米GitHubが「GitHub 2.5」を公開、米CoreOSがコンテナエンジン「rkt 1.0」をリリース、ほか

2016年2月19日(金)
吉田 行男
米国GitHub社は9日、企業向けライセンスモデルの最新版となる「GitHub Enterprise 2.5」を公開しました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

14日には「低気圧と前線の影響で各地で春一番が吹いた」と発表され、気温もぐんぐん上昇し、場所によっては5月下旬並みの陽気になりました。ところが今週の月曜日からはまた真冬の季節に戻り、とても体調管理が難しい一週間でした。

今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

IBMと日本取引所、ブロックチェーンを実証実験―OSSの「Hyperledger」を活用

日本IBMは16日、日本取引所グループ(JPX)と共同で低トランザクションの株式市場などを想定したブロックチェーン技術に関する実証実験を3月から支援することに合意したと発表しました。日本IBMはJPXと共同で、ブロックチェーン技術の特性を長短所の両面から把握し、「ブロックチェーン技術の評価」と「低コストでの運営可能性」を検証します。この実証実験では、業界標準として広く普及する可能性や、各種認証方式、プライバシー要件、複数資産カテゴリ、複雑な業務処理への適用を勘案し、The Linux Foundationが中心となって進める「Hyperledger」のフレームワークの利用を予定としています。なお、The Linux Foundationは9日、エンタープライズ領域での利用に耐えるブロックチェーン基盤の開発をめざす「Hyperledger Project」の創立メンバー30社と組織体制を発表しています。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/svc/nls/?id=35077947

GitHub、「GitHub Enterprise 2.5」を公開

ソフトウェア開発プロジェクト共有サービスを提供している米国GitHub社は9日、企業向けライセンスモデルの最新版となる「GitHub Enterprise 2.5」を公開しました。GitHub Enterprise 2.5では、より大規模な開発への対応とともに、セキュリティや管理機能が強化されました。また、新たにクラスタリングに対応し、複数のノードにわたるスケールアウト構成が可能になったことにより、開発メンバーが数万人規模に渡る大規模開発にも対応できるようになりました。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1602/12/news132.html

米CoreOS、Dockerコンテナの実行にも対応する独自コンテナエンジンの安定版「rkt 1.0」をリリース

米国CoreOS社は4日、セキュリティにフォーカスしたコンテナエンジン「rkt 1.0」のリリースを発表しました。rktはGo言語で作成されたLinux向けのコンテナ管理ツールで、柔軟性やセキュリティ、デーモンを使用せず、ほかのシステムとの統合が容易である点などが特徴です。「App Container」規格に準拠するコンテナや、Dockerコンテナを実行することができます。ライセンスはMIT Licenseで、CoreOSのコンテナ実行システムとしてDockerからの置き換えをめざして開発が進められています。

(参照記事:https://osdn.jp/magazine/16/02/10/090000

第8回フクオカRuby大賞、3次元幾何演算スクリプト環境「siren」が大賞に

9日、フクオカRuby大賞および福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞の表彰式などで構成するイベント「Ruby・コンテンツフォーラムFUKUOKA 2016」が福岡市内のホテルで開催されました。今年で8回目を迎えたフクオカRuby大賞は、Rubyを活用したビジネスの促進やRubyの普及拡大を目的に、Rubyおよびその軽量版であるmrubyを利用した優れた取り組みを表彰するコンテストで、今回のフクオカRuby大賞・福岡県知事賞に選ばれたのは「3次元幾何演算スクリプト環境『siren』の開発」です。sirenは3次元モデリング・解析システムで、複雑な形状を簡単に定義できるうえ、物体の面積・容積計算、重心位置計算、ブーリアン演算などもできます。

(参照記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/021500458/

マネーフォワードがRuby言語の「パトロン」に

マネーフォワードは17日、Rubyの発展に寄与することを目的とし、フルタイムのRubyコミッター職として、卜部昌平(うらべ しょうへい)氏を招聘したことを発表しました。オープンソース開発者2人を技術顧問やRubyコミッター職として採用するということは2015年12月に発表済みでした。今回、Rubyコミッター職に就任するとしていたのが卜部氏で、正式に17日付けで入社したという発表です。卜部氏は今後、マネーフォワードのプロダクト開発には関わらず、Ruby言語の開発に専念するようです。マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻 庸介氏は、「国内でもオープンソースを技術力の源泉として『利用』している企業は増えてきていますが、これからはさらに一歩先、オープンソース『開発』を自社の技術力の源泉としていく企業が増えてほしい」と語っています。

(参照記事:http://jp.techcrunch.com/2016/02/17/moneyforward-urabe/

編集後記

今週末からはいよいよプロ野球のオープン戦も始まり、各選手はキャンプでの成果を見せる時期になってきました。特に若手は練習の成果をアピールする絶好の機会です。選手たちは昨シーズン終了後から地道に積み上げてきた努力が実を結ぶことを信じて練習を続けてきたはずなので、良い結果に結びつくことを祈りたいものです。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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