ニューラルネットワークの可能性 1

階層型ネットワークと相互結合型ネットワーク

階層型ネットワークと相互結合型ネットワーク

ニューラルネットワークは「階層型ネットワーク」と「相互結合型ネットワーク」の2つに大きく分かれる。

階層型ネットワークとは、文字通り階層構造をもったネットワークである。入力層、中間層、出力層の3つに分かれており、入力層から入った情 報は中間層、出力層を通って出力される。それぞれの層には、処理を伝搬するニューロンが配置されている。ニューロンとは人間の脳を構成している神経細胞の ことである。ニューラルネットワークではこの動作を数理モデル化したものを用いている。

また階層型ネットワークでは、情報は層を一方向に流れ、同じ層の間ではニューロンの結合(情報の受け渡し)がないものだ。一般的に、繰り返し情報を入力していき、問題に対して最適な出力が得られるようにする。

もう1つの相互結合型ネットワークとは、階層型ネットワークとは異なり、層という形状がなくニューロン同士が相互に結合しているものだ。こ のニューロンの情報パターンによって記憶などを行うことが可能となる。また、ニューロンAから出力された情報は、他のニューロンを通って、ニューロンAに 戻ってくることがある。これをフィードバックといい、相互結合型ネットワークの大きな特徴だ。

それぞれに用途が異なり、階層型ネットワークはパターン認識など、相互結合型ネットワークは相関学習による連想記憶などに用いられている。

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ニューラルネットワークの技術解説から最前線まで

さて、ここまでニューラルネットワークについて、簡単な概要を述べてきた。次回以降ではさらに深いニューラルネットワークのテクノロジを紹介する。ご登場いただくのは名古屋工業大学の岩田 彰先生だ。

3月12日(水)公開の第2回では、今回紹介した階層型ネットワークについて、その具体的な数式やモデルについて解説していく。第3回で は、同研究室で独自に研究されてるニューラルネットワークの最前線のテクノロジ「パルスニューラルネットワーク」について解説していく。パルスニューラル ネットワークとは、入出力にパルス列を用いたもので、より神経細胞に近いモデルである。その動作が非常に簡易なため、ハードウェア上に多数実装することが できる。

そして最終回では、第3回で紹介したパルスニューラルネットワークの研究開発実用化の例として、「音の見える化プロジェクト」を紹介する。本連載を通して、ニューラルネットワークの可能性に触れていただきたい。

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