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| はじめに | ||||||||||
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はじめまして、ウルシステムズの河野です。本連載では、システム開発の世界で注目されている「要求開発」という考え方について、そのコンセプトと取り組み方について解説します。 第1回目となる今回は、まず要求開発とはどのようなものか理解していただくために、そのコンセプトについて詳しくご説明します。 |
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| 要求開発とは | ||||||||||
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要求開発とはその名の通り、クライアントの「要求」を「開発」することを意味します。 基本的にシステム開発というのは、お客様の要求があって、インプットして加工して情報システムやソフトウェアをアウトプットするというプロセスで成り立っています。ところが最初のインプットが間違っていると、いくら加工の段階で頑張ってもお客様には満足してもらえません。 これは筆者自身が20年間近くシステム開発にたずさわってきた中で、現場で実感してきたことです。筆者がこの業界に入った頃と比べると、ツールや開発環境、手法などがかなり進歩したことで、システム開発の生産性は大きく向上しました。しかし、それにもかかわらず、顧客満足度は昔に比べてそれほどあがってはいないように感じています。 それはインプットの時点で正しく「要求」が開発者に伝わってきていないからです。要求が正しくない限り、いくらシステムを正しく作る努力をしても、結局はそれが無駄に終わってしまいます。間違ったものをいくら正しく作っても、完成したものが役に立たないのはある意味当たり前なのです。間違ったものを作ることにいくら努力を注いでも、徒労感が残るだけです。その問題を根本的に解決しようと思ったら、最初の時点で要求を正しく把握する。その方向に行くしかないのです。 |
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| 原因は何か | ||||||||||
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この「要求を正しく把握する」という考え方自体は、昔からいわれてきたことです。しかし、何十年経っても、なぜかなかなか改善されていません。そこにはどのような原因があるのでしょうか。まずはそこを考えてみることからスタートする必要があります。 図2を見てください。図2は企業経営の要素を三角形で描いたものです。 まず頂点に「ビジョン」があります。ビジョンというのは、「会社の存在意義は何か」ということですね。その下に位置するのが、それを達成するための「戦略」です。戦略というのは、「会社がどんな価値を生み出すのか」ということです。そして、この戦略を実現するためのオペレーション、つまり「業務」があります。 基本的にはこれら3つの要素から企業経営は成り立っていて、ITや情報システムというのは業務オペレーションを縁の下から支える支援ツールという位置付けになります。 では昔から色々と努力しているにもかかわらず、なぜシステム要求が正しくシステム開発チームに伝わらないのでしょうか。これには、大きく2つの原因があります。 1つ目は、そもそもきちんと「戦略」にそって「業務」のオペレーションをできている企業というのが、実はそれほど多くないことがあげられます。企業戦略と現場の業務がうまくかみ合っていない場合、業務の見直しや改善を考えずにいきなり情報システムの要求を考えようとしても、業務そのものの問題が解決していないので正しい要求にはなりようがありません。 もう1つの原因はシステム開発側の技術が未熟だということです。正しい要求が伝わったとしても、その要求をきちんとITのシステムに落とし込む開発側の技術が未熟なために、クライアントが要求していることを正しくシステムに反映できないというケースです。 以上のような2つの原因が根本にあります。そこを解決していかないと、なかなか要求は正しくならないと考えています。 |
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