Silverlight 4の印刷機能:DataGrid編
ロジックコードを記述する
次に処理を記述します。
ソリューションエクスプローラ内のMainPage.xamlを展開し、MainPage.xaml.vbをダブルクリックしてコード画面を開きます。
リスト4のようにロジックコードを記述します。
リスト4: ロジックコード(MainPage.xaml.vb)
LINQ to XMLでXMLを処理するクラスの含まれる、System.Xml.Linq名前空間をインポートします。印刷の機能を提供するクラスの含まれるSystem.Windows.Printing名前空間をインポートします。
personalInfoクラス内に、「氏名、年齢、住所、勤務先」のプロパティを定義します。
VS 2008では、単にフィールドに値を保存したり、取得したりするにも、Get/Setコードを記述する必要があり、コード自体が冗長になっていました。しかし、VS 2010では、VB 2010の自動実装プロパティを使用することができ、personalInfoクラスを以下のコードだけを使用して実装できるようになりました。
personalInfoクラスのリストとして作成するmyPersonalInfoをメンバ変数として宣言します。
■ページが読み込まれたときの処理
XElement.LoadメソッドでXML文書ファイルを読み込みます。要素のコレクションを取得するクエリ(query)を定義します。
queryを実行します。クエリコレクション内を反復処理しながら、Addメソッドで、personalInfoクラスの各プロパティ(「氏名、年齢、住所、勤務先」)に、XMLの各要素(、、、)の値を追加します。
DataGridコントロール(名前はDataGrid1)のItemsSourceプロパティに、myPersonalInfoオブジェクトを指定します。これで、DataGrid内にXMLデータが表示されます。
■[印刷]ボタンがクリックされた時の処理
新しいPrintDocumentのインスタンスmyPrintオブジェクトを生成します。PrintDocumentクラスはSilverlightアプリケーションの印刷機能を提供するクラスです。
ページの印刷中に発生するPrintPageイベントで、DataGrid_Printプロシージャを実行します。印刷が完了したときに発生する、EndPrintイベントでは、DataGrid_EndPrintプロシージャを実行します。
Printメソッドで印刷キューに指定するドキュメントの名前を指定して、印刷を開始します。
■DataGrid内のデータを複数ページに渡って印刷する処理
新しいWrapPanelのインスタンスmyWrapPanelオブジェクトを生成します。
加算されるメンバ変数pageNumberが、PersonalInfoクラスのリストであるmyPersonalInfoオブジェクトに追加されたデータの個数より小さい間、Whileステートメントで以下の処理を繰り返します。
新しい、SilverlightControl1(Silverlight ユーザーコントロール)のインスタンスmySilverlightControl1オブジェクトを生成し、DataContextプロパティにPersonalInfoクラスのリストとして作成した、myPersonalInfoオブジェクトを指定します。添え字に、加算されるpageNumberを指定します。WrapPanelコントロールにDataContextの設定された、mySilverlightControl1オブジェクトを追加します。
WrapPanelに対して、SizeにWidthとHeightを指定して、Measureメソッドを呼び出します。Widthには印刷可能なWidth(e.PrintableArea.Width)を指定し、Heightには正の無限大を表すDouble.PositiveInfinityを指定します。
Measureメソッドは、レイアウト処理の測定パスの実行中に、UIElementが計算したサイズを更新します。
WrapPanelのDesiredSize.Heightが、印刷可能なHeight(e.PrintableArea.Height)より大きく、かつ、WrapPanelコントロールに追加されたmySilverlightControl1オブジェクトの個数が1より大きかった場合は、WrapPanelコントロールから、RemoveメソッドでmySilverlightControl1オブジェクトを削除し、HasMorePagesプロパティにTrueを指定して、まだ印刷するページがあることを明示します。次にWhileステートメントから抜けます。
HasMorePagesプロパティにTrueを指定すると、印刷するページがある限り、PrintPageイベントでDataGrid_Printプロシージャが呼び出されます。DataGrid_Printが呼び出され、新しいWrapPanelオブジェクトが生成されmySilverlightControl1オブジェクトが追加される前に、すでにmySilverlightControl1オブジェクトが追加されている場合は、一度RemoveメソッドでmySilverlightControl1オブジェクトを削除しておきます。この処理をしなければ、ごみが入る場合があります(図9)。PersonalInfoクラスのリストとして作成したmyPersonalInfoオブジェクトの添え字に指定した、pageNumber変数を加算します。印刷する要素を指定するPageVisualプロパティに、WrapPanelのオブジェクトであるmyWrapPanelを指定します。これで、DataGridコントロールに表示されていたデータの一覧が、Silverlightユーザーコントロール(SilverlightControl1.xaml)で定義した形式で、印刷、または書き出されます。
■印刷が完了したときの処理
「完了」というメッセージを表示します。
この「完了」というメッセージが表示されない限り、XPSファイルは書き出されませんので、注意してください。
図9: XPSファイルに書き出した際、先頭にごみが入っている |