エンジニアは技術書を創ろう! 技術書同人誌博覧会レポート
技書博について実行委員長に訊いてみた
まずは技術書同人誌博覧会を始めた目的を教えてください。
前提として、エンジニアにもっとアウトプットしてほしいという気持ちがありました。2018年からエンジニアがアウトプットするための勉強会なども開催していたのですが、そこでは「どうアウトプットすればよいのか分からない」といった迷いを初心者のエンジニアが抱えていることが見えてきました。そのため、アウトプットの目標となるようなイベントが必要だと考えたのがきっかけです。
エンジニアのアウトプットであれば、自身のブログやQiitaなどを使うこともできると思いますが、なぜ書籍なのでしょう?
書籍の利点はいくつかあります。まず情報の集積度、密度が挙げられます。ブログの記事やQiitaのようなサイトの記事は、どうしても単発のTIPS集的なものになりがちです。なにかつまずいた際に検索してたどり着いて、解決策を得るのには良いと思いますが、それを繰り返しても体系的な知識を身につけることはできません。それに対して書籍は、初心者でも読めるように工夫されたものもありますし、体系的な知識を身につけるには適していると思います。
またブログやQiitaだと、他の記事に目移りしがちで、いつの間にか当初の目的とは異なる記事を読んでいたりすることがあります。その点物理的な書籍は、勉強目的で開いたらそこに没頭するしかありませんので、エンジニアの可処分時間を有効活用して効率的に勉強できると思っています。
書籍を書いて、誰かにある知識を教えるということは、書き手自身の復習もなりますし、執筆を通じて書き手も成長できます。アウトプットを通じて自身も成長するのです。
会場のようすを見ての感想を聞かせてください。
年齢性別を問わない参加者が来てくれるように準備しましたが、その点は成功していると思ってます。子連れの方も含めさまざまな参加者が安心して過ごせるように準備をしましたので。暑い盛りの開催なので飲み水を配ったり、入場制限をかけて混雑しすぎないようにしたり。一部のスタッフには、万が一に備えて救命講習も受けてもらっています。
参加者さんが安心して過ごせるイベント会場を実現するため、スポンサーになっていただいている企業にも、それぞれの会社に合ったかたちのスポンサードの仕方をしていただいています※2。
※2 ガイドブックのスポンサー企業一覧を見ると、一般的なカンファレンスで見られるような「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のような分類ではないことが分かる。上記のスポンサー企業のうちgrasysは、「トートバッグサポーター」、GHELIA(ギリア)は「セキュリティサポーター」、Media Do(メディアドゥ)は「パブリシティサポーター」と銘打たれている。
同じ技術系同人誌のイベントである技術書典は意識されてましたか?
していないと言えば嘘になりますね(笑) 技術書典がなければ、技術書同人誌博覧会を開催しようという考えにはならなかったと思いますし。技術書同人誌博覧会のきっかけになったことはまちがいありません。
ただ、技術書同人誌博覧会はあくまでも「エンジニアのアウトプットを支援する場を作りたい」という考えでやっています。
技術書同人誌博覧会の今後について教えてください。
ガイドブックにもあるように、次回の開催は今年の12月14日となっています。それ以降についても内部的にはスケジュールは決まっています。なぜかと言えば、技術書を創るためには時間がかかるからです。
例えば初めて執筆しようという方でしたら、10ページ書くのに30時間くらいはかかるかもしれません。そのペースで1冊分100ページ書くとなると300時間もかかるわけです。1日あたり2時間の執筆時間をとれるとしても150日、5ヶ月にもなります。執筆者さんはお金をかけ、リスクも取りつつ技術書を創るわけですから、我々としては早めにスケジュールを公開して執筆活動の目安となるようにしていきたいと考えています。
第2回の開催も決定!
ガイドブックにも記載されていたが、すでに次回の開催も決定しているという(2019年12月14日予定)。今回よりも広い会場で、多くのサークルが参加できるそうだ。「技術書を創る」ということに興味を持たれた方は、今度は書き手として参加してみるのはいかがだろう? 参加申し込みは2019年8月下旬から始まる予定なので、技術書同人誌博覧会の公式サイトや公式Twitterをチェックしておこう。