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VMware SD-WANのユースケース

2021年2月24日(水)
工藤 真臣

はじめに

今回は、「VMware SD-WAN」の特徴が実際のお客様環境でどのように活用されているのかについて、公開されている事例をベースに紹介していきます。

高価な専用線・閉域網からの移行

VMware SD-WANの活用事例の多くは、高品質だが高価で狭帯域の回線にしか利用できなかった通信環境を、DMPO(Dynamic MultiPath Optimization:第2回で紹介)の技術により複数の安価な広帯域の回線に置き換えるという構成です。

このDMPOの技術では、複数の回線をActive-Activeで有効利用するだけでなく、回線品質を向上する機能が提供されています。この機能により、安価な広帯域の回線を利用した場合に通信遅延が大きくなることで発生する「Web会議の品質が悪い」「本社のファイルサーバへのアクセスが遅い」といった性能問題を抑え、高品質だが高価で狭帯域の専用線サービスと比較して品質と帯域とコストのバランスがとれたWAN環境を実現できます。

また、ローカルブレイクアウトと組み合わせることで拠点間回線の通信を最適化し、拠点間の通信量の増加を抑えることも可能にするのです。

日本国内において、三菱総研DCS株式会社様の事例は、実際に専用線利用からのコスト削減を実現した例として参考になるのではないかと思います。

【参考】三菱総研DSC株式会社
優れた通信品質を維持しながら回線コストを半分に VMware SD-WANで実現したシンプルでフレキシブルなWAN環境

特定拠点間の複数回線の増速

DMPOの特徴でもある複数回線を利用した際に、パケット単位で負荷分散を行う機能を活かした事例です。通常のネットワークの負荷分散では、1つの通信フローは単独の回線を利用し、複数の通信フロー利用時にはじめて回線の負荷分散が実行されます。そのため、複数の回線を束ねて利用してもトータルの帯域こそ増加するものの、1つの通信の最大速度は1つの回線の最大速度でしか利用できませんでした。

DMPOでは1つの通信フローでもパケット単位で複数の回線を利用できるため、複数の回線速度の合計に近い速度まで高速化が可能です。

図1、2は複数の回線を利用した、テレビショッピング放送局における動画アップロードの例です。バックアップデータが増加し、2サイト間の差分転送が夜間では終わらなくなってしまったというようなワークロードを問わない汎用的な問題も解決できます。WAN回線は場所により最大速度の上限に違いがあり、こうした際に複数の安価な広帯域の回線を利用することで、高速なWAN環境を構築できます。また、このような複数回線を使った場合にもQoS機能(第2回で紹介)と組み合わせることで、大量のファイルを転送している回線でWeb会議システムを併用してもWeb会議システムの品質には影響がありません。

図1:SD-WAN導入以前

図2:SD-WAN導入後

多拠点のWAN環境の一元管理と
ローカルブレイクアウトの実現

VMware SD-WANの最近の使われ方として、昨今のクラウドサービスの利用増加に伴うWAN接続の見直しでの採用事例があります。採用の要因は、運用管理の負荷の軽減や、特定のトラフィックが多くネットワーク遅延の影響を受けやすいアプリケーションだけを直接インターネット接続を許可することで、ローカルブレイクアウトによるアプリケーション体感速度の向上や本社、データセンターに配置したプロキシサーバの負荷を軽減すること等が挙げられます。

残念ながらVMware SD-WAN自体にはプロキシサーバを置換するような機能はありませんが、クラウド型プロキシやセキュリティ仮想アプライアンスと連携することでセキュリティとローカルブレイクアウトを両立できます。特に従来の本社、データセンターに配置したプロキシサーバのコストや運用負荷の軽減を目的としたZscaler社に代表されるクラウド型プロキシとの連携機能は、SD-WANの導入と併せて検討いただいています。

日本国内でも、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様の事例は、全国70拠点において一元管理による運用負荷の軽減とクラウド型プロキシとの連携によるローカルブレイクアウトを実現した例として参考になるのではないでしょうか。

【参考】伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
VMware SD-WANを約70拠点に順次展開。ネットワークパフォーマンスの最適化と回線増速にかかるコスト抑制に加えて、クラウド型プロキシによるセキュアなアクセスも実現

海外拠点の通信の高速化

現在、日本国内では海外と比較して通信品質の高い回線が安価に提供されることもあり、VMware SD-WANが持つ通信品質の効果を享受できる機会はあまりありません。ところが、海外では通信品質が不安定だったり、高品質な回線でも低帯域でのみ提供されたりすることがほとんどです。

こうしたVeloCloudの特徴を活かした、本連載の共著者である富士ソフト株式会社様の国内設計会社における事例では、実際に海外拠点との通信を高速化する検証結果が公開されています(図3)。

【参考】富士ソフト株式会社
帯域確保からコスト削減まで ~事例に見るVeloCloud導入効果~

図3:富士ソフト株式会社が公開するVeloCloudの特徴を活かした活用事例

日本とベトナムの拠点間で、ファイルサイズの大きなデータ転送の高速化と、テレビ会議システムの品質向上の両立を実現しています(図4)。これまでに紹介してきたVeloCloudが持つWAN回線の品質向上、複数回線による高速化、アプリケーションのQoSによるテレビ会議システムの品質の担保すべてを実現した非常に面白い事例と言えるのではないでしょうか。

図4:VMware SD-WANの導入効果

日本とベトナムを結ぶ帯域保証のIP-VPNからVeloCloudと通常のWAN回線にリプレースすることで、TV会議システムの品質を維持したままコストは25分の1に、ファイルコピーにかかる時間も25分の1にすることを実現しています。こうした回線品質の向上の効果を享受できる海外拠点との接続はVMware SD-WANの特徴を活かすことができる代表的な事例です。

ほとんどの事例に共通するのは、導入後に2段階のステップを経てすべての機能を有効にしたり、全拠点に展開したりするような形をとっていることです。また、導入時には計画的な既存環境からの移行と導入計画を検討する必要があります。ぜひ十分なVeloCloudの知見を持ったパートナー様と連携し、WAN接続の最適化を実現してください。

次回は最終回として、VMware SD-WANを補完するVMware社の連携ソリューションを紹介します。

株式会社ネットワールド

株式会社ネットワールド所属。vExpert2012-2015,Pernix Prime。VCAP-CID、VCAP5-DCA、VCAP5-DCD、VCP-NVを所有。現在はOpenStackやVMware NSXなどクラウド基盤製品の立ち上げを担当。​

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