CDPという選択
運用面での差
CDPは、復旧を主としてその機能を発揮しますので、復旧テストに関わる機能は備えられています。復旧に関わる時間(RTO)も、復旧によってさかのぼる時点(RPO)も柔軟に設定をすることができ、業務を可動させる代替機が準備できれば、数十分の単位の時間で復旧をさせることが可能です。
遠隔地へのデータ保管とリカバリの側面では、この点においても従来のバックアップソフトによる機能は限定的です。つまりバックアップソフトだけでの遠隔地保管、データのレプリケーションは事実上不可能ですので、別手段に頼ることになります。テープであれば、遠隔地に搬送するサービスを用いるか、バックアップデータを遠隔地に回線を用いてレプリケーションさせるシステムを別立てで用意するという手段を講じる必要があり、トータルのコスト的にかさむことは必須です。
一方、CDPでは、遠隔地にCDPを設置して回線で結べば、本拠地のCDPのディスクの、更にそのコピーを遠隔地につくることができます。一つのアーキテクチャでローカルのバックアップから遠隔地へのレプリケーションまでのカバーすることになり、費用対効果も導出しやすい仕組みと言えます。
リプリケーションは、データを遠隔地に持つことで、本拠地の有事の際に、代替手段として遠隔地での業務再開を果たす、ディザスタリカバリの重要な機能です。ただし、一般的にリプリケーション機能を持つソリューション製品の多くは、データを遠隔地に持つことだけにとどまり、実際の業務再開までの運用には、人手による手間を掛かる必要があります。
具体的には、代替サーバーのセッティング、ネットワークのセッティング、その上で業務アプリケーションの立ち上げ、稼働確認のためのテストといった具合に、エンジニアが遠隔地で復旧のプロシージャに従い準備を進めていくことになります。手慣れたエンジニアが遠隔地にいれば安心ですが、有事ともなれば、人手不足も課題になり適切な人材の手配、行動も制限があることは想定されておくべきでしょう。
CDPでは、業務サーバーの立ち上げ、回線のセッティング、業務アプリケーションの立ち上げを自動的に行う機能も搭載するものがあります。無論、このためのテストモードも機能として持っているために、災害対策の復旧訓練を、遠隔地を含めた形で実現することができます。
図2:仮想化環境を用いた復旧テストの実施(クリックで拡大) |
新しいデータ保護の概念へ
仮想化への対応についてはどうでしょう? 仮想化されたサーバー環境をバックアップする手段としては、システム・データ保護機能を担うシステムはその機能をカバーしている必要があります。バックアップソフトの多くは仮想化環境のデータ保護を行うオプションを使うことでその機能を実現していますが、これをしてもバックアップソフト自体のアーキテクチャが大きく変わるわけではなく、復旧への手間は何ら変わりません。
CDPは仮想化された環境の保護を物理サーバーの環境とかわりなく保護運用できます。さらに、仮想化サーバーを利用し、復旧先の環境そのものを構築することも可能です。つまり代替サーバーを仮想化サーバーとすることで、物理環境の不具合時に、CDPのディスクを仮想サーバーへマウントすることで暫定復旧を高速に行うことができます(図2)。
このように、データを単に保管するという機能から、いかに早く復旧させるかという視点で有事の際の対応を考えると、人的な手当をする部分と、システム的に対応をする部分で、人的な手当をする部分の割合を削減し、エラーフリーな状況をつくることも必要と考えます。データが保管されているだけの状況から、いかにそのデータを使う業務アプリケーション(サービス)の可用性を重視するというサービス指向のデータ保護対策が実現できるようになってきたと言えます。