2. 現状を分析して戦略マップを作る
2. 現状を分析して戦略マップを作る
次に、現状の業務を業務棚卸などによって調査・分析し、その結果から戦略的目標を抽出し、その目標の達成度を評価するための指標を設定する(表4)。これらをもとに、「業績」「顧客」「業務プロセス」「学習と革新」の4つの視点からなる構造化された戦略マップ(図2)を作成して、視点ごとの目標の因果関係を明確にする。
| 戦略的目標 | 指標(○成果指標、△先行指標) ※抜粋 |
| 迅速な意思決定 | ○1件あたりにかかる平均決裁時間 |
| △起案の確実性 | |
| 責任・役割に応じた適切な意思決定 | ○一連の処理で必要な決定回数 |
| △承認・却下取消・修正ルールの明示度 | |
| 起案の簡素化 | ○起案の簡素化・判断の容易性レベル |
| プライバシーの保護 | △庁内他部署の文書へのアクセス制御レベル |
| 時間的・空間的制限の軽減 | ○電子会議の利用率 |
| △起案必要情報の電子化レベル | |
| ワークフローの確実な把握 | ○主管課での処理状況監督・管理レベル |
| 審査内容・基準の明確化 | ○形式審査(基本情報の確認等)と個別判断を要する審査の明確化レベル |
| 意思決定プロセスの安全性確保 | △決定情報として管理される項目(履歴管理のレベル) |
| 申請書情報の効率的管理・運用 | ○部署を超えた申請者別の情報整理、管理・運用のし易さ |
| 情報システム基盤の整備 | ○イントラネット整備状況 |
| 決裁・事務ルールの標準化・理解度向上 | ○文書取扱ルールの理解度 |
| 情報取扱のリテラシー向上 | △情報電子化への取り組み |
なお、今回の事例は公共機関を対象としているため、「財務」ではなく行政の最終ゴールである「業績」を最上位に設定した。
3. あるべき姿を描いてスコアカードを作る
現状分析と戦略マップをもとにして、戦略経営に適った電子決裁・文書管理システムの導入後のあるべき姿(ベストプラクティス=理想像)を設計し、視点ごとの評価指標を選定、スコアカード(評価分析票)を完成させる(図3)。
例えば、戦略的目標の1つとしてあげられている「起案の簡素化」のあるべき姿は、簡単な手続かつ的確な判断で起案できることである。そして、起案様式がどの程度テンプレート化されているか、組織横断的にテンプレートを利用できるか、決裁ルートの雛形があり選択可能になっているか、起案のルールが明確 になっているかなど、各々評価尺度を設けて点数を付ける。
そして、スコアカードの分析ロジック(配点=重み付け、評価尺度など)に基づいて試算を行い、現状/情報システム導入後/運用改善後(BPR後)を数値化する。

