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| 「どちらがよいか」の単純比較は無意味。「どちらがビジネスに有効か」に注目せよ | ||||||||||||||||||||
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こうして見てくると、どうも総合点としてOSSは商用ソリューションに大きく水を開けられてしまう。OSS DBはビジネス用途に不可欠の条件を欠いているというのが、残念だが結論なのか?しかし、堀内氏はそうした単純な比較や優劣をつけるばかりでは何の解決にもならないと説く。 「本当にビジネスにとって有効なデータベースを選ぼうと考えるならば、表面的な分類に目を奪われて『商用DBだ、いやOSSだ』という水かけ論に陥ることなく、TCO削減への効果といった本質的な視点から検討を行う必要があります」 かつてのメインフレームは、大きい、変化への対応が難しい、互換性がないといったマイナス面ばかりがクローズアップされてきた。しかし、ハードウェア/ソフトウェアの性能が向上し、ダウンサイジングも一通りの目標を達成した。さらに、データの互換性などの環境もかなり整備されてきている。 だが一方では、システムが巨大化・複雑化して管理・運用のコストが企業に大きな負担を強いるようになっている。皮肉なことに、かつてメインフレームが抱えていた問題に、企業システムはふたたび直面しているのだ。事実、その点でメインフレームの安定性や統一された環境が見直されていると評する向きも一部にはあるようだ。
「メインフレームのユーザがいまだに少なからず存在する理由は、変化を嫌うユーザの意識によるところが大きいからであり、だからといってメインフレームに戻ればよいということではありません。むしろ大切なことは、オープン化のかけ声とともに過度に進んでしまった分散化をもう一度見直して、適度な集中化へと導くことです」かつて分散化がもてはやされたのには、それなりの理由があった。当時はまだハードウェアの機能が低くソフトウェアも未成熟。さらにネットワークは遅く、そのままでは実用に耐えなかった。この解決策として「それでは分散化して、各々のイクイップメントの負荷を下げればなんとかなる」という苦肉の策だったのである。
「それが、ふと気づくとマシンもアプリケーションも格段によくなっている。かつてのハイエンド機の性能をしのぐマシンが安価で購入できる時代に、わざわざ管理の大変な分散化を続ける必要はありません。今こそ、過度に分散化が進んだシステムを適度な集中化へと引き戻す好機だといえます」"集中化"を"標準化"と言い換える方がより適切だと、堀内氏は付け加える。あちこちに散らばってしまったシステムを、優れたハードウェア/ソフトウェア/ネットワークの力を借りて統合された環境に再構築し直し、一元的な運用・管理を実現してTCO削減を達成する。このシナリオは、すべてのエンタープライズ系ソリューションを選択する際に有効であり、もちろんデータベースを選択する際の基準ともなるのは言うまでもない。 |
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| 悲観する必要などない。OSSの可能性は適材適所で探せばある! | ||||||||||||||||||||
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なるほど、ビジネスに対する本質的なコスト効果という観点で見ていけば、商用製品もOSSも同じ"データベース"という地平で客観的な評価を下すことが可能だとわかる。とはいうものの、やはり前ページの「なぜOSSのDBは、ビジネス用ソリューションとして普及しにくいのか?」で示されたトラブル時の保証や導入実績といった問題を考えると、当たり前だが現在のデータベース市場の勢力分布は必然的なものだと感じられてくる。 そう考えてくると、やはりOSSがエンタープライズ系データベースとして活躍する可能性は薄いと考えざるを得ないのだろうか……? 「いや、OSSの手軽さやコスト面での優位を活かす場はあります。試験的に何か1つソリューションを作ってみようというようなケースですね。たとえばWebの掲示板をゼロから手で作ったら大変です。とはいえ商用DB製品は高くて試作になど使えない……というときに、OSSなら気軽に使えます。DBのコスト面での敷居が低くなれば、トライ&エラーの開発も行いやすくなります。そういった、『ちょっと使ってみる』という風なアプローチで広まっているという動きはあると見ています」 実際にエンジニアでも、そういう使い分けを行っている人が潜在的にいるのではないか、というのが堀内氏の推測だ。
「インテグレータの立場でユーザ企業へシステムを提案するとなると、やはりソフトウェアの周辺の状況やトラブル対応までを視野に入れないとなりません。そこで、社内での試作はOSSでコストをかけずにどんどん行って、結果が出たところで本番の提案は商用ソフトウェアを使うといった使い分けは充分あり得ると思います」なるほど、OSSならではのコストでの優位性を前面に出した活用法があるというわけだ。 とはいえOSSの場合、ユーザの出してくる細かな要件に応えきるだけの"かゆいところに手が届く"機能を期待するのはまだ難しい、とも堀内氏は語る。同氏の耳に届いた範囲内でも、ディスクI/Oのパフォーマンスが出ないとか、大容量のトランザクションが発生するシステムで使おうと思ったが実装が厳しかったという実例もあったとか。ただ、これも有料サポートを利用することで解決できるケースも充分あるという。
「それともうひとつ、重要なことがあります。将来を見ているインテグレータが、OSS DB製品に今、関心を抱き始めて、実際にアクションを起こしているのです。たとえば、住商情報システムは2004年1月に、MySQLについて日本国内におけるプライマリソリューションパートナー契約を締結、また野村総合研究所も同年12月に同じように契約を結んでいます」「さらにNTTデータは、複数のPostgreSQLで並列分散データベース環境を実現するソフトウェア『PostgresForest』を開発・公開したり、OSSへの取り組みを加速するため、200人規模の専門組織『オープンソース開発センタ』を設置するなどの試みを進めています。こうした有力インテグレータが相次いで動き始めているという事実には、その狙いやどんな戦略を考えているのかということも含めて、今後注目しておいてよいでしょう」 折しも今年の2月には、日本国内の官民によって構成されているオープンソース推進団体「日本OSS推進フォーラム」が、LinuxやMySQL、PostgreSQLといったOSSの開発コミュニティや、ベンダーによる商用サポートの状況を一般向けに説明した資料「オープンソースソフトウェアが開発コミュニティからユーザーに届くまでの仕組み」を発表するなど、国内のOSSを取り巻く環境は着実に前進を続けている。堀内氏の示唆どおり、今後の動向にはぜひ注目していきたい。 |
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