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徹底比較!! グループウェア
第1回:変革するグループウェア〜普及までの経緯と現在
著者:
アイ・ティ・アール 三浦 竜樹
2007/2/22
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コミュニケーション・情報共有ツールとしてのグループウェアの浸透
本連載では、様々な事例を通してグループウェアについて、考察していく。第1回の今回は、改めてグループウェアとは何かについて解説し、そのたどってきた歴史を振り返ってみよう。
グループウェアの概要
グループウェアとは、企業内のLAN環境下にあるPCを利用し、グループ間での情報共有やコミュニケーション、またそれらを利用したコラボレーション(協調作業)を支援するソフトウェアである。
主な機能としては、以下のものがある。
Eメール機能
スケジュールを共有するカレンダー機能
アイデアやノウハウなどをデータベース化して共有する文書共有機能
特定のテーマについて議論を行える電子会議室機能
電子掲示板機能
稟議書などの文書を回覧/承認させるワークフロー機能
表1:代表的なグループウェアの機能
世界的に普及しているグループウェアとしては、IBMの「Lotus Notes」やMicrosoftの「Exchange」があげられる。一方、国内ではNECの「StarOffice」、日立製作所の「Groupmax」、富士通の「TeamWare Office」といった大手国産ベンダー製品がある。また近年ではサイボウズのOfficeやネオジャパンのdesknet'sといった製品が、中堅・中小企業を中心にシェアを高めている。
グループウェアの歴史を振り返ると、そのコンセプト自体は1960年代にすでに提唱されている。SRI(Stanford Research Institute)に勤務し、マウスやハイパーテキストなどを発明したDouglas Engelbart氏が、1968年に「NLS」(oNLine System)と名付けられたシステムのデモにおいて、ネットワークを使ったグループウェアの前身を披露している。また、グループウェアの歴史は、1990年代に急速に大企業に普及したLotus Notesを抜きには語れないであろう。
Lotus Notesの起源は、イリノイ大学のCERL(Computer-based Education Research Laboratory)で書かれたPLATO Notesと呼ばれる製品にある。
当時、PLATO Notesに装備された機能は、バグレポートにユーザIDと日付をタグとして付けることにより、他のユーザによってバグレポートが削除されないよう保護するものであった。また、バグレポートに対して返答することができた。これがユーザ間での安全なデータ共有のはじまりであったといえる。
その後、PLATO Notesの開発メンバーの1人で、後に「ノーツの父」と呼ばれるようになったRay Ozzie氏は1984年にLotusとの契約・資金提供の元、PC向けのLotus Notesの開発をスタートした。そして1989年にLotus Notesの最初のリリースであるバージョン1.0が出荷されたのである。
グループウェアの浸透
その後グループウェア市場に大きな影響を与えたのは、1996年1月にリリースされたLotus Notes 4.0以上である。それ以降、日本でのグループウェアの導入が本格化したといえる。
その背景には、企業内で1人1台のPC環境が急速に普及し、LAN環境が整備されたことがあげられる。しかし、その頃のグループウェアは高価であり、導入する企業は大企業がほとんどであった。
その後、中堅・中小企業においてもIT化が進展し、1人1台のPC環境やネットワーク環境が整いはじめ、導入が進むようになる。また2000年前後から、これまでのグループウェアと比べ容易に導入でき、かつ低価格なWeb型グループウェアの登場によって、グループウェア市場の裾野は一気に広がることになる。
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著者プロフィール
株式会社アイ・ティ・アール 三浦 竜樹
カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校卒業後、広告代理店にて主にITベンダーのマーケティングプラン策定、広告戦略に携わる。2001年4月より現職。モバイルやリモートアクセス・ソリューション、グループウェアを中心としたコラボレーション基盤、および仮想化分野を主に担当する。
INDEX
第1回:変革するグループウェア〜普及までの経緯と現在
コミュニケーション・情報共有ツールとしてのグループウェアの浸透
Web型グループウェアの台頭
今、なぜグループウェアを再検討するのか