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オープンソースで構築する業務システム特集

第10回:低コストでのPOS導入を可能にした「フランシーヌ」
著者:フォーワンファースト  池田 和正   2006/8/11
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導入事例 〜 10店舗を運営しているエステサロン

   ここからは実際のフランシーヌの導入事例を紹介します。

   A社は10店舗を運営しているエステサロンです。以前からPOSの導入を検討していたのですが、「高価な導入コスト」「エステ独特の管理形式に対応しているPOSがない」といった問題からなかなか導入に踏み切れませんでした。

   また、導入前は「店舗スタッフの使い勝手」という視点からタッチパネル方式のカスタマイズも検討していましたが、ハードウェア導入のコストが高くなってしまうという懸念がありました。またインターネットの普及により「Webブラウザを使うこと」が世間にも浸透した背景を踏まえ、Webブラウザでの入力(商品データはバーコード入力)の方がユーザビリティが高いと判断してフランシーヌを導入することにしました。

ユーザの声

   A社は「フランシーヌ」の機能のうち次のものを利用しています。

  • レジ入力
  • 売上履歴
  • 売上管理(レジ締め/日報)
  • 勤怠管理

表3:A社が利用しているフランシーヌの機能

   これら機能はエステサロンの業務を円滑に行ってます。特に勤怠管理はスタッフの給与計算根拠のデータとして活用され、好評をいただいています。

   また運用開始後のご要望を受けて、次の2つの機能の追加を行いました。

  1. 施術のチケット管理(顧客のチケット購入実績/消費/残金/回数の管理)
  2. 歩合担当者の複数指定(レジ画面での入力項目追加/担当者別の歩合額履歴一覧の表示)

表4:A社の事例で新たに追加した機能

   エステ業界には浸透している「チケット制」ですが、そのシステム化への対応は運用開始時から早急に要望があげられていました。導入先のチケット運用管理が複雑である点もあり、システム化までには時間を要しましたが、運用後は円滑に利用されています。

チケット管理画面
図8:チケット管理画面

   また1回のエステ施術サービスに2名の担当がつくケースが増えたため、その歩合を2人で分ける必要が生じ、その入力機能をレジ画面に追加しました。歩合額は施術の売価の50%ずつが各担当者分として計上されます。

レジ入力時の担当者複数指定
図9:レジ入力時の担当者複数指定

   このシステムは2004年から運用開始しており、現在まで約2年にわたって稼働しています。店舗数は運用開始時の5店舗から10店舗に増えていますが、その間にアプリケーション障害は発生しておらず、安定した運用が実現されているといえるでしょう。


今後の展望

   ここからフランシーヌを中心とした、当社のオープンソースへの取り組みについて紹介します。


プログラムソースの見直し 〜 オープンソースの開発体制の整備

   システムを運用するにあたって機能の追加や変更は必須ですので、拡張性の効率化を考慮して、コーディング規約から開発標準の再検討が急務となっています。

   また準備完了した後の次のステップとして、オープンソースのメリットを活用し、自社フランシーヌプロジェクトを開発管理本部として、SourceForge(http://sourceforge.jp/)のプロジェクト登録にて、外部の開発コミュニティーを設立し、また当社スクールであるオープンソースアカデミー(http://www.opsa.jp/)での実践コースのカリキュラム化など、各方面に開発協力を促せる体制づくりに勤めていきます。


他のサービス業界への展開

   今後はSugarCRMなどのCRMとの連携を考えています。CRMと連携をすることによって、売上げデータと顧客情報を活用することができ、プロモーションに活用することができるのです。

   また、次世代標準Web基本ソフトウェアであるAWBAS(http://awbas.com/)のコンポーネントとしての連携を考えています。AWBASは部品レベル/サービスレベルのカプセル化を実現することによって、開発コストを抑止することができます。そうすることによって開発言語に依存することなく、オープンな環境を保有することができます。その結果、フランシーヌはCRMの機能を有するようになり、エステ以外の業界への展開が可能になるのです。

   このように当社はフランシーヌの機能拡充によって、エステや美容院以外の安価にPOSを導入したいと考えているサービス業に対してWEBPOSを提供していくことを目指します。アパレル業界をはじめとした業務全体にITが浸透していないターゲットに安価で「利用者にとって使いやすい」POSを提供して業務の効率化をはかっていきます。そしてさらに、運用後のサポートとともに要望をフィードバックしていただき、多業種のPOS運用に対応できるナレッジを蓄えて更なるクオリティ向上をしていきます。

   フランシーヌはユーザの方とともに発展していくPOSです。サポートライセンス版をソフトウェアポータルAWBAP(http://awbap.com/)にて公開していますので、この記事をみて興味をお持ちになった方は是非アクセスしてください。

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株式会社フォー・ワン・ファースト
http://www.411.co.jp/

2003年にはフランシーヌ発表を皮切りに、オープンソースリーディングカンパニーとして、オープンソースITを駆使したサービス提供を展開した。2004年には、企業におけるオープンソースNPO団体のOSCARの「オープンソース・ビジネス・アワード」を受賞。直近は、Web標準基本ソフト「AWBAS」を発表し、それを利用したソフトウェアポータルサイト「AWBAP」を発表。Compiereジャパンもアルマス社と共同で運営しオープンソース業界だけでなく、ソフトウェア業界全体を活性化していく企業を目指す。
株式会社フォーワンファースト 池田 和正
著者プロフィール
株式会社フォーワンファースト  池田 和正
2003年8月にフォーワンファースト入社。以降、1年半大手ECサイト運営プロジェクトにてLAMP技術を中心に技術サービスを行い、2005年からLAMPを中心とした数々のシステム開発プロジェクトに携わる。現在は、フランシーヌプロジェクト責任者を歴任し、そのプロジェクトにて培ったナレッジを駆使し、日本に唯一のゼンドオフィシャルトレーニングセンターとしても位置している、スクール事業「オープンソースアカデミー」の管理、運営、講師を勤める。


INDEX
第10回:低コストでのPOS導入を可能にした「フランシーヌ」
  第3のPOS「WEBPOS」
  はじめてGPL日本語版を適用したフランシーヌ
  フランシーヌの基本機能
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