Windows Phone 開発環境の構築と最初のプログラム

2011年7月1日(金)
PROJECT KySS

タイマーを表示する

まず初めに、このプログラムで実装する機能の動作を、下記に解説しておきます。

エミュレーター上に現在の時刻が表示されます。秒は1秒ずつカウントされています。このエミュレーターを終了する場合は、エミュレーターの右隅上辺りにマウスポインタを乗せるか、タッチ(タッチスクリーンの場合)すると、コントロールボックスが表示されるので「×」をクリックします(図10)。

3

図10:エミュレーター上に現在の時刻が表示されている(左図)。終了する場合は、エミュレーターの右隅上辺りにマウスポインタを乗せるか、タッチ(タッチスクリーンの場合)すると、コントロールボックスが表示されるので「×」をクリックする(右図)(クリックで拡大)

サンプル一式は、会員限定特典としてダウンロードできます。記事末尾をご確認ください。

※サンプル実行でエラーが発生した場合は、「ソリューションのビルド」を実行後、再度、デバッグ開始を行ってください。

プロジェクトの作成

Visual Studio 2010(以下VS2010)を起動し、「ファイル(F)/新規作成(N)/プロジェクト(P)」と選択します。「新しいプロジェクト」画面が表示されますので、「インストールされたテンプレート」から「Silverlight For Windows Phone」を選択します。表示されるテンプレートから「Windows Phone Application」を選択します。「名前(N)」には「WP7_Timer」と指定します。プロジェクトを作成する「場所(L)」には読者の任意のフォルダを指定してください(図11)。[OK]ボタンをクリックすると、前掲載の図2のようなWindows Phoneのバージョンを選択する画面が表示されますので、Windows Phone 7.0を選択します。

3

図11:「インストールされたテンプレート」から「Silverlight For Windows Phone」を選択する。表示されるテンプレートから「Windows Phone Application」を選択する(クリックで拡大)

[OK]ボタンをクリックすると、Windows Phoneのバージョン選択後、左にWindows Phoneのエミュレーターの表示されたデザイン画面、右側にXAMLの記述された画面が表示されます(図12)。この画面でコントロールをレイアウトしていきます。

3

図12:左にWindows Phoneのエミュレーターの表示されたデザイン画面、右側にXAMLの記述された画面が表示される(クリックで拡大)

XAMLの編集とコントロールの配置

エミュレーターデザイン画面内の「page name」となっているタイトル名を「Timer」に変更します。「page name」を選択すると、XAML内の「page name」に該当するコードが薄いグレーで反転します。この場合はx:NameがpageTitleというTextBlockが反転します(図13)。

3

図13:エミュレーター内の「page name」に該当するXAML内のコードが反転する(クリックで拡大)

この薄いグレーで反転したTextBlockのTextプロパティに直接「Timer」と入力します。または、プロパティウィンドウ内の[共通]パネルにあるTextプロパティを「page name」から「Timer」に変更します。どちらの方法でも構いません。エミュレーターのタイトルが「Timer」に変わります(図14)。

3

図14:エミュレーターのタイトルが「Timer」に変わった(クリックで拡大)

ツールボックスからエミュレーター上にBorderとTextBlockコントロールを配置します。TextBlockコントロールはBorderコントロールの子要素となるように配置してください。Borderコントロールを選択し、プロパティウィンドウ内の[共通]パネルにあるBorderThicknessに5と指定して、枠線を太くします。CornerRadiusに12を指定して四隅を丸く縁取ります。次に、[ブラシ]パネルにあるBorderBrushにGoldを指定し、枠線の色をGoldとします。

TextBlockコントロールを選択し、プロパティウィンドウ内の[ブラシ]パネルにあるForegroundにGoldを指定し、文字色をGoldとします。[テキスト]パネルにある文字サイズに48を指定します(図15)。

書き出されるXAMLはリスト1のようになります。

3

図15:BorderとTextBlockを配置しプロパティを設定した

リスト1 書き出されたXAMLコード(MainPage.xaml)

(1)<Border>要素の子として<TextBlock>要素が配置されています。<Border>要素には、プロパティウィンドウ内で指定した、BorderBrush、BorderThickness、CornerRadiusプロパティが設定されています。<TextBlock>要素には、FontSizeとForegroundプロパティが指定されています。

(2)<!--  -->のコメント部分は自動的に追加されたものです。
<phone:PhoneApplicationPage 
  x:Class="WP7_Timer.MainPage"
  xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
  xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
  xmlns:phone="clr-namespace:Microsoft.Phone.Controls;assembly=Microsoft.Phone"
  xmlns:shell="clr-namespace:Microsoft.Phone.Shell;assembly=Microsoft.Phone"
  xmlns:d="http://schemas.microsoft.com/expression/blend/2008"
  xmlns:mc="http://schemas.openxmlformats.org/markup-compatibility/2006"
  mc:Ignorable="d" d:DesignWidth="480" d:DesignHeight="768"
  FontFamily="{StaticResource PhoneFontFamilyNormal}"
  FontSize="{StaticResource PhoneFontSizeNormal}"
  Foreground="{StaticResource PhoneForegroundBrush}"
  SupportedOrientations="Portrait" Orientation="Portrait"
  shell:SystemTray.IsVisible="True">
  <!--LayoutRoot is the root grid where all page content is placed-->
  <Grid x:Name="LayoutRoot" Background="Transparent">
    <Grid.RowDefinitions>
      <RowDefinition Height="Auto"/>
      <RowDefinition Height="*"/>
    </Grid.RowDefinitions>
  
    <!--TitlePanel contains the name of the application and page title-->
    <StackPanel x:Name="TitlePanel" Grid.Row="0" Margin="12,17,0,28">
      <TextBlock x:Name="ApplicationTitle" Text="MY APPLICATION" Style="{StaticResource PhoneTextNormalStyle}"/>
      <TextBlock x:Name="PageTitle" Text="Timer" Margin="9,-7,0,0" Style="{StaticResource PhoneTextTitle1Style}"/>
    </StackPanel>

    <!--ContentPanel - place additional content here-->
    <Grid x:Name="ContentPanel" Grid.Row="1" Margin="12,0,12,0">
      <Border BorderBrush="Gold" BorderThickness="5" Height="110" HorizontalAlignment="Left" Margin="27,51,0,0" Name="Border1" VerticalAlignment="Top" Width="400" CornerRadius="12"> ■(1)
        <TextBlock Height="77" Name="TextBlock1" Width="264" FontSize="48" Foreground="Gold" HorizontalAlignment="Stretch" /> ■(1)
      </Border>
    </Grid>
  </Grid>
  
  <!--Sample code showing usage of ApplicationBar--> ■(2)
  <!--<phone:PhoneApplicationPage.ApplicationBar> ■(2)
    <shell:ApplicationBar IsVisible="True" IsMenuEnabled="True">
      <shell:ApplicationBarIconButton IconUri="/Images/appbar_button1.png" Text="Button 1"/>
      <shell:ApplicationBarIconButton IconUri="/Images/appbar_button2.png" Text="Button 2"/>
      <shell:ApplicationBar.MenuItems>
        <shell:ApplicationBarMenuItem Text="MenuItem 1"/>
        <shell:ApplicationBarMenuItem Text="MenuItem 2"/>
      </shell:ApplicationBar.MenuItems>
    </shell:ApplicationBar>
  </phone:PhoneApplicationPage.ApplicationBar>--> ■(2)
</phone:PhoneApplicationPage>

次に、ソリューションエクスプローラー内のMainPage.xamlを展開し、表示されるMainPage.xaml.vbをダブルクリックしてリスト2のロジックコードを記述します。

ロジックコードを記述する

リスト2 (MainPage.xaml.vb)

Option Strict On

タイマーの機能を提供するクラスが含まれる、System.Windows.Threading名前空間をインポートします。 
Imports System.Windows.Threading
Partial Public Class MainPage
  Inherits PhoneApplicationPage

  ' Constructor
  Public Sub New()
    InitializeComponent()
  End Sub

■ページが読み込まれた時の処理
新しいDispatcherTimerのインスタンスmyTimerオブジェクトを宣言します。DispatcherTimerクラスは、指定した時間の間隔で発生するタイマーを表すクラスです。
タイマーの時間間隔を表すIntervalプロパティに1秒を指定し、Startメソッドでタイマーを開始します。
AddHandlerメソッドで、タイマー間隔(この場合1秒)が経過すると発生するTickイベントに、イベントハンドラを指定します。イベントハンドラ内では、以下の処理を実行します。
TextBlockコントロールに現在の時刻を表示するコードを記述します。これで、1秒間隔で変化する現在の時刻が表示されます。
  Private Sub MainPage_Loaded(sender As Object, e As System.Windows.RoutedEventArgs) Handles MyBase.Loaded
    Dim myTimer As New DispatcherTimer
    myTimer.Interval = TimeSpan.FromSeconds(1)
    myTimer.Start()
    AddHandler myTimer.Tick, Sub()
                                TextBlock1.Text = DateTime.Now.ToLongTimeString
                             End Sub
  End Sub
End Class

プログラムが完成し、エミュレーターで実行する場合は、VS2010メニューの「Windows Phone Device」のドロップダウンの箇所を、「Windows Phone Emulator」にしてください(図16)。

3

図16:「Windows Phone Emulator」を選択
  • 「Windows Phone 開発環境の構築と最初のプログラム」サンプルプログラム

四国のSOHO。薬師寺国安(VBプログラマ)と、薬師寺聖(デザイナ、エンジニア)によるコラボレーション・ユニット。1997年6月、Dynamic HTMLとDirectAnimationの普及を目的として結成。共同開発やユニット名義での執筆活動を行う。XMLおよび.NETに関する著書や連載多数。最新刊は「Silverlight実践プログラミング」両名とも、Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep 2012)。http://www.PROJECTKySS.NET/

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています