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仮想化とパッケージアプリケーションの今
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ディスクの仮想化による3つのメリット

著者:日本アイ・ビー・エム  佐藤 千晴   2007/9/28
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ディスクの「仮想化」にはどのようなメリットがあるのか

   ある日、あなたは買い物にでかけた。お腹が空いたのでレストランに入ったところ、あいにく昼食時だったために座席は順番待ちの状態だった。あなたは座席が空くまで待つことにして、座席待ち係のウエイトレスに近づいた。
ウエイトレス:大変申し訳ありませんがただいま満席なので、お席が空き次第ご案内させていただきます。ただし、喫煙席ならすぐにご案内できますが……。

あなた:いいえ、私はタバコは吸わないので禁煙席に座りたいです。

   この時、きっとあなたは「禁煙スペースが自由に広げられれば、すぐに座ることができるので便利なのに」と考えだろう。しかし、仮に禁煙スペースを広げるための改装工事をするにしても、実際に部屋を改築するのは大掛かりで経費がかかりすぎる。それどころか改装工事の期間はレストランを休みにしなければならないので、この考えは現実的とはいえない。

   この例え話は、ストレージ仮想化の利点として言い換えることが可能だ。

   ディスク装置Aを使ってデータベースAを運用しているシステムがあるとしよう。一般的にはディスク装置Aに空き容量がなくなったら、データベースAをいったん停止し、新しいディスクを追加し、データベースAのコピーを行って再起動するという運用が必要となる。

   しかし、もしもディスク装置Aが仮想化ディスクだったなら、ディスク装置Aに保存されたデータベースAを、より空き容量が多いほかのディスクへとオンライン中に移行することができるのである(図1)。

仮想化ディスクのオンライン無停止データ移行機能 Copyright IBM Corporation 2007 / Copyright IBM Japan, Ltd. 2007
図1:仮想化ディスクのオンライン無停止データ移行機能
Copyright IBM Corporation 2007 / Copyright IBM Japan, Ltd. 2007

   なぜなら仮想化ディスクでは、本番環境で動作しているアプリケーションで使用中のデータを自由に移行することができるためだ。このように、ディスクに仮想化テクノロジを使うことによって、「オンライン中にディスクの空き領域管理を行うことができる」というメリットが生まれるのである。


データ管理の現状

   さて、このところのITシステムデータの現状に着目すると、まず顕著なのものとしてデータ量の増加があげられる

   世界や日本の各調査機関が定期的に発行している調査レポートでは「今後もデータ量は増大傾向になるだろう」との予測が報告されている。こうしたデータ量の増大の背景にはインターネットを使ったビジネスの急速な普及があげられ、そのデータは企業のITシステムに直接格納されることになる。

   例えばオンラインショッピングサイトでは、少しでもお客様の興味を惹くためにGUIや音声、アニメーションをふんだんに使った魅力的なWebアプリケーションを開発することがポイントになっている。そのためデータの増加に伴って管理対象のディスク装置の容量や台数が増大し、空きスペースやバックアップ、パフォーマンス管理の機会が増えるだろう。

   こうしたディスク運用の複雑化によって、その円滑な管理にはさらなるIT投資や人件費などの多くのリソースが必要であり、結果としてデータ管理費用が増加してしまうという課題点が浮き彫りになっている。

   ストレージ仮想化は、これらの課題点を解決できるテクノロジーとして実環境で普及が進んでいる。それでは、ディスク仮想化がもたらすメリットについてパッケージアプリケーションの観点から具体的に検証していこう。

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日本アイ・ビー・エム 佐藤 千晴
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  佐藤 千晴
ACP-シニアITスペシャリスト
Storage Networking Industory Association - Certified Professional 2006
1988年、日本アイ・ビー・エムに入社。グローバルISV・コンピテンシー・第一所属。SAPをはじめとした各種ISVパッケージのテクニカルサポート業務に従事。


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