写真で見るKubeCon+CloudNativeCon North America 2024

KubeCon+CloudNativeCon North America 2024の最後の記事として展示ブースなどを紹介する。9000人以上が参加したKubeCon North Americaには多くのベンダー、CNCF配下のプロジェクトが出展を行い、参加者との対話とプロダクトやソリューションの認知に励んでいた。ここでは大手ベンダー及び中規模ベンダーのブースの紹介、スタートアップやCNCFのプロジェクトブースなどを紹介する。
明暗がわかれたビッグテック
大手ベンダーとしては毎回KubeConに参加しているGoogle、Microsoft、Red Hat、AWS、IBMなどが、ショーケースの入口近くに大型のブースを構えて展示を行っていた。
GoogleもRed HatもAWSも常に人が集っている人気のブースだが、IBM、Microsoftはそれほど人気がないように見えた。さらに明らかに人が少なかったのはVMwareのブースだろう。ブースのデザインにもやる気のなさが現れていたように思える。
Microsoftは人気がないことを理解していたようで、KubernetesのオリジナルのデベロッパーであるBrendan Burns氏とLachlan Evenson氏が、著者である「Kubernetes Best Practices Second Edition」のサイン会を行って参加者を集めていた。
さまざまな工夫で耳目を集める中規模ベンダーたち
GitHubはデモよりも対話に重きを置いたデザインのブースを使って、カンファレンスに疲れた参加者が休憩を取れるように配慮していたのが印象的だった。
CTOにインタビューを行ったGitLabも小さいながら人気のブースとなっており、ここも常に人が途切れない状況だった。CTOのDavid DeSanto氏にインタビューした記事も公開されているので参考にして欲しい。
●参考:KubeCon North America 2024でGitLabのチーフプロダクトオフィサーにインタビュー。GitHubとの差別化について語る
Argo CDの開発元でIntuitからスピンオフしたAkuityは、キャラクターの着ぐるみを登場させてブースを盛り上げていた。
ちなみにこのキャラクターはKargoというAkuityが開発するCIのツールで、ブースの説明員のTシャツにも「Akuity : Creator of Argo and Kargo」と書かれている。Argo CDとベストな組み合わせのCIツールという位置付けだろう。すでにEnterprise版も用意されているようで、Argoを使っている企業は注目すべきかもしれない。
●参考:What is Kargo?
またAkuityは参加者への露出を増やすために、近接のホテルのエントランスにArgoのキャラクターを貼り付けたSUVを駐車させていた。
Wasm Dayなどで露出を高めたCosmonicは、大きめのスクリーンを使って訴求していた。野球帽の男性は多くのプレゼンテーションに登壇しているTaylor Thomas氏だ。Brooks Townsend氏は定期的に行われるwasmCloudのCommunity Meetingのホストとしても知られている。
WebAssemblyに特化したベンチャーとしても知られるFermyonもSpinと呼ばれる新しいWebAssembly実行のためのフレームワークを訴求していた。
CIをコンテナ化してデベロッパーのPCで実行することで処理時間とコストを下げることを可能にするDaggerは、ブースでもエネルギッシュに参加者と対話を行っていた。Daggerについてはすでにセッションを解説する記事を公開しているので参照して欲しい。
●参考:KubeCon North America 2024から、ローカルPC上でCIを実行することでクラウドコストを激減させるDaggerのセッションを紹介
知名度アップのチャンス、CNCFのプロジェクト&スタートアップ
今回の参加者を集めた座談会でも評価の高かったブースとして挙げられていたCNCFのプロジェクトごとのブースは最小のスペースながら、多くのプロジェクトを集めて展示することでロゴしか知らないという認識を一気に上げることを目指したものだろう。
ちなみにこのLinkerdのブースで椅子に座っている野球帽の男性が、Linkerdの開発元であるBuoyantのCEO、William Morgan氏だ。
Youkiのブースではコアな開発者であるToru Komatsu氏とNTTの徳永航平氏が説明員として参加していた。徳永氏に関しては以下の記事を参照して欲しい。
●参考:CloudNative Days Fukuoka 2023、コンテナランタイムの今と未来を解説するキーノートセッションを紹介
ジョブボード、突発イベントなどまだまだある見どころ
KubeConは企業がエンジニアと出会う場所としても使われており、エンジニアの求人情報を掲げるジョブボードも常に多くの書き込みで溢れている。
また突発的に解説やQ&Aを行う登壇者もおり、空いているスペースを活用しているケースにも遭遇した。
この写真の中心にいるのはNew York Universityの教授、Justin Cappos氏だ。Cappos氏はTUFやin-totoの開発者としても登壇しており、今回のKubeConでは2日目のキーノートの最後に登壇したプレゼンターとしても知られている。そのプレゼンテーションの動画は以下から参照して欲しい。
●参考:Keynote: Open Source Security Is Not A Spectator Sport - Justin Cappos & Santiago Torres Arias
名前だけでも見ていってほしいポスターブース
またプロジェクトブースには参加できないが、液晶モニターにオープンソースプロジェクトの情報を表示させ、椅子とテーブルだけ用意して露出を行うポスターブースと呼ばれるブースも存在する。これは時間単位で入れ替わる構成になっており、とにかく最小でも良いから露出を行いたいと願う出展者にとっては最後の手段と言ったところだろう。
StarlingXはOpenInfra Foundationのプロジェクトだが、オープンソースのデベロッパーもユーザーも集まる最大のカンファレンスで認知を拡げたいという意図を感じる風景でもあった。OpenInfra FoundationはOpenStackの推進団体としてOpenStack Foundationという名称でスタートし、その後、現在の名称に変更された非営利団体だが、現在はThe Linux Foundationの配下に統合されることを模索しているようだ。
●参考:OpenInfra Foundation Board of Directors:Frequently Asked Questions
イベント疲れにはアニマルセラピー
9000人が集まるKubeConは、かつてのような大規模なパーティはなくなってしまったものの、参加者を労わる精神は健在なようで犬と猫に触れあえる場所が用意されていた。
CNCFはプロジェクトだけではなく人の新陳代謝も重要だと考えていると思われるため、カンファレンスのチェアーパーソンも定期的に入れ替わってしまう。新興のベンダーがいつの間にかいなくなってしまうことも多く、転職活動も活発だ。こういうところにもエコシステムが健全に機能しているということだろう。ここでは多くの旧知のエンジニア、ビジネスパーソンと再会できた記録を残しておこう。
KusariとLiberman氏については以下の記事を参照して欲しい。
●参考:KubeCon Europe 2024にて、グラフを用いてSBOMを可視化するGUACのコントリビューターにインタビュー
CNCFのプロジェクトブースにいたMichael Yuan氏。WasmEdgeというランタイムの開発者としても知られている。野球帽に短パンというスタイルが定番だ。
次回は2025年4月にロンドンで行われるKubeCon EU 2025に参加する予定だ。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- 写真で見るKubeCon Europe 2024 ベンダーやコミュニティプロジェクトの展示を紹介
- 写真で見るKubeCon North America 2019ショーケース
- Civo Navigate North America 2024、元Dockerで現DaggerのCEO、Solomon Hykesのインタビューを紹介
- KubeCon North America 2024から、ソフトウェアサプライチェインの基礎を解説する2つのセッションを紹介
- KubeCon+CloudNativeCon North America 2023のキーノートとショーケースを紹介
- 写真で見る「KubeCon NA 2022」活気が戻ったショーケースを紹介
- KubeCon Europe 2024にて、グラフを用いてSBOMを可視化するGUACのコントリビューターにインタビュー
- KubeCon EU 2022のショーケースからみるKubeConの変化とは
- CNCFによる中国人のためのイベントだったKubeCon China
- 写真で見るOSSummit North America 2022