。

図1:「職種の多様化」と「就労形態のグラデーション化」
(引用:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 資料より)

特に、事業開発や広報・マーケティング・人事・経理財務等の領域で活躍するビジネス系フリーランスの増加は、事業成長の観点から、企業にとっては力強い存在となっています。

フリーランス増加の背景には、もう一つ、政府や企業主導の副業・パラレルキャリア促進の動きがあります。広義のフリーランスには、企業に勤めながら副業あるいはパラレルキャリアの一環として、クラウドソーシングやシェアリングエコノミーサービス、そのほかの方法で業務を受注しているような人々も含むからです。

こんなニュースが昨年11月に相次いで各種メディアで報道されました。政府や企業の狙いとしては、急速に進む少子高齢化にあたって、深刻化する労働人口減少の解決策の一つという側面があります。企業側からすると、副業・兼業を通じて得た知見やネットワークを本業に還元してほしいという狙いもあるでしょうし、こうした多様な働き方を容認することで優秀な人材を自社にとどめておきたいという思いもあります。

このように、フリーランスとして働く個人は増加する一方なのですが、そういったフリーランスを活用する企業側の現状はどうなのでしょうか?

広がる職種と「ビジネス系フリーランス」の活用

図2は経済産業省が公表している資料によるもので、「フリーランス人材を活用して業務をアウトソースしている企業の割合」を示しています。このデータによれば、そうした企業は全体の2割弱にとどまります。「現在は活用していないが、今後の活用を検討している」という企業が3割強、「現在活用しておらず、今後の活用も検討していない」という企業が約半数。個人側の意識の高まりに比べると、企業側の活用実態にはまだ乖離があります。

図2:フリーランス人材を活用して業務をアウトソースしている企業の割合
(引用:2017 経済産業省「雇用関係によらない働き方」に関する研究会 報告書 P58より)

しかし、同じ経済産業省の資料によれば、フリーランス人材を導入済みの企業のアンケートでは「今後(フリーランスの)活用を減らしていく」と回答した企業は1社もなかったといいます。一方で、約5割の企業が「現状維持」、そして約4割の企業が「今後活用をさらに増やす」と回答しており、実際に外部人材を活用した企業では効果が実感されていると推測されます。事実、「今後活用をさらに増やす」と回答した企業のうち、9割以上が「期待した効果または期待した以上の効果が得られた」と回答しています。

では、すでにフリーランスを活用している企業では、実際にどのような効果を感じているのでしょうか?

図3のデータによれば、フリーランス活用企業が感じているメリットの上位3つは、①必要な技術・ノウハウや人材の補完(43.6%)、②従業員の業務量・業務負担の軽減(38.5%)、③売上高の増加(28.2%)です。筆者は、2013年からフリーランス女性と企業とをマッチングする事業を行う会社を共同創業し、多数のフリーランス活用事例に触れてきました。その実感値としても、この3つの要素は大きいと感じています。企業側にとってのフリーランス活用の本質は、専門的な知見・ノウハウ・ネットワークの獲得による事業成長やイノベーション創出にあります。コスト削減は副次的効果にすぎません。

図3:フリーランス人材の活用により、企業が得られると考える効果合
(引用:2017 経済産業省「雇用関係によらない働き方」に関する研究会 報告書 P55より)

では、もう少し具体的にこれら3つの要素を見ていきましょう。

①必要な技術・ノウハウや人材の補完

労働人口の減少に伴い、規模の大小を問わずに企業が頭を悩ませているのが人手不足の問題です。実際、中小企業庁発表のデータによれば、従業員数300人以上の企業のおよそ7割以上が「人手不足」と回答しています(「中小企業・小規模事業者における人手不足対応研究会とりまとめ」平成29年3月)。

  • 「自社技術を応用し、30代女性をターゲットとした美容商品を開発したいが、社内に知見のあるメンバーがいない」
  • 「広報体制を新たに確立したいが、広報経験のある従業員がいない」
  • 「Webマーケティングに力を入れたいが、自社にノウハウがない」

フリーランス女性と企業とのマッチングを行う筆者たちの会社には、企業側から連日のようにこのような相談が持ち込まれます。

事業開発や広報、マーケティング、人事、経理……こうした豊富な経験と高い専門性を持つ人材を活用したい場合、いくつかの方法が考えられます。

とは言え、いきなり社員として採用したいと思っても、この売り手市場の中では、なかなか思うように人材を採用できないことがあります。大手企業に採用力で見劣りしてしまいがちな中小ベンチャー企業ではなおさらです。また、そもそも必要な関わり度合いとして「週5フルタイム・フルコミット」を求めないケースもあります。「週1程度、アドバイザー的に関わってほしい」とか「週2~3日程度の稼働工数で構わない」といったケースです。フリーランス人材であれば、関わり合いの度合いについても、都度、自由に設定が可能になります。契約期間も企業とフリーランス人材との話し合い次第で決定可能で、例えば、筆者たちの会社のマッチング事例では、平均7か月程度の契約が主流です。

そうなると、「フリーランス人材を活用する」とは「必要なときに必要な人材を必要なだけ獲得できる」という意味で、企業にとってはまたとない魅力的な選択肢となるのです。

社員を採用するとなると、おのずと目線も高くなり、採用プロセスも時間をかけたものになりがちです。正社員は無期雇用が前提となるので、企業側も一層、慎重にならざるをえません。一方で、フリーランス人材に関しては業務内容や業務期間をフレキシブルに調整可能ということもあり、人柄やコミュニケーションスキルも重要な要素ではあるものの、よりシャープに経験や専門性等の業務遂行能力の有無にフォーカスして委託するかをジャッジできます。そのため、社員採用に比べればマッチングのスピードは格段に速くなります。実際、筆者たちが日々マッチングをお手伝いしているケースでは、早いときで相談から1週間以内に稼働開始となる場合もあるほどです。

②従業員の業務量・業務負担の軽減

フリーランス人材活用のメリットとして、「従業員の業務量・業務負担の軽減」という要素もあります。例えば、筆者たちがマッチングをお手伝いしている中で「コンサルティング会社や大手シンクタンクのリサーチ業務の一部をフリーランス人材に任せる」というケースがあります。こうしたコンサルティング会社やシンクタンクの社員にリサーチ業務を行える人がいないわけではありません。ただ、業務には波があるため、特に業務量が増えて社員の負荷が高まる時期にフリーランス人材でリサーチを得意とする人材に業務委託することで、社員の負荷を軽減できるわけです。もしくは、社員の力をより高付加価値の業務に振り分けるために、切り出しやすいリサーチ部分を外部人材に任せるといったケースもあります。

③売上高の増加

①②のような場面でフリーランス人材を積極的に活用することにより、結果として事業の成長すなわち売上高の増加が可能になります。実際、先に紹介した経済産業省の資料でも、フリーランス活用による効果として「売上高の増加」を挙げた企業は約3割に上りました。特に新規事業領域でのフリーランス人材の活用は増えており、その意味で各企業のイノベーションの創出に貢献しているという言い方もできます。

「フリーランス人材の活用」といったときに、「ロゴ・バナー制作」や「テープ起こし」「集計・入力」等の細かくタスク化された定型業務を任せるイメージを抱いている人はまだまだ多いかもしれません。しかし、今まさに増えているのは、企画や戦略から関わってもらう非定型業務においてフリーランス人材の力を取り入れるという形です。あるときはプロジェクトチームの一員、あるときは社長や役員の右腕となって業務をダイナミックに推進する……そんなフリーランスと企業との連携の形が生まれつつあるのです。

今後50年で労働力人口が実に約4割も減少すると予測される中(みずほ総合研究所調べ、2017年)、フリーランスをうまく活用できるかが企業の事業成長を左右すると言っても過言ではないでしょう。一方で、冒頭で紹介したデータのように、フリーランス人材を活用している企業は全体の2割にとどまります。

次回は、「広がるビジネス系フリーランス活用の現状【後編】」として、企業がフリーランスを活用する際のハードルと乗り越え方、フリーランスへの仕事発注のコツについて解説していきます。

著者
田中 美和(たなか・みわ)
株式会社Waris共同代表、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事、国家資格キャリアコンサルタント。出版社で約11年間編集記者。雑誌「日経ウーマン」を担当し、女性の生き方・働き方を多数取材。フリーランスを経て、フリーランス女性と企業とのマッチングを行うWarisを共同創業。著書に「普通の会社員がフリーランスで稼ぐ」。http://waris.co.jp

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