「Hadoop Summit 2015」基調講演レポート、米Databricksが「Spark」ベースのクラウド基盤をリリース、ほか

2015年6月19日(金)
吉田 行男

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

米国の西海岸では、先週から今週にかけてビッグデータに関連するイベントが開催されました。それに伴って、さまざまな企業から関連する発表があり、ビッグデータの話題が満載です。

今週も注目すべきトピックをまとめましたので、ゆっくりとご覧下さい。

家庭に電気が普及したときのように、Hadoopでビジネスは一変する
― 「Hadoop Summit 2015」基調講演レポート

米国サンノゼで6月9日~11日にかけて「Hadoop Summit 2015」が開催されました。このイベントは、Hadoopディストリビュータの米国Hortonworks社と米国Yahoo!社がホストとなって開催するユーザカンファレンスで、今回で8回目になります。今年は、前年比30%増の4,000名を超える参加者で、過去最大規模のイベントになりました。従来のビッグデータといわれる分野だけではなく、機械学習やIoTなどの新しいトレンドが加わったことで、Hadoopが果たす役割も変化のときを迎えているようです。

(参照記事:http://gihyo.jp/news/report/2015/06/1502

MapR、HadoopデータをSQLでアドホック検索する「Drill」を提供

企業向けHadoop互換ソフト開発のマップアール・テクノロジーズ社は6月11日、「Apache Drill 1.0」の提供を開始しました。「Apache Drill」は、Hadoopのファイルシステム上にあるデータにSQLで直接アクセスできることと構造化データから非構造化データまで、どのような構造のデータでも検索できることが特徴です。これからは、この「Apache Drill」を使用することで、アドホック検索が容易に実現できるようです。

(参照記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/061101965/

米国Databricks社、「Apache Spark」ベースのクラウドプラットフォームを一般向けにリリース

6月15日、米国Databricks社はオープンソースのクラスタコンピューティングフレームワークである「Apache Spark」をベースにしたクラウドプラットフォーム「Databricks」の一般提供を開始しました。「Apache Spark」は、「Apache Hadoop」では処理が追いつかないワークロードを実行できるクラスタコンピューティングフレームワークを生み出すという目的で、2009年にカリフォルニア大学バークレー校のAMPLabで開始されたリサーチプロジェクトで、2010年にオープンソース化されました。

ちなみに米国Databricks社は、「Apache Spark」の生みの親が2013年に設立した企業です。また、米国IBM社は、同日、同社が展開するクラウドサービスの中核となるデータ処理プラットフォームに「Apache Spark」を採用すると発表しました。これに伴い、全世界で進められているプロジェクトに3,500名の研究員を割り当てると発表しました。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35065989/

Facebook、モバイル用バグ解析ツール「Infer」をオープンソース化し公開

6月11日、米国Facebook社はモバイル開発技術「Infer」をオープンソースとして公開しました。「Infer」は静的プログラム解析ツールで、モバイルコードのバグを出荷前に検出できるもので、数百万行で構成されるアプリケーションにおける複雑な問題を数分で発見できるようです。米国Facebook社では、編集されたコードをレビュー向けに提出した段階でInferを利用していたようで、これまでのところ、毎月数百件単位で潜在バグを検出しているとのことです。「Infer」をオープンソースとして公開することで、モバイル開発者はテストとバグ発見に費やす時間を短縮できるとFacebookのチームは述べています。

(参照記事:http://japan.cnet.com/news/service/35065828/

オープンソースは、今、黄金時代を迎えた
― 「LinuxCon Japan 2015」基調講演レポート

6月3日~5日の3日間、東京でアジア最大のLinuxイベントである「LinuxCon+CloudOpen Japan 2015」が開催され、600名を超える技術者が世界中から集まりました。Linux Foundation Executive DirectorであるJim Zemlin氏が「State of Linux」と題して基調講演を行いました。内容は、オープンソースだけでなく、IT業界の全体の現状や動向、今問題となっていることをコンパクトかつ簡潔にまとめたプレゼンテーションでした。「現在、オープンソースがあらゆる場所でシステムの基盤となっており、オープンソースは、この30年間における最大のITトレンドであり、インターネットの道と橋になっている」と説明しました。

(参照記事:http://gihyo.jp/news/report/2015/06/1101

レッドハット、廣川社長が退任--会長に就任、後任は未定

6月17日に急遽、こんなニュースが飛び込んできました。レッドハット日本法人の社長である廣川氏が退任され、会長に就任されます。後任は未定で、暫定社長に米Red Hat社アジア太平洋地域担当シニアバイスプレジデントのDirk-Peter van Leeuwen氏が日本法人の代表も兼任します。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35066057/?ref=rss

編集後記

本格的な梅雨入りとともに、落雷や突風といった不安定な天候が続いています。沖縄では既に梅雨明けしていますが、本州ではまだまだ雨の日が続くようです。こういう時こそ、夏を乗り切るための準備をしなければいけないと思っています。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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