LPWANは5Gやメッシュネットワークを凌ぐスマートシティ技術になりえるか
将来のスマートシティにおける都市計画には、建設から予算立てまで、これまでとは大きく異なる新たな考え方が求められる。そのなかでも考慮すべき重要な点のひとつに、「使われるテクノロジーが互いにどうコミュニケーションを取るか」というものがある。そして、それに対応するため開発が進められている技術が、LPWA(Low-power, Wide-area)と呼ばれる低消費電力広域ネットワークだ。
LPWAは、スマートシティを動かす数千もの小さなセンサーやその他のオブジェクトを受け入れるポテンシャルをもつ大規模ネットワークの1種だ。その利点の1つとして、デバイスを長時間稼働させることができる点が挙げられる。また、太陽電池やその他の低出力な代替手段によっても、デバイスを非常に長時間動かすことができ、メンテナンスを最小限に抑えることができる。
数千もの低電力センサーのメンテナンスはハイコストなうえに実現が難しいことから、スマートシティを考えるうえで、この特徴はとても重要なものだ。
LPWAネットワークは、多くのデバイスが同時に接続されている状況下でもスムーズに動き、ネットワーク下のデバイスからの要求はアプリケーションの使用事例に応じて最適化される。スマートフォンなどの電子製品で占められている現在主流のネットワークに、ただ単純にデバイスを追加するだけでは、ネットワークの負荷が上がり信頼性の低下につながるだろう。
この技術にはいくつかマイナス要素もある。5Gと比べると、LPWAの通信速度はかなり低い。たとえば、LPWAを使って監視カメラのストリーミング映像を見るのは適切ではない。しかし、街中のガレージのドアの開閉状態をチェックするには十分だろう。
スマートシティでは、自治体が管理するコネクテッドデバイスが街中に溢れかえることになる。そのため、SIGFOXなどのLPWAを扱う企業はこの問題を解決しようと試みているのだ。
LPWAシステムはスケーラブルになるか
未来のスマートシティにどのようなネットワークが選ばれようと、考慮しなければならないことは無数にある。ひとつ例を挙げると、コネクテッドカーや自動運転車の増加により、自動車同士や街の交通システムとの通信をサポートするスマートインフラをどうするかという問題が出てくるだろう。あり得ないスピードで増えるデータのストレージについても考慮しなければならなくなるだろう。
また、将来スマートシティに住む者にとってLPWAを選ぶメリットもある。たとえば、これまでクラウドに接続するために近くにあるスマートフォンやタブレットを必要としていたウェアラブルやIoTデバイスは、LPWAがあればクラウドに直接接続できるようになるかもしれない。
未来の都市において、幅広い需要に応えるためにさまざまなネットワークを抱えることになる可能性は十分にある。そのスマートシティを支えるのは5Gか、メッシュネットワークか、LPWAか、あるいはこれらの混成か。それは時間が明らかにしてくれるだろう。
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- LinkNYC高評価、ニューヨーク市が「ベストスマートシティ2016」を受賞
- マイクロソフトのAzure IoTハブ、Sigfoxとコラボレーション
- 服がスマートシティとやりとりする日
- スマートシティ開発で思う6つのこと(1)
- 新興国ベトナム・ホーチミン市にもスマートシティ化の流れ、3年後に期待
- 1.6兆ドル市場を目指すスマートシティへの投資
- スマートシティに重要な10の事とは?(1)
- IoTとLPWA:未来の工業と都市をつくるネットワーク、決め手は「データ量対コスト」
- LPWANの歴史から学ぶ、IoTで成功するための3つの教訓
- IoT時代のメッシュ通信プロトコル「Thread」、初の公認モジュール発売間近?