Flashならではの利点を活かそう
Flashならではの利点とは?
前回(http://www.thinkit.co.jp/article/132/1/)は、Flashアプリケーションでしばしば見られるユーザビリティ上の問題について、いくつか触れてみました。その上で、今回は「Flashならではの利点」を活かしたユーザビリティの向上について、考えてみたいと思います。
ユーザーエクスペリエンスを唱えた認知心理学者、ドナルド ノーマン(Donald A. Norman)氏は、ユーザー中心設計の重要性を唱えた名著「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論(新曜社:1990年)」の著者として有名ですが(もしまだお読みでない方は、ぜひご一読をおすすめします!)、彼はその後の著書「エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために(新曜社:2004年)」において、「デザインは情動的(エモーショナル)であれ」とも言っています。つまり、「使っていて楽しい」「所有欲をそそる」ようなデザインをしよう、というわけです。
第1回(http://www.thinkit.co.jp/article/132/1/)で、ユーザビリティの概念は「(多くのユーザーにとっての)使いやすさ」にとどまるものではなく、「特定のユーザーが特定の目的を持って使った結果、満足できるか」までをも含むものであると述べました。その意味で、ユーザーのエモーション(情動)を刺激する魅力的なユーザーインターフェースデザインを提供して、使うことを楽しめる仕掛けを用意することは、ユーザビリティという観点でも非常に意義深いことです。
WebサイトでFlashを使う意義というのは、まさにこの「エモーショナル」な演出が可能であること、に尽きるのではないでしょうか。
エモーショナルな演出
では具体的に、Flashを使った「エモーショナル」な演出には、どういったものがあるのでしょうか?
言わずもがなですが、Flashを使うことで、ムービーやサウンドを手軽に扱うことができます。また、ユーザーのアクションに応じてインタラクティブに変化するユーザーインターフェースデザインも、Flashの得意とするところと言えます。このような演出によって、Webページに効果(視覚効果や聴覚効果など)を加えることで、ユーザーに対してよりリアルに、コンテンツ(例えば、製品紹介だったらその製品自体)の魅力を伝えることができることでしょう。
また、Flashアプリケーションの作り方次第では、ユーザー自身の目的達成プロセスに「楽しみ」や「充実感」という要素を加える表現も可能であり、こうした要素を戦略的に組み込むことによって、「またやってみたい」「またWebサイトに来訪したい」と思ってもらえることが期待できます。
Webサイトに初めて来訪したユーザーが、すぐに目的達成に至ることはむしろまれだと思いますので(例えば、何かを買いたいと思ったときは、あるWebサイトで商品の情報を調べた後、個人ブログやクチコミサイト、ほかのeコマースサイトなども見た上で、じっくり検討してから購入を決断する)、「とりあえず今は態度を保留するけど、またこのWebサイトに来てみよう」とユーザーに思ってもらえることは、Webマーケティング上、とても重要です。