「TAURI」+「Rust」ではじめるデスクトップアプリ開発 2

TAURIの開発環境の構築

TAURIの開発環境の構築

TAURIをビルドして実行するために、TAURIのコマンドとして「TAURI CLI」を、TAURIのプロジェクトを作成するために「create-tauri-app」バイナリをインストールします。

コーディングは前回のRustと同じVisual Studio Codeで書くので、今回は特にコードエディタをセットアップする必要はありません。

  1. 図6のようにVisual Studio Codeの「ターミナル」で次のコマンドを実行し、TAURI CLIをインストールします。CLIは「Command Line Interface」の頭文字をとった略語で、コマンドラインからコマンドを実行するものです。

    ・TAURI CLIのインストール
    $ cargo install tauri-cli --version "^1.6.2" --locked

    図6:Visual Studio Codeのターミナルでcargo install tauri-cliコマンドを実行

  2. ターミナルでTAURIプロジェクトを作成するための「create-tauri-app」のRustバイナリを「crates.io」からダウンロードしてインストールします。

    ・TAURIプロジェクトを作成するためにcreate-tauri-appバイナリをインストール
    $ cargo install create-tauri-app@4.4.0 --locked

はじめてのTAURIアプリの作成

それでは、初めてのTAURIプロジェクトとして、「hello」プロジェクトを作成してみましょう。また、実際にhelloプロジェクトを「デバッグビルド」してアプリを実行します。また、Webページだけを実際にWebブラウザで見てみます。

  1. Visual Studio Codeで「ファイル」→「フォルダーを開く」メニューから「ドキュメント」フォルダーに事前に作成した「Tauri」フォルダーなどを開き、次のコマンドを実行してhelloプロジェクトの新規作成を開始します。

    ・TAURIプロジェクトの新規作成コマンド
    $ cargo create-tauri-app hello
  2. コマンドを実行するとターミナルに「Choose which language to use for your frontend >」と表示されるので、フロントエンドに対して、やり取りする言語として「Rust」を選択します。
  3. 続いてターミナルに「Choose your UI template >」と表示されるので「Vanilla」を選びます。「UI」を作るのに「React」などのフレームワークを使わずに「素のJavaScript」を選びます。
  4. ターミナルに次のようなメッセージが表示されます。

    ・TAURIのhelloプロジェクトが新規に作成されたメッセージ
    PS C:¥Users¥Vexil¥Documents¥Rust¥Tauri > cargo create-tauri-app hello
    ✔ Choose which language to use for your frontend · Rust - (cargo)
    ✔ Choose your UI template · Vanilla
    
    Template created! To get started run:
      cd hello       
      cargo tauri dev
  5. helloフォルダーが作成されるので、「ファイル」→「フォルダーを開く」メニューからhelloフォルダーを開きます。ここで「src-tauri」フォルダーではなく「hello」フォルダーをカレントディレクトリにします。すると図7のようなフォルダー階層を確認できます。

    図7:helloプロジェクトの構成図

    ・helloプロジェクトの階層図
    helloフォルダー(プロジェクト)
    ┣src(Webページの入ったフォルダー)
    ┃┣assets(アセットファイルの入ったフォルダー)
    ┃┣index.html(メインHTMLファイル)
    ┃┣main.js(メインJavaScriptファイル)
    ┃┗styles.css(スタイルシート)
    ┣src-tauriフォルダー(Rustプロジェクト)
    ┃┣iconsフォルダー(アイコンファイルが入ったフォルダー)
    ┃┣srcフォルダー(ソースが入ったフォルダー)
    ┃┃┗main.rs(メインのrsファイル)
    ┃┣targetフォルダー(ビルドしたファイルやフォルダーが入ったフォルダー)
    ┃┃┣debugフォルダー(デバッグビルドしたファイルやフォルダーが入ったフォルダー)
    ┃┃┣releaseフォルダー(リリースビルドしたファイルやフォルダーが入ったフォルダー)
    ┃┃┣.rustc_info.json
    ┃┃┗CACHEDIR.TAG
    ┃┣.gitignore(Gitで無視するファイルやフォルダーを記述)
    ┃┣build.rs(ビルドの際に準備などのために使われるRustファイル)
    ┃┣Cargo.lock(このプロジェクトで使われる情報やファイルなどを列挙)
    ┃┣Cargo.toml(このプロジェクトの設定ファイル)
    ┃┗tauri.conf.json(TAURI設定のJSONファイル)
    ┣.gitignore(Gitで無視するファイルやフォルダーを記述)
    ┗README.md(注意書き)
  6. ターミナルで次のコマンドを実行するとhelloプロジェクトがデバッグされ、成功すれば図8のようにTAURIのデフォルトのデスクトップアプリが実行されます。ただし、筆者の環境では「ウイルスバスター」がビルドをブロックすることがあったので、警告が出たら安全なら「許可」し、ビルドが止まったらターミナルで何度か次のコマンドを実行します。

    ・helloプロジェクトをデバッグビルドと実行
    $ cargo tauri dev

    図8:hello.exeをデバッグ実行したデスクトップアプリ

  7. 試しにWebブラウザでデフォルトのWebページを見てみます。Webページは「hello」→「src」フォルダにあり、「index.html」を実行すると図9のように表示されるはずです。このWebページがTAURIによりデスクトップアプリとして作成されます。

    図9:WebブラウザでWebページを見てみる(svgファイルはローカルのWebブラウザでは見られない)

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