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実店舗を排除したAmazonが実店舗に手を出した理由

2017年7月26日(水)
ReadWrite Japan

Amazonは金曜、Whole Foods Marketを一株あたり42ドル、総額137億ドルを現金で買収するにあたり、合併契約の最終的な合意に至ったと発表した。

Amazonは、ニッチな本屋や無人食料品店 Amazon Goの試みを除いては、表向きはオンライン小売業者として20年以上営業している。他方で、Whole Foodsが提供しているのは店内での買い物や試食、料理教室など体験型だ。Amazonがオンラインストアで商品を手頃な価格で提供することにより消えていった実店舗型の小売店の数を考えると、これはおかしなことのように思える。

同じ時、ヨーロッパ、オーストラリア、英国を主に手がけているドイツの小売業者 Aldi and Lidlは米国にその存在感を伸ばしつつある。

Ocadoから得た教訓とは?

Amazonが、アクティブユーザーを58万人以上抱える世界最大の食品専門オンラインストアOcadoに接近したというのであれば、それほど驚くことでもなかっただろう。Ocadoは英国の顧客に毎日200万点以上の商品を出荷しており、配送センターを管理するソフトウェアを手がける700名のエンジニアを社内に抱えている。また足が速い食品の宅配は収益性が高いことから、クラウドやロボティクス、AIやIoTに大きな投資を行っている。

倉庫の自動化はOcadoがほかのオンライン食品販売業者と一線を画しているところであり、OSP hiveなどのプロジェクトでは貯蔵庫から注文が入った商品を持ってくるのに大量のロボットが使われている。また日々、より多くの食品が、センサー付きのロボットマニピュレータを使って包装されるようになっている。

彼らはまたEUの研究とイノベーションを推進する枠組みであるHorizon 2020でも、SecondHandsSoMaといった大きなプロジェクトを持っており、非常に高度なロボティクス、AI、マシンラーニング、先進的なセンサーを組み合わせ、倉庫で働く職員をリアルタイムで理解し補助しようというものである。

更にはOcado Smart Platformという、ほかの小売業者がオンライン販売を行うための独自のソリューションも存在する。商用のエンドツーエンドなソフトウェアや技術と、これまた商用の棚卸資産ソリューションを組み合わせたものだ。Whole Foodsを買収することによって裕福な固定客を多く得ることになることを考えれば、彼らが辿った成功の道筋を、Bezos氏も辿ろうと考えても驚くことではないだろう。

競合を排除したいAmazon

Amazonはショッピング時の価格比較をブロックするという特許で、密かに競争における自分たちの地位的優位を確保しようとしている。これはオンライン店舗や携帯を使ったショッピングについてのものである。特許内容によると、Amazonが開発した技術は、顧客がWiFiにアクセスした時に彼らのインターネット上のトラフィックを特定し、彼らが競合他社のサイトにアクセスした際はそれを検知するものだという。

おそらくはこのテクノロジーを使い、競合他社のサイトへのアクセスをブロックしたり、大量の値下げクーポンの類を顧客に送りつけたりするのだろう。見回っているスタッフに顧客をレジまで案内するよう、アラートを出すようなことも行われるのかもしれない。

Introducing Amazon Dash Wand with Alexa

そしてAlexaが組み込まれたバーコードリーダー Amazon Dash Wandを忘れてはいけない。Wandの価格はたったの20ドルである。そう遠くない将来、彼らが音声で起動するデバイスを家庭で使われる携帯アプリの切り札として持ってくることを匂わせる。

ではこれがWhole Foodsにどういったことを意味するのだろうか?ロボットを使ったサラダバーが運営されるようになったりするだろうか?信義や信条よりも価格が優先される中、顧客は安価な食品を求め続けるであろうが、逆に私は、健康志向が高いWhole Foodsの顧客の倫理がAmazonに浸透するのだと考えたい。

CATE LAWRENCE
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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