キャノンソフトウェアセミナー 〜ツールを活用したユーザー参加型「内製化」のススメ

2013年7月9日(火)
Think IT編集部

先日開催された「第22回ソフトウェア開発環境展」において、キヤノンソフトウェアのブースで多くの来場者から注目されていた2つのツール「Web Performer」と「Web Plant」を紹介する同社主催のプライベートセミナーが6月に開催された。

会場の様子(クリックで拡大)

社内事情に合致したワークフローを

今日の企業において業務プロセスの可視化・効率化は重要な課題となっている。多く企業がワークフローシステムを導入して業務の効率化や可視化を求めるものの、人事異動や部署の統廃合等など、企業の複雑な事情によって迅速なワークフロー運営は難しい。

また、導入したツールが自社の形態に合致していなければ、業務フローをツールに合わせて変化させてしまうといった、本末転倒な失敗例も存在する。

Web Plantを使ったワークフロー構築

キヤノンソフトウェア事業企画本部の中森勝宏氏より、ワークフロー構築ツール「Web Plant」のデモンストレーションが行われた。同ツールは1997年に発表された「EDDIシステム」から改善・バージョンUPを繰り返し発展してきたツールで、デモは経費精算書を例に進められた。

まずは「フォームエディタ機能」を使ったフォームの作成を解説。フォームの作成と実行は同一画面で表示され、エディタツールもMicrosoft Officeと親和性が高いため違和感なく作業できるようだ。

「ITの専門知識を必ずしも必要としない」という説明の通り、デモを見ていると、「アニメーションや音声再生等を含む、少し凝ったプレゼン資料」程度の作業量に感じられる。社内で使用しているExcelの帳票データも取り込むことで、より作業効率を高めることができる。

続くワークフローの肝となる承認経路の設定は「プロセスエディタ」機能がサポートするのだが、特筆すべきは、GUI開発環境で、直感的にフロー全体を設計できることだ(写真参照)。条件分岐、並行分岐だけでなく、差し戻しや決裁者不在時の独自ルールについても「プロセスエディタ」上のアイコン操作で設定変更できる。

Web Plantを使ったワークフロー構築(クリックで拡大)

デモを見ながら「実装して業務運用させるまでがまた一苦労かな…」と思っていたところ、同ツールには数々導入現場の声を反映したのか、いくつもの有用な機能が備わっていた。

ワークフローシステム構築プロジェクトには、社内各部門からの意見から、テスト、修正、反映するプロセスが欠かせない。Web Plantのテスト機能では、DBを書き換える以外の全ての動作を再現し、さらに開発者側の権限管理も細かに設定可能となっている。開発部分はロギングされ、トレーサビリティーの高い環境で複数のメンバーを投入した修正改善作業も円滑に行われる。
運営部分の観点では、組織情報をあらかじめ本番環境にアップし、それぞれ有効化する日を事前に設定することで、タイムラグもなく、現人事構造に基づいたワークフロー運営等にも配慮されている。

「Web Plant」導入事例:新生テクノス株式会社

新生テクノス株式会社(以下:新生テクノス)は1000名以上の従業員を持つ電気設備工事を主業務する企業だ。彼らは100種以上にも及ぶ紙ベースの申請と、複数の事業所間に及ぶ承認が郵送や手持ちで行われるという、複雑な問題を抱えていた。そのため、電子化へのシフトは急務であった。

いくつかの候補ツールから選定されたのは、ノンプログラミングな作成、本番系と開発系機能の標準装備、GUIによる直感的なインターフェース、時間指定でのデプロイが可能なWeb Plantだった。

Web Plantの導入事例を紹介する新生テクノス 鈴木英文氏(クリックで拡大)

情報システム部の鈴木英文氏は、ユーザー部門のメンバーと共に3日間のトレーニングを受けたものの開発が難航し、キヤノンソフトウェアのユーザーサポートにアドバイスを受けながらユーザー部門(総務課、人事課、勤労課)の担当者が1人1申請書を作成、完成することができた。こうしたサポート体制も重要な要素だ。

現在、新生テクノスでは4カテゴリで35種類の申請書がWeb Plantにより構築され、年間約19,000件の案件を安定稼働している。

Java開発経験ゼロからのWebアプリケーション内製を支援

多くの企業が日々追求している課題が、「コストの削減」「ビジネス戦略に沿ったIT戦略」だ。従来型の開発であればSIerに依頼し、時間と費用を掛けたスクラッチ開発を行う外製が正流だが、イメージ通りの成果物へ精度を高めていくためには複数回に及ぶ差し戻しや修正が必要となる。そこで今、改めて内製の重要性が注目されている。

内製にシフトすれば、外部への支払いが減ってコスト面では有利になる上、社内開発ならではの親密なコミュニケーションによって「手戻り」や「意識の齟齬」が回避でき、ナレッジの蓄積など多くのメリットがある。
しかし、いくらメリットが多いといっても、全ての企業が潤沢なリソースを持っているわけではない。突然内製化にシフトするわけには行かず、いくつもの高いハードルを越えなくてはならない。

Webアプリケーション自動生成ツール「Web Performer」

「米国企業では情報システム部門による内製化がスタンダードでSIerは殆ど存在せず。国内では外製化での開発を嗜好する開発文化が一般的です。企業アンケート(2013年ソフトウェア開発環境展の来場者自社調査)では約6割の企業が内製化にシフトしている」と内製化の波が確実に訪れているとキヤノンソフトウェア事業企画本部の高橋嘉文氏はWeb Performerの解説前に強調した。

Web Performerはプログラム不要、ランタイム不要で、ジャンルとしては「自動生成ツール」にあたる。国内ではあまり馴染みのないジャンルだが、海外も含めるといくつかの競合製品も思い当たる。もっとも、ノン・プログラミングではあるがブラックボックス化された独自のコードを吐き出す上、ランタイム・モジュールを別に購入しないと作動しないなどのツールも多く、その点ではWeb Performerの完成品はピュアなJavaで構成されているため、外部アプリとの連携もまったく問題ない。

Web Performeを使ったWebアプリケーション自動生成の様子を紹介(クリックで拡大)

同ツールは特殊な操作方法など気になる点もあるが、自社による調査では利用ユーザーの約73%が導入から2ヶ月以内に習得となっている。Web Performerユーザーの全員がJava未経験者とは限らないが、一般的には数年かかるといわれるJavaの習得期間と比べると、相当な時間短縮といえる。

また、自動化には人的なバグを排除できるメリットもある。基本設計以降の「詳細設計」「Javaプログラミング」「Java単体テスト」をWeb Performerに任せることができるので、あとは確実にテストするだけだ。そのため、実装までの工数を大きく圧縮することができる。

Web Performerの前身は1984年に発表されたCANO-AIDだが、時代の変化とともに、ユーザーの要望に応じて改編を繰り返してきた。近年ではモバイル&スマートデバイス対応によって、モバイルからのアクセスにも自動対応している。5月のアップデートでは多言語対応した。

セミナーでは、Web Performerの導入効果を「開発コストは1/4、開発速度は4倍」実現できる様に、アップデートを繰り返していくとのことだった。

「Web Performer」導入事例:東急不動産株式会社

東急不動産株式会社はグループ135社・従業員数17,000名の中核企業である。IT部門では基本的にはパッケージやASPを使い、時にカスタマイズを行っている。また、適切な製品が市場にない場合やコスト的な観点で、スクラッチ開発するケースも増えている。

導入事例を紹介する東急不動産 財務統括部 IT推進部 大澤美栄子氏と住宅事業本部 堀部氏(クリックで拡大)

過去に作成したシステムは独自性が強すぎるため、対応するASPなどが存在せず、スクラッチ開発が必要となっている。そういった状況から、同社では過去に別のWebアプリ開発ツールを導入していたが、Excelべースでの運用が分かりづらく、かなり苦労したとのこと。

そこで同社はWeb Performerを導入にするにあたり、「講習会」を受講して基礎知識を習得した上で、小規模案件から内製を始め、検証しつつ徐々に中規模の開発まで手がけるようになった。大規模な開発では、効率とコストを鑑みて外製で委託開発している。とことん内製にこだわるわけではなく、外製を上手く使い分けることも重要だ。

この様に、Webアプリケーション開発において、スピードと品質向上を実現できたわけであるが、こうして生まれた時間的余裕を、同社では「基本設計」「要件定義」に割くことにしている。結果として「ブレのない設計」ができ、依頼主との齟齬のない完成品を得ることができるわけだ。

美しいプロジェクトの形として「設計には十分時間をかけて、構築、実装は一瞬で」と言われることがあるが、Web Performerのようなツールの導入によって内製の可能性を広げるだけでなく、プロジェクトマネジメントの観点からもより良い効果を生み出したといえるのではないだろうか。

体験セミナーを適時開催

「Web Plant」と「Web Performer」、ともに備えた機能は多く、まだまだ語り足りない部分もあることが導入した企業の声からも伺い知ることができる。実機を使った体験セミナー等も開催されているので、興味を持った読者はキヤノンソフトウェアのWebサイトをチェックしてみてはいかがだろうか。

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(リンク先最終アクセス:2013.07)

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