サーバーの仮想化に重要な2つの技術
仮想アプライアンスの活用へ
稼働中の仮想マシンを移動させるだけでなく、同じ機能を持つサーバーを新規に追加する場合の重要な手段としては、仮想アプライアンス(仮想イメージ)の活用があります。仮想アプライアンスとはハイパーバイザーを前提に、OSやミドルウエアを含めて1つのパッケージ(ファイル)として保存し、ファイルとして配布、導入する手法のことです。これにより、SWの配布、導入を効率よく行うことができます。
2009年7月に発表された「IBM Systems Director VMControl Image ManagerV2.1」を例に説明します。これはシステム管理ソフトウエア「IBM Systems Director V6.1」のプラグインで、仮想アプライアンスの一元的な集中管理と自動化をサポートします。すなわち、複数の仮想化テクノロジーや物理プラットフォームで作られた仮想化環境を一元的に管理することができるため、システム管理者の生産性向上を図ることができるのです。
稼働中のシステムから仮想アプライアンスを取得したり、インポートあるいはキャプチャーという手段によって、仮想アプライアンスを新規作成することもできます。 これらの機能は、PowerSystemsのAIXや、System zではz/VMにおけるzLinuxにも対応しています。
例えばSystem zでは、z/VM上で稼働するLinuxシステム・イメージをキャプチャーして、そのイメージの記述をハードウエア構成要件とともにリポジトリーに格納することによって、仮想アプライアンスを作成します。このプラットフォーム固有のリポジトリーには、z/VM上で稼働するLinuxイメージだけが含まれます。PowerSystemsのAIXも同様の条件です。
「IBM Systems Director VMControl Image ManagerV2.1」の概要は図2の通りです。
サーバーの移行に重要な鍵となる運用管理ツール
オープン・バーチャライゼーション・フォーマット(OVF)準拠の、既存の外部仮想アプライアンスをインポートすることもできます。このインポート機能は、仮想アプライアンスの外的作成手段や転送手段を備えており、相互運用性を容易にする目的で規定されつつあります。また、サポート対象の仮想サーバー上にあるフルテスト済みの稼働中ソフトウエア・スタック(OS、ミドルウエア、アプリケーション)をキャプチャーすることで、仮想アプライアンスの新規作成にもつなげられます。
今後仮想アプライアンスの標準化や機能拡張が実現すると、新しいアーキテクチャーを使ったサーバーへの移行がもっと容易になり、さらなるTCO削減の手法も提供されることが予想されます。
そのための鍵になるのが、運用管理ツールです。例えば「IBM Systems Director VMControl Image ManagerV2.1」では、すべての機能に対応したGUIとコマンドラインインターフェースを活用することで、実行すべき仮想アプライアンス管理タスクや表示させたい情報をユーザーが決定できるようになります。また現行のものとは異なり、仮想アプライアンスを複数タイプ・リポジトリーという統一インターフェースで管理することも可能です。
仮想化インフラのリポジトリー内にある仮想アプライアンスの表示や、個々の仮想アプライアンスに対するデプロイメントなどのような指示も、この統一インターフェースを通して行うことができるため、利用者の生産性向上にも役立ち、これまでの仮想インフラ管理ツールと結びつけることで、運用負荷を下げることが可能になるでしょう。
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- ブレード仮想化の統合メリットと先進性
- 仮想化環境での運用監視とは?
- UNIX系OSを比較検討する~まとめ
- IBM、Power SystemsにおけるLinuxサポートを拡大
- SUSEとMariaDB、IBM Power Systems環境でのLinuxアプリケーションのエコシステム拡大に向けたパートナーシップを発表
- LifeKeeperの今後のロードマップと展望
- Linux上でSAPの堅牢性をより高める
- 日本IBM、IBM Power Systems上のLinuxとオープンソース技術の利用促進を支援する「IBM Power Systems Linuxセンター」を日本に開設
- 日本IBM、SaaS形式のストレージ基盤最適化ソリューションを発表
- IT運用に求められる統合フレームワーク