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Zabbixカンファレンス開催、なによりもフラットな対話に驚くユーザーカンファレンス

2015年10月1日(木)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita

オープンソースのシステム監視ツール、Zabbixを開発するZabbix社が開催する一年に一度のユーザーカンファレンス、「Zabbix Conference 2015」が2015年9月11日、12日の2日間、Zabbixの本社があるラトビアの首都、リガで開催された。

既に5回目を迎えるユーザーカンファレンスは最新の情報を得るための機会でもあり、ヨーロッパを始めとする世界中の導入事例を交換するユーザー同士の会合と言って良いだろう。今回は約180名が参加、ラトビア以外の参加者は国別で言えばエストニアからの参加者が一番多かったということであった。遠くはブラジルや日本からも数名の参加者を確認できた。日本以外のアジア圏からの参加者が少ないことも特徴的だ。

2014年11月に東京で開催されたカンファレンスに関しては以下の記事を参考にされたい。
Zabbixの未来を探る第2回Zabbixカンファレンスレポート

2日間にわたるカンファレンスでなによりも驚いたのが、180名がベンダー、パートナー、ユーザーの垣根を越えてフラットに語り合う姿勢だった。この手のカンファレンスでは主催者側がこれからの製品やテクノロジーについてこれでもかと言わんばかりに将来の姿や新機能を見せつけて歓声を引き出す、盛り上げるという演出が当たり前だ。しかしZabbixのカンファレンスではそんな演出はほとんどない。どちらかというと「こういう機能を考えているんだけど、どう思う?」といった問いかけや対話が主で、各セッションに登壇するパートナーやZabbixの人も最後に必ずQ&Aのための時間を設けて対話する、質問に答える姿勢が一貫していた。

特に初日の夜に開催されたパーティではお酒と食事に生演奏の音楽で参加者をもてなすだけではなく現在、リクエストが上がっている新機能への投票箱が用意されていた。会場となった旧市街のホテルのテラスルームに機能の概要が貼り出され、それを確認しながら実現して欲しい機能について投票し、話し合う、という演出がごく自然に行われいた。

パーティで用意された新機能の投票箱。これに投票して次に開発する機能を決める
パーティで用意された新機能の投票箱。これに投票して次に開発する機能を決める

ではカンファレンスの模様を紹介しよう。まずは冒頭にZabbix社のCEO、アレクセイ・ウラジシェフ氏が登壇し、カンファレンスに参加した人たちに感謝の意を述べ、これまでの振り返りを行った。この後、さっそく次期バージョンとして紹介されたZabbix 3.0について解説した。

前回の日本でのカンファレンスでもUIの改善は強く訴求されていたが、今回も「これまでのバージョンではUIは全く変えてなかった。だから過去のバージョンからの変化を紹介するスライドでは同じスクリーンショットのコピペで済む」とCEOがジョークを飛ばすほどにフロントエンドのインターフェースは変わっていなかった。これを抜本的に改善するという。

新しいインターフェースを紹介するCEOのウラジシェフ氏
新しいインターフェースを紹介するCEOのウラジシェフ氏

ユーザーインターフェースに関しては2日目に開発の担当者も登壇して解説を行うなど期待の高さを観た思いであった。特にデザインに関しては様々な試行がされており、白ベースの背景と黒ベースの背景を紹介したうえで、ユーザーからのフィードバックを重視する姿勢を感じた瞬間であった。

また昨今のセキュリティに関する高い関心を元にZabbixの各モジュール間の通信を暗号化する機能を紹介。TLS 1.2に準拠した暗号化通信を可能にすると言う。

Zabbix 3.0での暗号化通信の概要
Zabbix 3.0での暗号化通信の概要

更にシステム監視の強化項目として「過去の監視データからの予測」機能を紹介。これは機械学習などによるAI的なアプローチではなく過去のデータを元に傾向をグラフ化し、時系列にこのままの状況が続くと例えば1週間後にはディスクスペースが足らなくなることを予測するものと紹介され、過度な期待を抱かせない工夫をしていたのが微笑ましいプレゼンテーションであった。

予測を可能にする新機能を紹介
予測を可能にする新機能を紹介

CEOによるプレゼンテーション以降は、ユーザーや各国のパートナーによるプレゼンテーションが行われた。Red HatのエンジニアによるSNMPを活用した監視の概略、イタリアのSIによる大学のデータセンターネットワーク監視の事例、ヨーロッパのUberと呼ばれるBlaBlaCarのOps担当者によるシステム監視の概要、更にGlobo.comというCDNベンダーにおけるシステム監視の事例など、様々な業種、業界に渡って事例が紹介された。普段なかなか接することのないヨーロッパの事例であったが、やはりメインフレームやレガシーのシステムが多数稼働しているシステム環境を如何に効率的に監視を行うのか? に関して各社が工夫していることが垣間見えるセッションばかりであった。

日本からはTISが自社開発するHyClopsというAWSやvSphereの仮想化環境のシステム監視を行うZabbixの拡張ツールを紹介。実際にブラジルの参加者からプレゼンテーションの後にビジネスの展開に関する議論が交わされていたなど、このカンファレンスがきっかけで実現したビジネスも多そうな感触であった。日本の企業のヨーロッパ展開にはアイルランドやルクセンブルグなど政府がリードして企業誘致を行う国も多いが、ヨーロッパのエンタープライズ向けITビジネスやユーザーの状況を知るためにはZabbixのカンファレンスは意外と使えるのでは思えた。

プレゼンを終えてひと安心のTISの池田氏
プレゼンを終えてひと安心のTISの池田氏

今回初めてラトビアでのZabbixカンファレンスに参加して、ユーザーとの対話の仕方や取り組みに関して直前に参加したVMworldとの違いに驚きつつも、こうした手法が実際に存在することがアメリカの方法論に毒された筆者には新鮮に感じられたイベントであった。CEOのウラジシェフ氏と日本法人の代表、寺島氏への個別インタビューは別途お届けする予定だ。

※10月2日にインタビュー記事を公開しました。

お土産のTシャツをちゃっかり売ってるところがシッカリ者のZabbix社らしい
お土産のTシャツをちゃっかり売ってるところがシッカリ者のZabbix社らしい

※編集部より:記事初出時に氏名の表記に誤りがありました。また、参加者数を約140名から約180に修正しました(10/6)。お詫びして訂正致します。

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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