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改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - サーバ編

第2回:HAクラスタとバックアップ
著者:日本ヒューレットパッカード  古賀 政純   2006/5/25
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RHEL4をベースとしたHAクラスタシステムソリューション

   オンラインショッピングのようなカートを使った商品の購入システムや有名な検索エンジン、企業ポータルなどのようなシステムでは、インターネットを経由して多くのユーザが一度に集中的にアクセスします。そのようなシステムにおいて応答速度の低下やシステム障害、サービス停止は、その企業イメージの低下に直結することとなり多くのビジネスチャンスを失うといっても過言ではありません。

   この原因をITシステムとしての側面から考えると、表1にあげたような様々な要因があるのです。
  • ネットワークトラフィックの増大に対して、システム側の負荷分散処理の不足
  • システム単体の性能が低いため、処理速度が遅い
  • 定常状態では安定するが、要求処理の急激な増大に対して、計算処理が追いつかずシステム停止に追い込まれる
  • チューニング不足
  • ハードウェア障害により、システムが停止する

表1:応答速度の低下やシステムが停止する理由

   表1にあげた中でもシステム停止は、ビジネスチャンスだけでなくその企業の信頼に関わる問題であり、企業のITシステムにおいて最も取り組まなくてはならない課題の1つでもあります。

   このようなシステム停止が命取りになるようなITシステムは「ビジネスクリティカルシステム(Business Critical System)」あるいは「ミッションクリティカルシステム(Mission Critical System)」と呼ばれます。

   ミッションクリティカルなシステムの例としては、銀行ATMのオンラインや列車・飛行機の予約および発券システム、携帯電話網や携帯メールシステム、証券取引所などのように数多く存在しています。

   このような「障害が許されないシステム」では、はじめからシステム障害を防ぐ目的で設計された専用の大規模なハードウェアを採用して、何重もの冗長構成を組みます。

   「停止しないこと」を目的として設計されたシステムでは、ハードウェアからOS、ミドルウェア、アプリケーションまですべてが特注品で構成されています。システムに障害が発生した場合でもサービスが継続されるためには、ハードウェアのコンポーネントを冗長化構成にして、サービスの提供を行うアプリケーションの実行を停止させないようにする必要があるからです。

   このようにして設計されたシステムをハイアベイラビリティクラスタ(HAクラスタ)と呼び、UNIXサーバやNonstopサーバなどで構成されています。

   近年ではLinuxサーバを使ったHAクラスタシステムの導入も増えてきており、基幹業務はUNIXサーバやNonstopサーバで構成して、末端の部門サーバにLinuxサーバを導入することもめずらしくありません。

   今回はLinuxによる部門サーバとしてHPが提供するServiceguard for Linux(以下SGLX)の特徴を紹介します。

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
第2回:HAクラスタとバックアップ
RHEL4をベースとしたHAクラスタシステムソリューション
  HP Serviceguard for Linuxで実現するHAクラスタ
  レスキューモードによるシステムリカバリ
  ブレードサーバから管理ノードへイメージ吸い上げる場合