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2004年、Red Hat Enterprise Linuxが特に強い日本のLinuxディストリビューション勢力図を塗り替えるかもしれない製品が本格参入した。ノベルの「SUSE LINUX」である。数多くのディストリビューションの中でなぜ、それほどまでに注目されているのか。今回は、エンタープライズサーバOSとしてのSUSE LINUXの機能を見てみよう。 |
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| SUSE LINUXとは? | ||||||||||||
| SUSE LINUXは、1992年にドイツで生まれた、最も古いと言われているLinuxディストリビューションである。それだけに、エンタープライズサーバOSとしての採用例も多く、特にヨーロッパを中心に高いシェアを確保してきた。現在、ヨーロッパでは第1位のシェア、全世界ではRed Hat Linuxに次ぐ第2位のシェアを持つと言われている。 ところが、日本市場への参入については完全に出遅れていた。秋葉原のショップが代理店となって、どちらかと言えばテスト用、あるいはパワーユーザー向けに販売されていたに過ぎなかった。日本法人の設立も計画されたが、投資コストの問題などで断念した経緯もある。それでもSUSE LINUXは、IBMなどのベンダーにより、サーバに組み込まれたLinuxディストリビューションとしてわずかながら企業に入る例もあった。とはいえ、日本法人を設立し、日本のベンダーに積極的に採用されてきたRed Hat Linuxとは比較にならなかった。 だが、そうした事情は一変する。2004年1月、ノベルがSUSE LINUXを買収したのだ。同社は、2004年5月に日本向けのディストリビューションパッケージを投入。日本市場に本格参入を果たした。そして2004年8月、現行バージョンの「SUSE LINUX Enterprise Server 9」を発売した。 |
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| 最新のLinuxカーネル「2.6」を採用 | ||||||||||||
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SUSE LINUXは、Linuxの最新カーネル「2.6」を採用した最初の商用ディストリビューションである。カーネル2.6は、エンタープライズサーバOSに求められる拡張性の向上を最大の目的としている。2001年11月に登場した開発版のカーネル2.5を発展させ、2003年12月に初めて正式版の2.6.0がリリースされた。現在の最新版は2004年10月にリリースされたカーネル2.6.9。ちなみにLinuxのカーネルは、2.4や2.6のようにバージョンのセカンドナンバーが偶数のものは安定した正式リリース版、2.3や2.5のように奇数のものは開発版と位置づけられている。 カーネル2.6は、カーネル3.0になるのでは、と噂されたほどのカーネルのメジャーバージョンアップであり、従来のカーネルに比較して数多くの特長を備えている。たとえば、カーネル2.4でさまざまな制限があったマルチプロセッサ対応が大幅に拡張されている。基本的にプロセッサのアーキテクチャの最大数(32bit x86なら128、64bit Itaniumなら512)をサポート。カーネル2.4まではLinuxシステムの拡張は複数台のサーバをクラスタ構成にしたスケールアウトが主流だったが、カーネル2.6ではスケールアップにも十分に対応できるようになったのだ。 サポートするプロセッサ数の増加に伴い、スケジューラの構造も変更された。従来のスケジューラでは、処理を行うプロセスをシステム全体で1つにまとめ、キューの中の優先順位の高いものから順番に各プロセッサに振り分けて処理を行っていた。そのつどキューにたまったプロセスの優先順位を検索するため、プロセスの数が多くなればなるほどスケジューラの処理時間がかかるという問題があったのだ。そのため、カーネル2.6のスケジューラでは、処理の優先順位が高いものから並べ替えられたキューがプロセッサ単位で実装されている。これにより、プロセッサのオーバーヘッドが大幅に削減された。 また、I/Oの処理方法が大幅に改善された。ブロックI/Oを行うキューは、従来のカーネルでは1つしかなかった。そのため、ブロックデバイスへのI/O処理が行われているときはキューがロックされてしまい、そのロックがはずれるまではほかのブロックデバイスへのI/O処理が行えない。カーネル2.6では、そのブロックI/Oが改善され、複数のブロックデバイスに対して同時にI/O処理が行えるようになっている。こうした改善は、数多くのストレージに対してI/O処理を行うサーバ処理に適したものである。 そのほか、ページアウト処理の効率化を実現した「rmapVM」などの仮想メモリ管理方法の改善も改善されるなど、エンタープライズサーバOSに相応しいものに仕上がっている。 |
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