TOP業務システム> 次期コラボレーション基盤の中核としてのグループウェア
徹底比較!!グループウェア
徹底比較!! グループウェア

第9回:進化するグループウェア

著者:アイ・ティ・アール  三浦 竜樹   2007/3/22
1   2  3  次のページ
次期コラボレーション基盤の中核としてのグループウェア

   本連載では、第2回から第8回にわたって各社のグループウェア製品および事例などについて紹介してきた。最終回の今回は、これらのグループウェア製品にも見られた「グループウェアを中核としたコラボレーション製品群」の動向について解説していく。
コラボレーションツールの発展経緯

   これまでのグループウェアによる情報共有の次なるテーマとして、最近頻繁に耳にするようになった言葉の1つに「コラボレーション」がある。この「コラボレーション」と混同して扱われがちな言葉に「コミュニケーション」がある。

   コミュニケーションは、その対象がビジネスに加えてパーソナルな情報や意見を含んだやり取りで、共同で作業を行うことを前提としていないものだ。一方、コラボレーションは、コミュニケーションを一部包含しながら、特定の目的や共同作業にそって情報をやり取りすることである。

   すなわち、コラボレーションはコミュニケーションを基本とした発展形、あるいは業務における特定のタスクを遂行することを目的とした情報共有および作業といえる。

   近年、企業では部門や組織、あるいは企業の枠を超えたスタッフ同士が協力してプロジェクトチームを作るようなケースが増えている。しかし、専門知識が細分化された昨今では、コミュニケーションが取れているにも関わらず、必要な情報/知識を持っているスタッフあるいはシステムを把握できないケースも少なくない。

   こうした背景の中、コラボレーションに注目が集まっており、それを実現するツール群が着々と進化してきている。まず地理的な制約をなくすために、即時性を高めるコミュニケーション手段としてリアルタイムコラボレーション系ツールが利用されるようになっている。例えば、IM(インスタント・メッセージ)やWeb会議システムである。


コミュニケーションツールとの連携

   では、代表的な製品のコミュニケーションツールとの連携を見ていこう。

   IBMでは、リアルタイムコラボレーションプラットフォームの新版「Lotus Sametime 7.5」において、IP電話、PBX、音声/Web会議用のブリッジを統合した。これにより、社員などの在席状況に応じたワンクリックによる最適なコラボレーションを実現している。

   Microsoftも電子メール、IM、モバイル端末、VoIP、Web会議など各種の通信を統合した。例えば、Exchange Server 2007において、ユーザはOutlookによってボイスメールを聞いたり、カレンダー情報を電話で聞くことが可能になるなどの進化を遂げている。

   加えて、同社のリアルタイム通信プラットフォームであるOffice Communications Server 2007では、既存のソフトウェア、サービス、デバイス間でのVoIP通信管理や音声/Web会議、IMを可能にするとしている。


Web 2.0の仕組みを利用したコミュニケーション

   またコミュニケーションにおいては、リアルタイム性とは別に注目が高まっているのが、Web 2.0的な側面である。

   具体的には、近年インターネット上で急速に普及したWikiやブログ、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、ブックマーク共有機能などがあげられる。こうした機能は着実にコラボレーション基盤を形成するツールとして搭載されてきている。

   例えば、IBMではビジネス向けSNSツール「Lotus Connections」を用意している。Microsoftは、SharePoint Server 2007においてブログやWikiに対応している。国内ではサイボウズが2006年10月より社内ブログツールのβ版をダウンロード提供を開始し、ネオジャパンも9月からイントラブログ製品「desknet's Blog」の販売を開始している。

   ただし、コミュニケーションやコラボレーションは優れたツールを導入したからといって、すぐに実現できるものではない。それは多くの企業がグループウェアによる情報共有において経験済みであるはずだ。

   それゆえに実験的な導入がはじまってきたWeb 2.0的なコミュニケーションおよびコラボレーションツールにおいても、本格的に活用するには企業文化や運用ルール、教育や活用促進の体制整備など、ツール以外の部分での取り組みが重要となる。

1   2  3  次のページ


株式会社アイ・ティ・アール  三浦 竜樹
著者プロフィール
株式会社アイ・ティ・アール  三浦 竜樹
カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校卒業後、広告代理店にて主にITベンダーのマーケティングプラン策定、広告戦略に携わる。2001年4月より現職。モバイルやリモートアクセス・ソリューション、グループウェアを中心としたコラボレーション基盤、および仮想化分野を主に担当する。


INDEX
第9回:進化するグループウェア
次期コラボレーション基盤の中核としてのグループウェア
  次期コラボレーション基盤とコンテンツ管理
  インフォメーションワークプレイスプラットフォームの全体像