第8回:要求仕様書の標準化プロセス (4/4)

即活用!業務システムの開発ドキュメント標準化
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第8回:要求仕様書の標準化プロセス
著者:システムインテグレータ  梅田 弘之   2005/11/9
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概略費用

   要求分析フェーズで重要なのは概略費用を算出することです。意思決定者は、この金額を元にシステム化を行うかどうか、もう少しシステム化範囲を絞って費用削減するかなどの判断を行います。ゴーサインが出ると、予算化してプロジェクトが正式にスタートすることになります。
効果(定性/定量)

   システム化を行うかは投資対効果の観点で判断されます。効果には定性効果と定量効果がありますので、それぞれ分けて記述します。定量効果は数値や金額で表すことのできるものです。事務作業時間を年間1000時間短縮、要員3名削減、印刷用紙10000枚削減、年間保守費用400万円削減などの数値効果を金額換算して書き出します。

   多くの場合、予想される定量効果だけでは投資対効果のバランスが満足しません。それはシステム化にはお金に直接換算しにくい定性効果が大きいからです。例えば、決算書の作成が10日早まるといえば、どの経営者も喜んでくれるでしょう。

   しかし、この効果を金額換算するのは少し難しいでしょう。金額というよりも、企業イメージ向上、投資家に対するサービス向上、経営判断の迅速化という効果が主体だからです。このほかにも、従業員のモチベーション向上、取引先に対するサービス向上、新卒採用時のアピールなどの様々な定性効果が考えられます。


体制図

   この段階では、プロジェクトの体制図に担当者まで入れて記述するのは難しいでしょう。プロジェクト成功のためにどの組織がどのように関与するか、コンサルタント会社や開発会社などがどのように関わるかなどを組織主体の体制図とし、プロジェクトのゴーサインが出たときに具体的な担当者を決定してプロジェクトをスタートします。


概略スケジュール

   要件定義では納期を決めなければなりません。やるとなったらできるだけ早くというのがユーザの希望でしょうが、実現可能な納期でなければスタート前から失敗プロジェクトとなります。概略スケジュールを書いて、どのくらいの開発期間が必要かを判断し、経営ニーズと照らし合わせて納期を決定します。


まとめ

   業務システムの開発効率を高めるために、開発ドキュメントの標準を定める必要性はどの会社も感じている課題です。しかし開発言語や開発手法が多様化し、次々と新しい技術が出現する中で全社的な標準を作成し、それをメンテナンスしていくのはかなり困難な作業です。だからといって何もしないままでは、いつまでたってもソフトウェア業界は旧態依然のままといわれ続けます。

   本連載で紹介したように、ソフトウェア開発においても業界標準規約はあります。しかし標準規約は抽象的、網羅的なのでそのままでは現場で使えません。そこで弊社では、実践的なドキュメント標準「DUNGEON」を作成して利用しています。8回の連載で、要求分析から総合テストまでに必要となる一連のドキュメントを紹介しました。これらがみなさんの生産性向上に少しでも参考になることを願っています。

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著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経て1995年にシステムインテグレータ社を設立。 常駐・派遣主体の労働集約的な日本のソフトウェア業の中で、創造性にこだわってパッケージビジネスを行っている。 国際競争力のない日本のIT産業が、ここから巻き返しを図るための切り札は「プロジェクト管理」だと信じ、実践的なプロジェクト管理手法「PYRAMID」を自社開発している。


INDEX
第8回:要求仕様書の標準化プロセス
 ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP)とDUNGEON
 IEEE830標準 ソフトウェア要求仕様
 現状の課題と改善策
概略費用
即活用!業務システムの開発ドキュメント標準化
第1回開発ドキュメント体系と業務フロー
第2回機能一覧表とI/O関連図
第3回基本設計書
第4回詳細設計書(前半)
第5回詳細設計書(後半)
第6回単体テスト仕様書&報告書
第7回結合テストと総合テスト
第8回要求仕様書の標準化プロセス
関連記事 : 即活用!企業システムにおけるプロジェクト管理
第1回プロジェクト管理力を強化するための具体的プラン
第2回PMBOKをベースにしたプロジェクト管理の管理
第3回スコープ管理とスケジュール管理
第4回コスト管理の構造と見積手法
第5回品質管理
第6回組織管理
第7回コミュニケーション管理
第8回リスク管理
第9回調達管理(外注管理)
関連記事 : 即活用!ツールを活用したデータモデリング
第1回ソフトウェア産業に産業革命を起こすデータモデリング
第2回ERの基礎知識とツールの活用法
第3回日本語名の是非とデータ型採用方針
第4回制約の使い方、Unicode使用可否、明細テーブルの設計
第5回教科書的ではなく、現場にあったデータベース設計のコツ

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