大手からベンチャー、ユーザー企業までが参加したKubeConのショーケースは大人気
2018年のKubeCon+CloudNativeConは、5月のコペンハーゲン、11月の上海、そして最後が12月のシアトルとなった。シアトルでは7500名の参加者に加え、ベンダーやスポンサー、スタッフを入れれば8000名以上が参加して、CNCFのイベントとしては最大規模のカンファレンスとなった。当然のようにセッションも多くのベンダーやユーザーがソリューションやユースケースを公開し、クラウドネイティブなシステムに携わるエンジニアたちが活発な議論を繰り広げられた。また、展示ブースとなったスポンサーショーケースも大変な賑わいを見せていた。
初日12月11日の朝7時半からオープンとなったスポンサーショーケースは、朝一番のキーノートの前に多くの参加者が朝食を取りながら、各社スポンサーのデモや説明に聞き入るという状況となった。
CxOもブースで参加者を待つ
Linkerdを開発するBuoyantのブースには、CEOのWilliam Morgan氏とCTOのOliver Gould氏が控えていた。
BuoyantのWilliam Morgan氏は11月にサンフランシスコのオフィスを訪れてインタビューを行った後だっただけに暖かく迎えてくれた。参加者からのコンタクトが多く、捌くのに忙しそうだったのが印象的だった。
参考:サービスメッシュを実現するLinkerdの将来を、開発元のBuoyantが語る
MirantisのブースにはCMOのBoris Renski氏がいた。
MirantisのBoris Renski氏も、かつてOpenStack Summitや東京のOpenStack Daysでインタビューを行ったことを覚えていてくれて、気軽に対応してくれた。「もうOpenStackから離れてKubernetesに移行したんですか?」という問いには「エンタープライズが求めるプラットフォームの変化に対応している」とだけ答えたRenski氏であった。
Renski氏が登壇したバンクーバーのOpenStack Summitのレポートは、以下の記事を参照してほしい。参考:OpenStack Summit 2018 インフラの次はCI/CDに注目
ユーザー企業のブースも
ユニークだったのは、いくつかのユーザー企業もブースを構えていたことだろう。これまでにも、Uberのようにユーザー企業であっても積極的にソフトウェアを開発、公開してエンジニアの興味を引こうとする企業が、ハイアリングのためにブースを出す例はあった。だが今回はHome Depot、Nordstromなども出展していた。日本で例えるなら、Nordstromは三越のような高級百貨店で、シアトルに本社を構える1901年創業の老舗だ。そんな企業であっても、デジタルトランスフォーメーションのためにエンジニアとの接点を求めているということをあらためて実感した。
シェアードオフィスサービスのWeWorkもブースを出展していた。ここは入居してくれるクライアントと接触するためのブースだろう。
ビッグネームも軒を並べる
大手ではRed Hat、IBM、AWS、Google Cloud、Microsoftなどが大きめのブースで耳目を集めていた。
Microsoftは初日のキーノートで好評だったPhippy Goes to Zooの絵本を無償配布して、大人気だった。
ちなみに会場のホワイエスペースでは、Phippy Goes to Zooの作者であるMatt Butcher氏とKaren Chu氏が絵本にサインをする催しが行われており、ここでも長い列ができていた。
Phippyと一緒に写真を撮れるセルフィー用のスペースも用意されていた。
キーノートでのButcher氏とChu氏のトークは、以下のレポートで紹介しているので参考にしてほしい。
KubeCon Seattle初日のキーノートはHelm、Envoy、Istio、etcdの最新情報をアップデート
新興企業ではBallerinaに注目
大手以外では、クラウドネイティブな開発言語として注目を集めているBallerinaが、大きめのブースを出して露出を高めていた。
中国の企業や参加者は少なめ
上海のKubeConでも注目されたTiKVを開発する中国のベンチャーPingCAPも出展しており、商用版であるTiDBを積極的にアピールしていた。ちなみにRed Hatが推進するOperator Frameworkにも対応しているようで、TiDBのOperatorがあることを説明していた。上海のKubeConの直後だったこともあって、他のカンファレンスでは目立つ中国からのエンジニアはそれほど参加していない印象だった。中国のベンダーは、上海のカンファレンスに注力するという流れになるのだろうか。
その他、Elasticや信頼性の高いデータベースとして注目を集めるCockroachDBも、小さいながらもブースを出していた。
全体を通して3日間の会期中、最後まで人が減らないというのが印象的なショーケースだった。ITカンファレンスによっては、参加者の主な目当てはキーノートやセッションで、最終日などは展示会場には人が集まらないということを筆者も経験している。だが、ここまで熱意を持って対話が行われているショーケースは珍しい。Kubernetesのエコシステムが拡大し、人的リソースに余裕のある大手以外のベンチャーも、ビジネスチャンスを狙って参入してきている熱い盛り上がりを感じるカンファレンスとなった。