拡張する「スマートフォン機能」が3兆ドルの巨大IoT市場を“侵食”する
2025年までにIoT市場の規模は3兆ドルという驚くべき額にまで達するだろうと予想されているが、どうもその見通しに翳りが見えてきているようだ。その要因の一つとして挙げられているのは、いまどき誰もが手にしている「スマートフォン」のもつ機能であるという。
Fortune誌では、リサーチ会社であるMachina Research(マキナリサーチ)が発表した、IoT市場予測の下方修正についてのレポートを取り上げている。
もともと同社は、デバイスおよびサービス部門におけるIoT市場規模は2024年までに1.6兆ドルになると予測していたのだが、これを1.3兆ドルに見直した。レポートによると、残る1.7兆ドルはコンサルやホスティング、アプリ開発から生み出されるとしている。
「こういった予想の理由の1つに、想定されうる状況においては“スマートフォン”がより大きな役割を担うだろうと考えられることがある」と、Machina Researchのアナリストであるマーガレット・ランケン氏は言う。
他技術を飲み込んでいくスマートフォン
「コネクテッドカーを例に挙げると、みんながスマートフォンを代わりに使うようになったために、カーナビの類を見かけることは減ってきた。コネクテッドな医薬品ディスペンサーなどの専門的なデバイスは、我々の予想では無くなることになる。たしかに定期的に薬を飲むタイミングを教えてくれるデバイスに市場の可能性はあるのかもしれないが、いまのところ多くのアプリで同じことをそれよりもずっと安価におこなうことができる」と、彼女は語る。
スマートフォンの機能拡大以外にもIoTの成長の足を引っ張る要因として、携帯業者がスマートデバイスを既存のネットワークに接続させるための規格の設立が遅々として進まないことが挙げられる。IoTのための規格は7月にようやく出来あがったばかりだ。
こうした不透明な見通しのなか、SigfoxとLoRa AllianceはIoTに特化したまったく新しいネットワークをつくろうとしている。また、電話会社もIoTを駆使した5G機能を求めているが、専門家たちはこういった試みは自分たちの首を絞めることにつながると警告している。
関連記事:LoRaアライアンス、IoT開発者向けに「手早くプロトタイプを作れる」開発キットをリリース予定
Machina Researchは、2015年には60億だったIoT接続数が2025年には270億になると見ており、セルラー網を使った接続はそのうちの22億に留まると考えている。自動車がらみのIoTコネクションは、その45%を占めるようになるという。
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]
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