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| リッチクライアントが注目される背景 | ||||||||||||
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2003年頃からIT関連の各種メディアで、リッチクライアントという言葉が頻繁に使われるようになった。その間、多くのベンダーから"リッチクライアント製品"なるものが提供され、徐々に導入事例も報告され始めている。 このように注目され始めたリッチクライアントであるが、その背景にはWebアプリケーションの普及とWebブラウザベースのクライアント環境の問題が挙げられる。詳細は後述するがインターネットの時代に入り、クライアント/サーバ型のシステムと比較した場合の開発コストや保守容易性の利点からWebブラウザとWebアプリケーションサーバで構成されるWebアプリケーションシステムへの移行が進んだ。 しかし、Webブラウザベースのクライアントは、クランアント/サーバ型のクライアントと比較した場合、必ずしも利用者にとって使いやすいものではなかった。極端に言えば、利用者の操作性/利便性を犠牲にした上でWebアプリケーションを普及させてきたとも言える。これは利用者の生産性の低下を招き、多くのアプリケーションがWeb化される現在、無視できない問題として顕在化してきた。 これに対し、リッチクライアントはWebアプリケーションシステムであるにも関わらず、利用者の操作性/利便性を犠牲にしないクライアント(あるいは技術)であり、このことがリッチクライアントを注目させる理由となっている。 |
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| リッチクライアントの定義 | ||||||||||||
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昨年より筆者自身、多くのメディアで講演や執筆活動を通してリッチクライアントに関わってきたが、登場して間もない頃は、リッチクライアントの概念すらまだ広く世間に認知されていなかった。リッチクライアントと聞いて、"従来型のクライアント/サーバ・システム"のクライアント(本連載では「ファットクライアント」と呼ぶ)をイメージする方も多くいた。 しかし、リッチクライアントという言葉が頻繁に使われ始めて約2年が経過した今では、ある程度その言葉の意味は理解され始め、ファットクライアントをイメージする方は少なくなっていると思う。しかし、リッチクライアントの正確な定義という点では、ベンダーによってその定義が多少異なっていたり、実現する技術も様々であったりすることから、わかりづらい状況にある。 そこで本連載では、リッチクライアントへの認識を統一するために、リッチクライアントとは表1の特徴を備えた「Webアプリケーションのクライアント(あるいは技術)」と定義する。以降、表1の定義を念頭において読み進めてほしい。 |
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表1:リッチクライアントの定義 |
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| 過去のクライアント技術の問題点 | ||||||||||||
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ここでは、先に述べたリッチクライアントが注目される背景を十分に理解してもらうために、これまでのクライアント技術の歴史を振り返ることにする。これまでのクライアント技術の変遷は図1のようになる。図1に示すとおり、クライアント技術は大きく4つの世代に分けることができる。それぞれの世代の技術は、前の世代の技術の欠点を解消する形で登場、または進化している。その繰り返しの結果、現在のリッチクライアントに辿り着いたといえる。ではこれまでのクライアント技術には、どういった特徴があり、どういった欠点があったのかを順番に解説する。 |
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![]() 図1:リッチクライアントの位置づけ |
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| メインフレームの時代 | ||||||||||||
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この時代のクライアントマシンはCPUやメモリといったリソースが乏しく、処理はすべてメインフレーム上で行われていた。クライアント側ではデータの入出力しか行えなかった。 メインフレームのクライアントでは、基本的に文字列しか画面に表示できずにいた。しかも表示できる文字数も少なく制限があった。また、各機能はキーボードに割り当てられていたため、操作が直感的にはわからず、キーボードと機能の対応関係の教育を十分に受けていないと、そのアプリケーションを操作することはできなかった。つまり、メインフレーム時代のクライアントは、表2のような制約や欠点を抱えていたことになる。 |
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表2:メインフレーム時代の制約 |
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