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| BCMのあり方を考える | |||||||||||||||
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本連載ではハリケーン・カトリーナ危機に対する米国連邦政府の応急対応の問題点およびBCMに成功した企業の事例として、サザンカンパニー、スターウッドホテルおよびウォルマートについて解説しました。 「第1回:BCMとは何か」でも述べたように、日本では、首都大規模地震や東海・南海・東南海地震などの広域・大規模震災の発生が懸念されており、地域レベルでの防災・減災への取り組みの強化が求められています。同時に、BCMの一環として地域の減災・防災における企業の果たす役割とは何かを考えることも非常に重要であると思います。 最終回となる今回は、以上を踏まえて「大規模震災に向けたBCMのあり方」について考えてみたいと思います。 |
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| ハリケーン・カトリーナ危機に対する連邦政府の対応とBCMに成功した企業の対応 | |||||||||||||||
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最初に、ハリケーン・カトリーナ危機に対する連邦政府とBCMに成功した企業の対応における本質的な違いは何かについて簡単に考察してみたいと思います。 当該危機に対する両者の対応の本質的な相違点として、「壊滅的な自然災害に対する準備」「予防的応急措置」「コミュニケーション・応急対応活動の連携」および「危機管理指導力」の4点をあげることができます(表1)。
表1:ハリケーン・カトリーナ危機に対する連邦政府とBCMに成功した企業の対応の比較 (みずほ情報総研作成) ここで重要な点は、連邦政府はオールハザードの危機に対して、「国家応急対応計画(NRP:National Response Plan)」を準備していたことです。これは、国土安全保障省(DHS)長官を危機管理の責任者として、連邦・州・地方政府、米国赤十字などのNGO、民間企業などとの連携・協調体制に基づく準備・応急対応の体制と仕組みを体系的に記述した新しい防災・危機管理計画です。 そのような準備にもかかわらず、連邦政府のハリケーン・カトリーナ危機への応急対応が遅れた原因は、NRPが当該災害の起こる8ヶ月前(2004年12月)に策定されたものであり、政府の危機管理関係者がNRPの内容について必ずしも完全に理解していなかったということがあげられます。 そして、最大の原因はホワイトハウスやDHS、連邦危機管理庁(FEMA)を含めた連邦政府内で、当該災害への対応について確固たるリーダーシップを発揮する者がいなかったことにあります。 筆者は、これが、本来減災することが可能であった当該災害の規模(特に犠牲者・被災者数)を拡大させ、連邦・州・地方政府による救援・救助活動の混乱を招いた大きな要因であったと考えています。これは、当該災害の究明調査の一環として行われた上院と下院の聴聞会(上院21回、下院9回)での関係者の証言から、十分に読み取れます。 一方、本連載で取り上げた事例の企業は、いずれも被災地域の事業責任者あるいは危機管理責任者が陣頭指揮をとって応急対応にあたり、ほとんど犠牲者をださずに、迅速な事業の復旧・継続に成功しました。 これは、大規模災害時における企業のトップおよび危機管理責任者のリーダーシップが、いかに迅速な事業復旧と事業継続の成功を左右するものであるかを物語るものといえます。 |
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