イベント・セミナー2014 33

VMwareによるOpenStackの取り組みはVで始まるハイブリッド型

クラウドコンピューティングに欠かせない仮想化技術の最先端を走るVMwareのプライベートイベント、vForum 2014が2014年11月5日、6日に東京で開催され、多数の参加者、数多くのパートナーが参加し、非常に熱気のこもったイベントとなった。最近、頻繁にIT系企業のイベントが開催される芝公園に隣

松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

2014年11月27日 3:00

目次

  1. VMwareかOpenStackか?二者択一ではない
  2. VMwareのOpenStackはRed Hatよりも高速で安い? セッションは次にVMwareのコンポーネントを使った時とRed Hatのコンポーネントを使った時の比較に移り、如何にVMwareのコンポーネントを使ったOpenStackが優れているかを説明した。この比較ではOpenStackの下位にvSphereとVMwareのストレージ製品であるVirtual SANの組み合わせた場合とRed Hatのハイパーバイザ、KVMとRed Hat Storageを組み合わせた場合を比較し、性能と3年間の保有コストを比べている。比較には米国Yahoo!が開発したベンチマークテスト、Yahoo Cloud Serving Benchmarkを使い、アプリケーションとしてApache Cassandraを稼働させた場合、VMwareのほうが53%高速で、ストレージへのIOPSもRed Hatの場合と比べて159%も高速であるという。またオープンソースだからソフトウェアは無料と思われがちだがRed Hatの提供するサポートを受けることまで計算すると3年間のソフト、ハード、サポートのコストはVMwareのほうが26%安くなるという。Red Hatが推奨するストレージ構成の場合、VMwareの構成に比べて専用のサーバーが必要となり、そのハードウェアの増加分がコストを押し上げている計算になる。より詳しくはこちらの資料(PDF)を参照されたい。
    Red Hatとの比較。vSphere + vSAN vs. RHEL KVM + Red Hat Storage
    VMwareのほうが53%高速で26%安い、と主張
    VMwareのOpenStackはVOVAとVIO OpenStackを最初に検討し始めた時よく聞く不満としてチュートリアルに相当するドキュメントが無く、わかりづらいという内容が多い。またOpenStackはコンポーネントも多くそれらを適切に構成するのは難しい。そんな不満を見透かしたようにVMwareが提供するのは2つのOpenStack関連のパッケージだ。一つ目はVOVA(vSphere OpenStack Virtual Appliance)、2つ目はVIO(VMware Integrated OpenStack)だ。VOVAは1年ほど前に公開された、ある程度VMwareを理解できるエンジニア向けのノンサポートパッケージ、簡単にVMwareベースのOpenStackを体験できるという。VIOはOpenStackとVMware製品を組み合わせて検証を行い、最も安全でかつ高速なVMware版のOpenStackというふれこみだ。オープンソースでしばしば問題になる「問題が起こった時に誰が責任を持ってくれるのか?」に対する完全ではないが次善の解決策とでも言えるのではないだろうか。ただし、日本での扱いについては未だ決まっていないらしく、vForumのセッションでは紹介のみということだった。
    VIOとは?
    仮想化の技術と実績を持つVMwareだからこそOpenStackにおいても最高の性能と安心できるサポートを得られるということが、エンタープライズ向けのプライベートクラウドを検討している情報システム部門の担当者に向けたVMwareのメッセージといえるだろう。
    OpenStack構築の際の選択肢にVMwareのコンポーネントを混ぜて構築
    セッションの最後で遠藤氏は、VMwareとしてのOpenStackへの取り組みをまとめ、「単一ベンダのサポート」という項目ではVMwareがOpenStackのコードですらもサポートすると説明し、セッションを締めくくった。
    VMwareとしてVIOを積極的に推進
    OpenStackのセッションの後に始まったジェネラルセッションではVMwareのCEO、パット・ゲルシンガー氏が登壇。OpenStackやコンテナー技術にも言及し、エンタープライズ向けの仮想化の拡がりを印象付けた。ここでもOpenStackは一つの選択肢であり、他にも選択肢はあることを強調した。 そして2014年8月のVMworld 2014で発表されたEVO:RAILの上位機種としてEVO:RACKが紹介された。EVO:RAILはいわゆるハイパーコンバージドアプライアンスのためのソフトウェアで、VMwareがソフトを提供し、ハードウェアメーカーがそれに準拠した2Uのラックマウント型サーバー群と組み合わせてパッケージされたアプライアンス製品だ。新興のNutanixやTintri、EMC Isilonなどのソフトウェアで実現するスケールアウト型ストレージと同じくCPU、メモリ、SSD、HDD、ネットワークインターフェースがセットになっている。
    EVO:RACKを紹介するゲルシンガー氏
    VMwareがEVOシリーズとしてソフトを提供し、これまでのパートナーであるDELLやEMCが準拠するハードウェアと組み合わせることで信頼性のあるハードウェアとソフトウェアによって差別化が可能だとVMwareは考えているようだ。現行のEVO:RAILではまだ構成出来る最大のノード数など拡張性に劣る部分もあるが、EVOシリーズは上位機種の発表によって拡張性はカバーできると考えているのだろう。EVO:RACKは主にデータセンター規模のサイトでの導入を狙っているという。 仮想化の実績をベースにOpenStackからハイパーコンバージドアプライアンス、プライベートクラウドまでも提供することでこれまでのVMwareのエンタープライズだけではなく中小規模市場までも狙うVMware、引き続き注目したい。
  3. VMwareのOpenStackはVOVAとVIO

クラウドコンピューティングに欠かせない仮想化技術の最先端を走るVMwareのプライベートイベント、vForum 2014が2014年11月5日、6日に東京で開催され、多数の参加者、数多くのパートナーが参加し、非常に熱気のこもったイベントとなった。最近、頻繁にIT系企業のイベントが開催される芝公園に隣接するザ・プリンスパークタワー東京だが、筆者が参加した最近開かれたイベントの中でも群を抜く混雑ぶりで、IT業界での注目度合いが肌で感じられるイベントとなった。今回はクラウドコンピューティング、データセンターをソフトウェアで実現するSoftware-Defined Data Center(SDDC)やプライベートクラウドをオープンソースで実現するOpenStackに関するセッション、Software-Defined Storageなどに関するセッションを中心にレポートする。

まずは初日の早朝8:30から開かれた「VMwareが提供するOpenStack, VMware Integrated OpenStackとは」というセッションでヴイエムウェア株式会社のソリューション本部ソリューション開発部シニアスペシャリストの遠藤徹氏によるOpenStackへの取り組みを聞いた。

VMwareかOpenStackか?二者択一ではない

VMwareとOpenStack、二者択一ではないことを強調

冒頭で遠藤氏は、プライベートクラウド構築のためのプラットフォームとしてVMwareとOpenStackのどちらかを選ぶという二者択一の問題ではないと強調した。OpenStackにはハイパーバイザーは含まれておらず、他のハイパーバイザーが選択可能であるにも関わらず、OpenStack構築時のハイパーバイザーにKVMがデフォルトで選ばれてしまうことに対して、エンタープライズ向けの仮想化基盤としてのvSphereの実績を暗に示したと言える。実際にプレゼンテーションが進むに従ってVMwareが仮想化技術で先行していることを更に強調することになった。

ハイパーバイザーとしてKVM以外にも選択可能であることを強調

次にVMwareとしてのOpenStackコミュニティへの貢献を説明し、企業としてオープンソースコミュニティに対して協力を行っている実態を明示した。21名の開発者、414件のコミット、66,488行のコード、3,770件のコードレビューをOpenStackに対して実施しており、大きな貢献をしている会社であると解説した。この数字の根拠はOpenStackを自社のDistributionとして配布している米国MirantisがホストしているStackAnalytics.comというサイトから検索された結果だが、このサイトはOpenStackにおける各リリースやコンポーネント毎のコミットなどの数値が見えることで、開発の状況が概観できる優れたサイトとなっている。

各リリースごとにRed Hat、HP、Mirantis、IBM、Rackspaceなどの企業に所属しているエンジニアがどういうことをやっているのかを知ることができ、OpenStackが盛り上がっていることを知る材料として適切だ。VMwareとしてのOpenStackへの貢献は最初のリリース(Austin)から始まったわけではなく、VMwareによるNiciraの買収(2012年7月)後から本格的に始まったと解説し、その後はOpenStackとVMwareの持つコンポーネントの対応も進んでいると説明した。

VMwareからのOpenStackへの貢献の経緯

VMwareのOpenStackはRed Hatよりも高速で安い?

セッションは次にVMwareのコンポーネントを使った時とRed Hatのコンポーネントを使った時の比較に移り、如何にVMwareのコンポーネントを使ったOpenStackが優れているかを説明した。この比較ではOpenStackの下位にvSphereとVMwareのストレージ製品であるVirtual SANの組み合わせた場合とRed Hatのハイパーバイザ、KVMとRed Hat Storageを組み合わせた場合を比較し、性能と3年間の保有コストを比べている。比較には米国Yahoo!が開発したベンチマークテスト、Yahoo Cloud Serving Benchmarkを使い、アプリケーションとしてApache Cassandraを稼働させた場合、VMwareのほうが53%高速で、ストレージへのIOPSもRed Hatの場合と比べて159%も高速であるという。またオープンソースだからソフトウェアは無料と思われがちだがRed Hatの提供するサポートを受けることまで計算すると3年間のソフト、ハード、サポートのコストはVMwareのほうが26%安くなるという。Red Hatが推奨するストレージ構成の場合、VMwareの構成に比べて専用のサーバーが必要となり、そのハードウェアの増加分がコストを押し上げている計算になる。より詳しくはこちらの資料(PDF)を参照されたい。

Red Hatとの比較。vSphere + vSAN vs. RHEL KVM + Red Hat Storage
VMwareのほうが53%高速で26%安い、と主張
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