「ソースオープン」から「オープンソース」へ… Go Azure 2015でマイクロソフトが見せた本気
即興デモで観せるAzureの実力
まずは、オープニングのセッション「Develop your superpower with the cloud」で登壇したMicrosoft CorporationのProgram Manager、スコット・ハンセルマン氏が、自身の7歳の息子が作ったMineCraftのデモを使いながら、どうしてクラウドがこれからのITの向かうべき先なのか?という解説を始めた。クラウドがより多くの可能性を提供するプラットフォームになり、これまで以上に技術者に出来ることを提供することによって、技術者の仕事はさらに増えるだろうと語った。
さらにAzure上で簡単にWebサイトを構築するデモを行い、如何にフレキシブルかつ簡単にアプリが稼働させられるかを見せた。次にこれまでマイクロソフトがWindowsプラットフォームで提供してきた.NETのフレームワークがオープンソース化されることを強調。これは会場に居る企業ユーザーへの明確なメッセージとして「マイクロソフトはこれまで以上にオープンな環境を用意し、ユーザーが選択できること、さらに開発に関われること」を強調したと言える。
ハンセルマン氏はさらに、一つのアプリがAzureのデータセンターを移動して稼働する様をデモンストレーションした。これは米国のリージョンで稼働しているアプリをGUIから即座に日本のリージョンにコピーして稼働させることが出来ることをみせつけるためのデモであったが、具体的にはスマートフォンのマイクに英語で話しかけるとそれが即座に音声認識され文字化されるというもので、会場からは英語の次にデモされた日本語の認識の部分で大きな歓声が上がっていたのが印象的であった。
次にハンセルマン氏が強調したのは、.NETフレームワークがオープンソースとなったことである。これに関しては最後のMonoのセッションの部分でもさらに詳しく説明するが、まずは.NETが最初に登場した頃から何度も再設計を繰り返して今の形になったこと紹介し、今後登場する「.NET 2015」も同じことを繰り返すと思われているのでは?と自問した後、そうではない、これまでの. NET Frameworkと共存する形でよりモジュラー型になった新しい「.NET Core」が登場するのだと宣言した。
これまでWindowsでアプリケーションを書く場合、実行時に様々なライブラリが必要だった。またその依存関係で一つのPC、サーバーに複数のアプリが別のバージョンのライブラリを利用して稼働させることが出来なかったということを説明した。その上で、これからの.NETは様々な機能を別々の小さなコンポーネントとしてリリースを行い、個別のアプリが要求するコンポーネントだけをアプリに統合させることで、よりポータブルなアプリケーションが書けるようになると解説した。これは、今であればDockerに代表されるコンテナー技術のWindows的展開といったところだろうか。
この時、即興のデモという形で、その場でビルドしたC#で書かれたアプリをUSBメモリに保存し、会場の参加者から借りたノートPCにそのままコピー&ペーストで実行することをやってのけた。これは最新の.NETのライブラリが既にポータブルなフレームワークとなっていることを実証するための興味深いデモだった。
「ソースオープン」から「オープンソース」に
また、ハンセルマン氏は今後の.NETの開発スタイルが完全なオープンソーススタイルで進んでいくと説明した。具体的には、Githubを使ったソースコードの公開、コミュニティとのオープンな会話、ブログのポストなど様々な手段でオープンソースコミュニティや企業との対話を進めていくということだ。いわゆるオープンソースソフトウェアの他のプロジェクトと全く同じ土俵で戦うし、それをきちんと評価して欲しいと訴えた。「マイクロソフトのかつての姿勢は『ソースオープン』で真の『オープンソース』ではなかった」と語り、単にソースを公開していただけのやり方ではなく、一緒に開発を行うことを表明した。
ハンセルマン氏の講演はデモと繰り返し語られる明確なメッセージによって、今後マイクロソフトがオープンソースのお作法に則ってソフトウェアの開発を進めていくことを、これまでマイクロソフトのプラットフォーム多くの投資をしてきた企業ユーザーに向けて強調したものであった。
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