サーバのハードウェア管理手法
サーバのハードウェア管理手法
ハードウェア管理者は、管理対象となるサーバが設置されているデータセンターやコンピュータルームに足を運び、サーバやストレージに異常がないかを チェックします。個々のサーバやストレージ、無停電電源装置などすべて正常に稼動しているかをチェックする必要があり、かなりの手間がかかります。また各 サーバのコンポーネントに異常がないか、過負荷になっていないかなどをハードウェアに搭載されたLEDなどにより「目視」で確認する必要があります。
多くのサーバでは電源状態やハードディスクのアクセス、NIC通信状況、ハードウェア劣化情報などが前面パネルにあるLEDなどにより目視でわかる ようになっています。一般的なハードウェアメンテナンスは、NIC通信LED、電源LED、ハードディスクLEDを目視してから行います。

図2:サーバに設けられているインジケータLEDの例
ラックマウントサーバの場合は、ラック背面に位置するサーバ背面の冗長電源モジュールやLANケーブルの接続状況を確認します。ハードウェアの直接管理では、ハードウェア筐体のLED確認のほかに筐体内部を空けてみるなどの管理手法があります。
コンソールを使ったサーバ管理手法
サーバやストレージの異常を人間の目視によって確認することは非常に重要なことですが、目視だけではわからない異常も数多く潜んでいます。このよう な異常はサーバにログインすることである程度把握することができます。管理対象のサーバにログインするためには、一般的にディスプレイ装置やシリアルケー ブルを使ったコンソールを使います。
管理対象がLinuxサーバである場合、端末エミュレータを使ってログインプロンプトを出してコマンドを入力することで管理できます。またシリアル ケーブルを管理対象サーバのシリアルポートに接続する方法や、管理対象サーバに直接接続されているKVM装置を経由して、ディスプレイとキーボードを使っ て操作する方法などがあげられます。
特にシリアルケーブルによる接続は、管理対象がLinuxサーバのみならず、ネットワークスイッチにも適用できるため利便性が高く、システムメンテナンスを行う人は覚えておいたほうがよいでしょう。
Windows用の「Tera Term」などのソフトウェアを使うとシリアル接続を行うことができますが、Linuxでも簡単に接続することができます。特にシリアルコネクタを持ったスイッチなどにログインして、VLAN設定などを行う場合に重宝します。
古いノートPCではシリアルポートが設けられていましたが、最近ではシリアルポートがなくなってきており、Linux環境のサーバからシリアル接続で管理したい場面が出てきます。
Linux環境のみでネットワークスイッチにシリアル接続を行う方法
以下の例では、Linuxしかない環境でネットワークスイッチにシリアル接続を行う手順の例です。
シリアルケーブル接続先(管理対象となるLinuxサーバやネットワークスイッチの管理ポート)と接続元のLinuxクライアントをシリアルケーブ ルで接続します。シリアル接続元のLinuxクライアントマシンのBIOSでシリアルポートが有効になっていることを確認します。サーバの機種によって BIOSの設定は異なります。ProLiantサーバの場合は、F9セットアップなどで簡単に確認できます。
シリアル接続元のCOM1ポートを利用する場合、接続元のLinuxクライアントにてttyS0の設定を行います。
# vi /etc/inittab
...
S0:2345:respawn:/sbin/agetty ttyS0 vt100
上記で編集した/etc/inittabファイルの設定を有効にするため、telinitコマンドを実行します。
# telinit q
次にシリアル接続元のLinuxクライアントから管理対象となるLinuxサーバやネットワークスイッチにシリアル接続を行います。
# cu -l ttyS0
Connected.
cuコマンドはRed Hat Enterprise Linuxの場合、uucp RPMパッケージに含まれています。cuコマンドでシリアル接続を切断するには、シリアル接続しているターミナルウィンドウで、「~.」を入力しEnterキーを押します。
~. (Enter)
シリアル接続して操作するためのソフトウェアとして「minicom」などがありますが、設定オプションが豊富なこともあって初心者には利用しづら い傾向にあります。しかしcuコマンドであれば簡単に接続できるので、シリアル接続によるメンテナンスを行う場合には必須の知識といってもよいでしょう。

