なくならないFAXを活用して、システム面でどう業務効率を向上させるか
話題の超優良企業「未来工業」のFAX受注システム
TV番組「カンブリア宮殿」や就職人気企業ランキングにも登場する未来工業株式会社をご存知でしょうか?未来工業株式会社は年間140日もの休日、地域で最高水準の給与、残業は禁止であるにも関わらず、経常利益率10%以上を実現する超優良企業です。
残業なしで休日が多いのに給料が高いというのには理由があります。工夫され改善され、進化してきた業務があるからこそ、実現できています。多くの企業が視察に来るほどの未来工業株式会社にはさまざまな工夫が経営面、製品開発面、業務面で施されており、その結果が壁に埋め込む電気のスイッチボックスの市場シェアで8割を獲得するに至っています。
その業務改善をしてきた1つがFAX受注システムです。同社の受注ルートは、電話・FAX・WebでFAXは半分以上を占める重要なルートです。取扱製品アイテム数は25,000で、受注件数は日に18,000件、伝票枚数では7,000枚でうち3,000~4,000枚がFAXで届けられます。
同社には、全国からの注文を一括して受ける受注センターはなく、29の営業所に、最寄りの客先から直接注文が入ります。午後3時までの受注分は当日出荷していますので、4時までに入力処理を終えなければ、出荷に支障をきたします。そこで、以前は受注処理しきれない営業所では、受注FAX紙を、他の営業所に再び送りなおして入力を助けてもらうことはよく行われていました。それでも4時までに受注処理ができないこともよくあったそうです。
そこで、同社は増え続ける受注に現有の態勢で対応するには、受注FAXをデータ化し、入力業務の効率化を図るしかないと判断し、FAXサーバー形式の受注支援システムの検討を進めました。
同社が導入したFAX受注システムは、NTTデータ先端技術株式会社の「VOISTAGE」とユーザックシステム株式会社の「FAXお助け名人」を活用したシステムです。この受注システムでは、FAXで送られてくる注文データを、営業所ごとに自動的に振り分けられ、受注担当者は、画面に表示されたそれらのFAX画像を見ながら、もう1つのディスプレイ上に表示された、オフコンエミュレータ画面に入力をしていく仕組みです。
ナンバー・ディスプレイを活用することにより、発信元のFAX番号と顧客コードが紐付けにされているので、ミスなく、効率的に、受注伝票が振り分けられ、スムーズに入力作業が進むことができます。また、納期回答も、この受注システムから折り返しFAXで送れたり、さまざまな向きで送られてくる伝票を、画像の回転と最適サイズ表示が1クリックで行えたり、特記事項のスペースに得意先ごとの納期や金額設定などに関わる情報が記され、顧客情報として共有されたり、業務がシステムにあわせるのではなく、システムが業務にあわせて最適化されています。
このシステム事例を見ていただくうえで、注目いただきたいのは、お客様の業務をより効率的にかつ迅速に行うためには、どうすればよいのかということを念頭にお客様と共にシステムインテグレーターがシステム設計を行ったことだと思います。
以下に本システム事例の詳細ページのURLを記載しますので、是非その観点でご覧ください(システム概念図等も以下のページに記載があります)。
> FAX受注支援システム「FAXお助け名人」
FAX受注システムによる災害対応と産休対応
前述の事例にも記載されていることではありますが、各拠点にまたがって構築されたFAX受注システムは業務効率を向上させるだけではなく、災害対応と産休対応も実現できます。通常のFAXでは、FAXを受信した後、FAXデータは紙となり受信場所で残ります。それゆえに、ロケーションと担当者に縛られ、災害や担当者が休むことなどの対応が難しかったのです。しかしながら、FAXデータをイメージとして残し、複数の場所で入力できるようにしたことで、ロケーションや担当者に縛られないシステムを作ることができました。
これは、お客様の経営面から見ても大きなメリットであると思います。3.11の東日本大震災以来、取引先から災害対策を行っていないと、取引ができないと言われることが増えました。ビジネスを継続していくためにも、また担当者に縛られないシステムを作り、安定した作業を継続するためにも、このようなシステムは重要だと思います。
このコラムをご覧になっているお客様はもちろん、このようなシステムを検討いただきたいですし、システムインテグレーター側の方であれば、皆様のお客様がまだ複数拠点にまたがって受注処理を行えるシステムを構築していないのであれば、是非ご提案いただきたいです。
【参考リンク】
(リンク先最終アクセス:2014.02)
<編集部より> 2ページ目の表現に一部誤りがあったため、修正しました。(2014.03.17)
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