NetflixがVPN、プロキシサーバに闘いを挑む
今週の初めごろ、VPNやプロキシ、あるいはブロック解除サービスを使って国外のNetflixを視聴している契約者たちは、数週間後には自分のいる地域のコンテンツしか見られなくなるようになる、とNetflixは発表した。
これはNetflixが新たに130か国でサービスを開始すると発表してすぐに出てきた動きだ。国際的な大きい需要に応えるためのものだが、Netflixはそのサービスをまさに打ち切ろうともしている。
自分の住んでいる国以外のTVや映画を観たいと願う人々にとっては手痛い決断だ。Netflixは今や国際的なブランドなのかもしれないが、ほとんどの映画やTV番組にはその国でのライセンスが定められている。つまり英国に住む人がWalking Deadを観たり、オーストラリアに住む人がHow to Get Away With Murderを観たりすることはできないということだ。
Netflixのサービス規約に変更はない。Netflixはこれまで、居場所を検知するための仕掛けをユーザーが迂回するような事をはっきりと禁じてきたものの、今に至るまで強い手段に出ることは無かった。Netflixは以下のように言っている。
「もし我々のあらゆるコンテンツが世界中で視聴できるようになれば、ユーザーがプロキシやブロック解除ツールをつかって居場所をごまかす理由もなくなる。世界中におけるコンテンツのライセンシングについては引き続きとりかかっており、先週の段階でNetflixは190か国でサービスを行っている。しかし世界中の人々が同じようにすべてのコンテンツを見られるようになるにはまだ越えなければならないことも多い。」
特に海外生活者などはVPNを使ってNetflixを視聴している。私自身ドイツに住む海外生活者であり、外国の映画やテレビ番組のほとんどはドイツ語に吹き替えられている。アメリカの映画をドイツ語で視聴するのは結構だが、言葉に全く不自由がないというわけでもない以上、吹き替え前のオリジナル版が観れた方がありがたい。(ミュージカルの吹き替えなどは最悪だ)
(ドイツ人の)私の友人も同じ意見だ。ある友人は、吹き替えを行う声優がドイツに少なく、そのため作品キャラの多くが同じように聞こえると非難する。また、Breaking Badにおけるブライアン・クランストン役とMalcolm In The Middleのマルコム役が同じだと嘆くRedditのユーザーもいる。
VPNプロバイダにコメントを求めたが、彼らは「議論の今後について見守っていきたい」と語り、また名前は出さないように言ってきた。
VPNサービスがNetflixの新しいシステムの目を欺けるようになるのだろうか?もちろん技術的に違法と考えられている行為を契約者に薦めることは不可能だ。だがもしNetflixが狙いをつけているのが特定のプロバイダで、ハードウェア購入に若干のお金がかかったり、コードを書くのに時間を費やすのが嫌でなかったりするのであれば、Raspberry Piなどを使ってVPNサーバを自作するというのは手軽な方法だ。ハードウェアの購入に若干のお金がかかり、コードを書く時間も必要になるのはいうまでもない。もし特定するのが簡単な企業ではなく、みんなが分散したVPNを構成することになれば、Netflixにとって取り締まることは楽ではない。
少なくともNetflixは、人々が場所を問わずに同じコンテンツを観たがっているということを理解しており、今回とったこの動きは、どちらかというとコンテンツを提供しているハリウッドのスタジオに対する配慮ではないかと考えている。しばらくはVPNとのいたちごっこが繰り広げられることだろう。
ReadWriteJapan編集部
[原文]
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