SQL Server v.Next CTP 1.3 Linux版も含めて公開、GoogleのTensorFlowが1.0に、ほか
こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。
「春一番」が吹き、4月中旬並みの暖かい日になることもありますが、一転冬の寒さが戻ってきたりと不安定な天候が続いています。しかしながら、桜の開花予想が始まり、春の訪れを感じる季節になってきました。
今週もOSSに関する注目すべきトピックを取り上げましたので、ゆっくりとご覧下さい。
独ミュンヘン市、Linuxから「Windows」に回帰へ 市議会のめざすべきITの形とは
ドイツのミュンヘン市議会は2月15日、同市が使用するデスクトップPCのOSを2020年末までにオープンソースのものから「Windows 10」へと置き換えるという提案を可決しました。10年余り前、ミュンヘン市はWindowsから市当局向けに特別に作成されたLinuxディストリビューション「LiMux」への移行を開始しました。移行対象コンピュータの数は1万5,000台以上におよび、コストは3,000万ユーロを超えたとされています。
ミュンヘン市長であるDieter Reiter氏は、米国Accenture社に委託したレポートに記載された「(職員の)半数以上が不満を抱えている」という内容を引き合いに出し、「職員はわれわれのITに満足していない」と述べました。ただし、ミュンヘン市職員への調査を含むAccentureのレポートは、職員の「不満」の主な原因として「LiMux」を名指ししているわけではありません。糾弾すべきは市当局のIT組織構成だと指摘するという意見もあり、今後の成り行きを注視する必要があるかもしれません。
(参照記事:https://japan.zdnet.com/article/35096820/)
Microsoft、Linux版も含めた「SQL Server v.Next CTP 1.3」を公開
米国Microsoft社は2月17日、次期バージョン「SQL Server v.Next」のCommunity Technology Preview(CTP)1.3をWindowsとLinux向けに公開しました。「SQL Server v.Next」のCTP 1.3では、高可用性と障害復旧(High Availability and Disaster Recovery:HADR)機能などが強化されており、Linux上で動作するSQL Serverでも、「Always On可用性グループ」機能を利用できるようになりました。Linux上で新たに対応した「Always On可用性グループ」では、Linuxベースのクラスタリソース管理ツールと連携し、自動監視、障害検知、予期せぬ障害時の自動フェイルオーバーを実現します。また、広く普及しているLinuxのクラスタリングツール「Pacemaker」にも対応しています。
(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1702/21/news041.html)
Microsoft、ドローンのAI学習シミュレーターをオープンソースで公開
米国Microsoft社は2月15日、ドローンのAI学習向けシミュレーション環境「Aerial Informatics and Robotics Platform」のβ版ツールをオープンソースで公開したと発表しました。これらのツールは、ドローンやロボットなどの自立運行の学習およびテストを仮想世界内でシミュレーションするためのもので、シミュレーションはドローンカメラ視点の他、リアル世界であれば2台のドローンが必要となるドローンの動きを追う視点でも確認できます。Microsoftは、このツールの長所として、「高価なドローンやロボットを壊さずに何度でもテストできること」と、「テスト結果をデータとして記録できること」を挙げています。記録したシミュレーションデータは、ディープラーニング用の学習データとして使えるそうです。
(参照記事:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1702/16/news079.html)
NEC、レッドハットのコンテナアプリケーション基盤向けサポートを提供
日本電気(株)(以下、NEC)は2月15日、レッドハット(株)とOSS分野で協業し、ユーザのコンテナアプリケーションを活用したDevOps実現に向けて支援を強化すると発表しました。国内でオンプレミスのシステム上に構築された、レッドハットのRed Hat OpenShift Container Platformのサポートについては、これまではレッドハットからのみ提供されていましたが、今回の協業により、NECからもサポート提供が可能になりました。具体的には、システム構築時のQ&Aやトラブル時における問い合わせに対して、NECの技術者から日本語で対応し、ユーザのコンテナアプリケーションの開発・運用についてDevOps実現を支援します。
オンプレミスのシステム上のRed Hat OpenShift Container Platformについて、レッドハット以外からのサポートの提供は、国内で初めてとなります。
(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1044354.html)
GoogleのAIライブラリ「TensorFlow」がVer.1.0に 高速化してより柔軟に、新APIも追加
米国Google社は2月15日、本社キャンパスで開催の「TensorFlow Developer Summit」において、機械学習ライブラリ「TensorFlow」をバージョン1.0にアップデートしたと発表しました。「TensorFlow」は、同社が2015年11月にオープンソース(Apache 2.0ライセンス)で公開したディープラーニング対応の機械学習ライブラリです。同社のニューラルネットワーク採用の翻訳サービスや、Googleフォトの画像認識機能などにもTensorFlowが採用されています。主な改善点は、「高速化」「柔軟性の向上」「安定性の向上」の3点です。
(参照記事:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1702/17/news051.html)
長らくご愛読いただきました「週刊OSSウォッチ」も諸事情により、今回が最終回となります。今後、編集部とも協議の上、4月から新しい形で皆さまにOSSに関する情報を提供していきたいと思っていますので、ご期待ください。
2014年から続けてきた週刊OSSウォッチですが、企画リニューアルのため3月はお休みをいただきます。4月以降の吉田先生の次回作にご期待ください。(Think IT編集部)