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| モバイルインターネット広告の活用がキー | |||||||||||||||||||||
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拡大するインターネット広告市場の中に、さらなるスピードで拡大する市場がある。それは、携帯電話向けインターネット広告(モバイル広告)である。筆者らの推計では、2006年で400億円程度の市場が、2010年には約1,400億円と3倍以上に膨れあがるとみている。 携帯電話の利用者数は9,500万人を超え、1日あたりの利用時間は3時間を超える。広告価値を規定する利用者と利用時間という点では、すでにインターネット(PCなどの固定端末を使用したもの)を超えている。それでも、これまで市場の拡大が見られなかったのは、ひとえに通信速度の問題である。携帯電話では、第3世代利用者が6,000万人を超えたといっても、その実効的な平均通信速度は100Kbps程度に過ぎず、まだナローバンドの時代なのである。 この状況が昨年、NTTドコモ、KDDI、SoftBankモバイル各社から提供開始されたHSDPAに代表される第3.5世代以降の携帯電話の普及によって一変する。HSDPAでは、理論値では最大14.4Mbpsの通信速度がでるとされ、名実ともにモバイルブロードバンド時代のはじまりとなる。
注1:HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)
第3.5世代携帯(3.5G)に位置づけられるパケット通信規格で、最大14.4Mbps(理論値)の速度がでる。なお、上がり方向の規格としてはHSUPAがある。 2010年時点では第3.5世代以降の携帯電話利用者は全体の約2割、2,000万人程度と見込まれ、モバイルインターネット広告市場は2010年以降もさらに拡大することが期待できる。 |
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| 広告の伝達手段の多様さがものをいうモバイルインターネット広告 | |||||||||||||||||||||
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広告を消費者に届けるためには、何らかの伝達手段が必要となる。テレビの場合は、放送波、新聞広告の場合は紙、パソコン向けインターネット広告の場合は、FTTHやADSLなどの通信経路である。このような経路のことをベアラーと呼ぶ(表1)。携帯電話は、多数のベアラーを持っていることが、他の広告媒体と異なる点である。
表1:携帯電話に搭載されているベアラー 出展:野村総合研究所 モバイル向けインターネット広告は、表1に示してるすべてのベアラーから広告配信が可能である。肌身離さず持つ携帯電話に対して、事業者側はあらゆる接点で消費者にアプローチすることが可能となる。つまりは、携帯電話が広告の時間と場所の制約を撤廃することとなる。 ベアラーの多様さは、広告の多様さを生む。携帯電話向けインターネット広告は図3に示すように様々な手法が開発されている。広告の基本分類は、ユーザから許可を得ることで、ユーザが意識することなく広告が事業者側から配信されるプッシュ型と、ユーザが自ら行動を起こし、広告を受信するタイプのプル型の2つから構成される。この2タイプは、パソコン向けのインターネット広告でも存在するものである。 パソコンに対して場所の制約がない携帯電話では、これに加えてネットワークを活用したネット重視型と、実店舗との接点を重視したリアル連携型の2つのタイプが存在する。特にリアル連携型はパソコン向けインターネット広告では見られないタイプである。事例としては、次のようなものがあげられる。 非接触ICを搭載した携帯電話(いわゆるおサイフケータイ)を店頭に設置されているリーダー端末にかざすことで、その店舗の広告と同時に電子クーポンを受信できるサービスがある。これは単なる告知広告の枠に留まらず、実際の消費にまで密接に関係したキャンペーン型の広告へと昇華されている。 こうした各種広告の中で今もっとも注目を集めているのが、行動連動型の広告である。これは過去の購買履歴、行動履歴などに応じて、時と場所を選んで広告を消費者に配信するものである。 例えば、あなたが金曜日の夜19時に新宿駅を降り立ったとき、それまでの飲食店や、百貨店における購買・行動履歴から、そのときに欲しいであろう商品のキャンペーン情報をメールやモバイルサイトのトップページなどに表示するという広告が考えられる。各消費者の嗜好に応じた広告を配信できると期待されているため、広告価値が高く、単価の高い広告料を徴収できるのではないかと、広告業界では注目を集めている。 しかし、果たして消費者は広告事業者が求める各種履歴を公開するのであろうか。 |
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