モバイルファーストの号令のもと、多くのWebサイトやアプリケーションがモバイルへの対応を進めている。また昨今では“ユーザー体験”というキーワードも非常に重視されるようになった。普段からスマートフォンを利用する個人ユーザーはもちろんのこと、このモバイルでのユーザー体験を重視する流れはエンタープライズ分野にも確実に押し寄せている。来日したHewlett Packard Enterprise(HPE)のデビッド・ランズバーグ氏にモバイルアプリ開発のトレンドと企業の対応状況、またHPEとしての戦略や方向性について話を伺った。
冒頭、デビッド氏は1つのユースケースを紹介した。ある航空会社のモバイルアプリから通知を受け取る、これから飛行機に乗るところだがどうやら道中で交通事故があったようだ。そのアプリは空港までの別ルートを取るかフライトの時間を変更するかという選択肢を提示してくれた、これは非常に素晴らしいユーザー体験である。こうした体験を実現するためにこのアプリのバックエンドでは多くの仕組みが動いている、もちろんたった一人で提供できるものではない。また、ユーザー体験には、アプリケーションのパフォーマンスや使いやすさセキュリティなど、多くの要素を含んでいる。
また別の例では、80%の人が朝起きて15分以内にモバイル端末を手にとってチェックしているという調査結果も示した。ユーザーにとって最もポピュラーのインターフェースはモバイルであるのはもはや疑いようがないだろう。
こうしたユースケースやモバイル端末の利用状況などから「ユーザー体験を担保するためにクオリティマネジメントが非常に重要になっている」とランズバーグ氏は強調する。しかし一方で、多くのプラットフォームに対応するのは非常に難しく、また初期の段階からセキュリティを意識した設計も重要になっているのが実情だ。
こうした課題を踏まえてHPEでは、アプリの設計・構築から開発、本番稼働、運用まで、パフォーマンスをモニタリングして最適化、ユーザー体験を担保している。ライフサイクル全体の視点で管理運用する際にハブとなるのが、同社が提供してるHPE Mobile Centerという様々なシステムを統括するツールだ。アナリティクスのAppPulse Mobile、Network Virtualization、セキュリティのSecurity Fortify、手動テストのSprinter、機能テストのUFTやLeanFT、パフォーマンステストのLoadrunnerとStormRunner、モニタリングのAppPulse Active、フィードバックを受け付けるAppPulse.ioなど全方位でサポートしている。
またランズバーグ氏は、今後デバイスやセンサー、ネットワークなどよりテスト環境が複雑になっていくことを挙げ、CrowdTestingの活用やIoT向けのセンサーの仮想化、実社会のデータを取得していくような試みにも意欲を見せていた。
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