WCF+Silverlightで作るリアルタイムWeb(後編)
WCFサービスを双方向化する
サービスを双方向通信にするには、サービスのServiceContract属性にCallbackContract引数を設定し、このサービスが完了したときにサーバー側で実行するメソッドを設定します。
このメソッドはクライアントとの通信機能を持っており、サーバー側でこのメソッドが実行されるとクライアント側で「Recieved」というイベントが発生します。
通常の非同期通信で、サービスが終了したときに「Completed」イベントが発生するメカニズムに似ています。
そのため、クライアントがSetStateを呼び出すと、その処理のコールバックとしてGetStateが実行されるようにすることが可能です。
ここでは、クライアントが「自分の在席状態をサーバーに更新」(SetState)したら、そのコールバックとして「サーバーにある社員全員の在席状況を全員に通知する」メソッド(GetState)が実行されるようにしたいと思います。
双方向通信のコールバックメソッドはクラスで指定する必要があるため、GetStateをクラスに分離します。
(1)サービス側のコールバックメソッドを定義
サービスのServiceContract属性にCallbackContract引数を設定し、コールバック対象をクラスに分離します。両方とも値を返さない一方向のサービスにします。また、GetStateの引数を介してサーバー側の社員の在席状態をクライアントに引き渡すようにします。
[リスト 08]サービスのサーバー側コールバックを定義
(2)双方向通信を行うライブラリを参照設定する
サービスプロジェクト側に%Program Files%\Microsoft SDKs\Silverlight\v4.0\Libraries\Server\System.ServiceModel.PollingDuplex.dllを参照設定し、クライアントプロジェクト側に%Program Files%\Microsoft SDKs\Silverlight\v4.0\Libraries\Client\System.ServiceModel.PollingDuplex.dllを参照設定して、双方向通信を作成します。
DLLは、Silverlight 3 SDKから配布されていますので、該当フォルダは皆さんの環境に合わせて読み替えてください。
図3:SDKのDLLを参照追加(クリックで拡大) |
(3)サービス実装側DeskTopStateServiceのGetStateを変更する
IDeskTopStateServiceインターフェースに合わせて、サービス実装側DeskTopStateServiceのGetStateをSetState内でインプリメントするよう変更します。
[リスト 09]コールバックの実装
- ※ここではすぐに「client.GetState(states);」として、クライアント側に通知してしまいます。最終的にクライアント側エンドポイントを持つclientをコレクションに保持しておくことで、サービスを呼び出した全員に通知するようにします。
(4)双方向通信を設定
サービスのWeb.Configを修正し、双方向通信を設定します。
[リスト 10]エンドポイントの作成
- ※行番号「07」~「11」、「16」~「20」、「25」~「28」はそれぞれ1行扱いです。
「WCF+Silverlightで作るリアルタイムWeb(後編)_1」サンプルプログラム
「WCF+Silverlightで作るリアルタイムWeb(後編)_2」サンプルプログラム
「WCF+Silverlightで作るリアルタイムWeb(後編)_3」サンプルプログラム