米グーグルがLB「Seesaw」をGitHub公開、ヤフーが1,200台のサーバーでHadoop基盤を構築、ほか

2016年2月5日(金)
吉田 行男
米国グーグル社は1月29日、自社開発のロードバランサー「Seesaw v2」をApache 2.0ライセンスの下でGitHubで公開したと発表しました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

インフルエンザが全国的に流行しているようです。先月24日までの1週間にインフルエンザで受診した患者数は、その前の週の2倍以上となる52万人ということです。今後4週間以内に大流行の可能性がある「注意報レベル」の地域も多く、手洗いなど対策を徹底し、罹患しないようにしたいものです。

今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

自社データセンターに必要な機能を盛り込む:グーグルがロードバランサー「Seesaw」をGitHubで公開

米国グーグル社は1月29日、自社で開発したロードバランサー「Seesaw v2」をApache 2.0ライセンスの下でGitHubで公開したと発表しました。Seesawは、自社のデータセンターでそれまで使っていた2種類のロードバランサーに不満を持っていたグーグルのエンジニアが2012年に開発したツールで、バージョン2でほぼ目的としていた機能を搭載できたためオープンソースで公開することにしました。また、Go言語で書かれており、LVS(Linux Virtual Server)上で稼働します。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1602/02/news071.html

オープンソースコードのセキュリティアップデートを代行するLexumoが$4.89Mを調達、巨大な未開拓市場に挑む

米国Lexumo社は2月1日、$4.89Mを調達したと発表しました。同社は世界中のすべてのオープンソースをインデクシングし、その結果をもとにオープンソースを組み込みシステムやエンタープライズで利用しているユーザー企業へセキュリティサービスをクラウドで提供しています。ユーザー企業からソースコードを預かり、その中に既知のセキュリティ脆弱性があるかどうかをチェックするほか、そのソースコードを継続的にモニタリングして、アップデートがあればそのことを開発者に知らせます。OSSの継続的なセキュリティアップデートのチェックは、ユーザーの自己責任になることが多く、ユーザー企業にとって、往々にして負担が大きすぎ、自力でできない場合もあります。それを自動化してくれるのが同社のサービスになります。

(参照記事:http://jp.techcrunch.com/2016/02/02/20160201lexumo-lands-healthy-4-89-million-seed-round-to-help-ensure-embedded-system-security/

ヤフー、Open Compute Projectを採用し、1,200台のサーバーによるHadoop基盤を構築(News&Trend)

ヤフーは2月2日、同社の米国現地法人YJ America社が保有する米ワシントン州のデータセンターにおいて、ビッグデータ活用を目的とするHadoop基盤を構築しました。同基盤はOpen Compute Project(OCP)の仕様に基づいた製品を中核にし、1,200台のサーバーと120ペタバイトのストレージで構成されています(製品提供とリリースの発表は伊藤忠テクノソリューションズ(CTC))。国内のデータセンターでは既に6,000台を超えるサーバーで構築したHadoop基盤を運用中で、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」から得たさまざまな情報をHadoopで分析し、レコメンデーションやターゲティング広告などに役立てています。今回は、この既存のHadoop基盤の拡張が目的で、ストレージ容量不足を解消しています。

(参照記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/012900430/

“NoLinux”の売上比率を50%まで拡大する:レッドハット新社長の望月氏

昨年11月、レッドハットの新社長に就任した望月氏のインタビュー記事です。この中で望月氏はレッドハットのコアコンピタンスである「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の事業成長を維持しつつ、ミドルウェアやモバイルアプリケーションプラットフォームなど“NoLinux(OS以外)”のビジネスを強化していくと述べています。日本ではRHEL事業が売り上げ全体の7~8割ですが、IT市場全体を見るとOSが占める割合は25%程度で、レッドハットは今後残り75%の市場にチャレンジする必要性を感じているようです。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35076944/

クロスクラウド対応の“PaaS 2.0”「OneOps」がOSSで公開される

米国の小売り大手ウォルマートストアズの開発部門である米国WalmartLabs社は1月26日、クロスクラウド対応でアプリケーションの継続的なデリバリー、実行、運用管理などを実現するソフトウェア「OneOps」をオープンソースで公開しました。AWS、Azure、Rackspace、OpenStack、CenturyLinkなどのクラウドに対応し、MavenおよびJenkinsとの統合により、どのクラウドに対しても自動化されたアプリケーションのデプロイ機能による継続的デリバリの機能を提供します。OneOpsがクラウドの違いを吸収してくれるため、アプリケーションの開発者はクラウドごとにアプリケーションを設計する必要はなく、1つのアプリケーションをOneOpsでどのクラウドへも展開可能になります。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1601/28/news133.html

編集後記

全豪オープンも終わり、2月に入ってプロ野球の各球団がキャンプインしました。特にセ・リーグでは監督がいずれも就任3年以内で40代、しかも新監督が4人ととても新鮮です。
新しい力で、ぜひ今年のプロ野球を面白いものにしてほしいものです。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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