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ロボットが世界を支配することはない―世界をよりよくするだけだ

2015年8月25日(火)
ReadWrite Japan

ゲスト著者のアンヌ・バルドゥッツィは、「プライバシー第一」のソーシャル・ディスカバリー・プラットフォーム(知人同士ではなく、未知の人と繋がるスタイルのプラットフォーム)、SameGrainの創業者およびCMO。アップル、Quantum Computer Services(のちにAOLと改称)、Viewtronでマーケティングおよび製品開発を務め、インターネット黎明期からの先駆者。

レイ・カーツワイルは、映画『ターミネーター』のように、人工知能(AI)が人間の思考を追い抜く時点を「特異点」と呼び、それはよく知られるようになった。ロボット産業と人工知能においてあらゆる進歩が成し遂げられ、われわれはこの現実の最先端に立っているのだろうか?

ロボット工学から超小型ロボット、機械学習ソフトウェアに至るまで、このようなテクノロジーは急成長している。Business Insider Intelligenceの報告によれば、2019年までに消費者および企業向けロボットの市場は15億ドルに達するという予想だ。さらに、Transparency Market Researchの報告書では、予測分析ソフトウェアの市場は2019年に世界規模で65億ドルに達するだろうと述べられている。

このような進歩においては、従来の産業およびロジスティック・アプリケーションから、消費者およびオフィスでの利用へ焦点が移行している。そうなることで、日常生活が劇的に変わる可能性は高まっている。

ロボットおよびAIのテクノロジーは急速に進歩しており、実際にロボットが生活する「ハリウッドのような世界」はそう遠くないように思えるかもしれない。確かに、こういった機械化されたテクノロジーは、人間に飲み物を提供したり、クイズ番組の問題に答えたり、われわれを世界中の人と結びつけることはできる。だが、イーロン・マスクはAIがわれわれを支配するロボットになると懸念しているものの、ロボットの文明は人間なしにはありえないのが現実だ。

現在:ロボティクスとAIにより人間の寿命が延びる

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ロボット工学と人工知能産業には、このようなテクノロジーを叶えるための幅広い役割がある。第一には、物理的統合だ。この場合、ロボットによってプロセスが大幅に改善される。

注目すべきは、ロボットが新たなイノベーションと探求の扉を開くことにより、この統合が科学や医学分野に影響を与えていることだ。現在、われわれは人体から宇宙空間に至るまで、以前はアクセスできなかった領域を探索することができるだけでなく、医療行為ではロボットのパワーと精度を活用し、ヒューマンエラーのリスクを減らすことができる。

後者には機械学習の技術も含まれる。新しい認知アプリケーションは人間の行動や性質を活用し、特定の目的に相関するデータを利用している。システムは個人に特有の情報を大量に収集し、その情報はその後、その個人向けにアレンジされた体験を提供に利用される。家からの最適な交通ルートやおすすめの買い物を教えてくれたり、恋人や仕事のつながりを見つけてくれたりもする。

企業や広告主はこの予測技術を活用して顧客のことをよく知り、将来の購買行動をうまく予測している。

現実的な将来性:ロボティクスとAIにとって最善のシナリオ

われわれは、AIやロボット・システムが至る所に普及したSFのような未来を考えることもできるが、おそらくより現実的に考えれば、未来の姿は、様々な物理的なアプリケーションが機械学習にどうやって対応するかによる。例えば、ウェアラブル・デバイスを取り上げてみよう。

Apple Watchのようなウェアラブル・デバイスでは、シックな時計で私生活やビジネスを便利に管理することができる。だがそれだけではなく、機械学習を用いた健康管理ソリューションや生産性を計算するデバイスとしても機能する。アップルのHealthのような健康関連アプリは、食生活情報を取り入れ、運動習慣の追跡を継続するよう補助してくれる。Hoursのような生産性に関するアプリは、われわれの時間を追跡し、タスクからタスクへ簡単にジャンプできる。

これらのガジェットが栄養士やプロジェクト・マネージャーといった専門家の役割を奪う日はいつか来るかもしれない。しかし、ガジェットがいつの日か人間よりもスマートになる可能性はあるだろうか?

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答えは、限りなく高い可能性で、ノーだ。エモーショナル・インテリジェンス(EI)および、人間性や社会的な相互作用を基本的に理解していることは、人と機械を区別するものだ。パラメーターを設定し、入力データを提供する科学者、技術者、エンドユーザーがいなければ、コンピュータや機械は自ら「スマート」にはならない。スマートフォンやFacebookのアカウント、あるいは単純なグーグル検索を利用するユーザーは、何かを入力するたび、機械学習という生き物にエサを与えているのだ。

個人が行うあらゆる相互作用が、より強力な人工知能システムを導く可能性はあるが、AIはまだ人間の介入なしには存在できない。

カーツワイルやマスクはロボット工学や人工知能の未来がどのようなものであるかについて、大胆な予測を行った。人間のサイボーグが本当にできるのかどうかは、未来になってみなければ分からない。だが近い将来、ロボット工学やスマート・テクノロジーは職場から家庭に至るまで、驚くべき方法でわれわれの生活に浸透することは確実だといえる。携帯電話があなたの栄養ニーズを基にして、レストランで料理を注文してくれるところを想像してみよう。

人間とロボットとの相互作用が継続し、このようなテクノロジーが発展すれば、われわれの生活はより「スマート」になるが、ロボットが完全に人間と入れ替わる世界が近づいているわけでは決してない。要するに、ロボットのバーテンダーはあなたに最適なドリンクを作ることはできるかもしれないが、あなたの話を聞いて共感することはできないのだ。

画像提供:Shutterstock; Adriana Lee for ReadWrite; MIT

Anne Balduzzi
[原文]

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちらをご覧ください。

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